【2026年最新】マレーシアに現金はいくらまで持ち込める?|申告義務ラインと安全な持ち歩き方
「日本円の現金、いくらまでならマレーシアに持ち込んでも大丈夫なんだろう」
「空港で急に呼び止められたり、罰金を取られたりしたら怖いから、先に基準を知っておきたい」
マレーシアへの移住・長期滞在の準備をしている方から、こうした質問をいただくことが増えています。ネット上の体験談は年式もバラバラで、単位がリンギットだったり米ドルだったりして情報が食い違っていることも多く、結局いくらまでなら申告なしで大丈夫なのか分かりにくいというのが実情です。この記事では、2026年7月時点でマレーシア関税局(JKDM)とBank Negara Malaysia(中央銀行、BNM)が公表している出入国時の現金申告ルールと、実際どのくらいの現金を持ち歩くと物騒になるのかを整理します。
■ 申告が必要になるのは「USD10,000相当」から
結論から言うと、マレーシアの出入国時に現金(コインや紙幣)およびBNI(トラベラーズチェックなど持参人払式の証券類)を合計してUSD10,000相当を超えて持ち歩く場合は、通貨の種類を問わず申告が必要です。日本人、マレーシア人、外国人観光客を問わず、全ての旅行者が対象になります。
申告の基本ルール(2026年7月時点・関税局公式パンフレットより)
- 現金・BNIの合計がUSD10,000相当を超える場合、通貨を問わずCustoms Form No.7(税関申告書)を提出
- リンギット(MYR)を上記の額を超えて持ち込む・持ち出す場合は、Customs Form No.7に加えて事前にBNMの書面承認が必要(BNMのウェブサイトから申請、処理には数営業日かかる)
- 申告書はオンライン提出ができず、入出国時に税関カウンターで直接提出する必要がある
- 複数の通貨を組み合わせて持っている場合も、合計額で判定される
2026年7月時点の為替(1USD≒RM4.09前後)で単純計算すると、USD10,000はおよそRM40,900相当です。ただし為替レートは日々動くので、ちょうどラインぎりぎりの金額を持ち歩く予定がある方は、渡航直前のレートで必ず計算し直してください。
申告そのものは違法な行為ではありません。正しく申告さえすれば、大金を持ち込むこと自体は問題にならないのが原則です。問題になるのは「申告しなかった」「虚偽の申告をした」場合です。
■ 申告を怠るとどうなるか
マレーシアのマネーロンダリング・テロ資金供与防止法(AMLATFPUAA)第28B条では、申告義務のある金額を申告しなかった場合、罰金は最大MYR300万、または最長5年の禁錮、あるいはその両方と定められています。さらに、承認なくリンギットの上限を超えて持ち出そうとした場合には、金融サービス法2013に基づき最長10年の禁錮または最大MYR5,000万の罰金という、より重い規定が適用される条文もあります。「知らなかった」では済まされない金額感なので、大きな現金を動かす予定がある方は事前に確認しておくのが鉄則です。
■ 「合法か違法か」とは別に、現金は物騒
この記事の初版(2017年公開)は、実際にマレーシアで起きた強盗事件をいくつか組み合わせて作った、ある貴金属店従業員の一日というシミュレーション記事でした。当時の描写を活かしつつ振り返ると、こういう筋書きです。
29歳の貴金属店従業員が、銀行からRM1,520万(当時の為替でおよそ日本円3億8千万円相当)を引き出すことになりました。窓口ではおろせない金額なので奥の個室に案内され、ショットガンを持った警備員が付きます。

車に積んで走り出し、高速を降りて「もう追ってくる車もいない」と気を抜いた信号待ちの瞬間、バイクの二人組が窓ガラスを割って押し入り、Parang(現地で使われる大型の刀)で脅して車ごと奪って走り去る。かかった時間はわずか5秒。なぜその車だと分かったのかといえば、銀行内部の誰かが外部と通じていた、という筋書きでした。


これは実話そのものではなく、複数の実際の事件を参考に組み合わせて作られた想定シナリオですが、「大金の現金移動は、金額を知っている人が周囲に多いほど危険が増す」という教訓自体は今でも変わりません。元記事は「RM1,000(当時の感覚で約2万5千円)ほど持ち歩くだけでもかなり気を付けたほうがいい」という体感ラインを示していましたが、これはあくまで個人の感覚であり、法律上の申告義務ライン(USD10,000相当)とは別物です。法的に問題にならない金額であっても、狙われるリスクはゼロにはなりません。特に、両替直後・ATMでの多額引き出し直後・宝飾品店やカジノの周辺は要注意とよく言われます。
逆に言えば、日常の買い物や旅行で使う程度の現金(数百リンギット程度)であれば、過度に神経質になる必要はありません。マレーシアの都市部での日常生活は、後述するとおり現金にほとんど頼らずに完結できる場面が増えているため、そもそも大金を持ち歩く機会自体を減らすのが一番の対策になります。
■ そもそも現金を減らすという選択肢
2017年の元記事が公開された当時と比べ、2026年のマレーシアは電子決済がかなり浸透しています。銀行間送金アプリのDuitNowを使えば携帯電話番号やQRコードだけで個人間送金ができますし、TouchNGo eWallet・GrabPay・Boost・銀行系のタッチ決済カードなど、現金を持ち歩かずに済む手段は都市部を中心に増えています。日々の買い物であれば、大きめの現金を持ち歩く必然性そのものが以前より薄れてきているのが2026年の実感です。
- 日常の買い物: DuitNow QR・TouchNGo eWallet・タッチ決済カードで完結できる店が都市部では主流になっている
- まとまった額の受け渡し: 銀行送金やDuitNowを使えば現金を物理的に運ぶ必要自体がなくなる
- 緊急時の現金: 事故対応で警察に報告書(ポリスレポート)を作成してもらう際にRM300ほど手数料がかかることがあるため、少額の現金は手元に残しておくと安心
■ まとめ
マレーシア出入国時の現金申告ラインは、通貨の種類を問わずUSD10,000相当(2026年7月時点でおよそRM40,900)です。これを超える場合はCustoms Form No.7で申告し、リンギットの場合はさらにBNMの事前承認も必要になります。申告を怠った場合の罰則は重く、最大でMYR5,000万の罰金や10年の禁錮という規定もあるため、大きな現金を動かす予定がある方は必ず事前に関税局・BNMの公式情報を確認してください。
一方で、日常生活のレベルでは「そもそも現金をあまり持ち歩かない」というのが2026年のマレーシアでは十分現実的な選択肢です。デジタル決済を軸にしつつ、緊急時用に少額の現金だけ持っておく、というのが無理のないバランスと言えるでしょう。


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