マレーシアで働く人は基本的にEPF(Employees Provident Fund、従業員積立基金)に加入しますが、特定の場合に限って引き出すことができます。日本人であれば、マレーシアを離れる(国外退去者扱いになる)ときに引き出し申請を行い、全額を引き出すことができます。
【2026年最新情報】外国人のEPF加入は義務化されています
2025年10月以降、マレーシア国内で就労する外国人従業員のEPF拠出は法律上義務化されています。法定(最低)負担率は雇用主2%+従業員2%です。以前は任意加入だった時期もありましたが、現在は制度が変わっているため、これから駐在・就労される方は「加入するかどうか選べる」という認識ではなく「加入が前提」という理解でいるのが安全です。
外国人にとっての引き出し条件
外国人加入者にとって最大のメリットは、マレーシア企業を退職し就労ビザもキャンセルするに至った場合、退職証明書などの所定書類を提出することで「国外退去者(Leaving Malaysia)」扱いとなり、EPF資産を全額引き出し・解約できることです。日本への本帰国のタイミングで、それまで積み立てた分をまとめて引き出す、という流れになります。
マレーシア国内にいながら引き出せるケース
本帰国前でも、次のような特定の状況では部分的な引き出しが認められる場合があります(制度・条件は改定されることがあるため、最終的には必ずEPF公式・雇用主の人事担当に確認してください)。
- 住宅購入・住宅ローンの頭金・返済のための引き出し
- 医療費(本人・家族の重篤な疾病の治療費)のための引き出し
- 教育費(本人・子女の高等教育費用)のための引き出し
- 55歳到達時の一部引き出し(制度上の年齢到達による引き出し)
申請の流れ(一般的な手順)
EPFの引き出し申請は、EPFのオンラインポータル(i-Akaun)または最寄りのEPFオフィスの窓口で行うのが一般的です。国外退去者としての引き出しの場合、パスポート・退職証明書・ビザキャンセルの証明書類などが必要になることが多いため、退職・帰国が決まった段階で早めに雇用主の人事部やEPFに必要書類を確認しておくとスムーズです。
退職金・EPFと日本の年金制度との違い
日本の厚生年金は「賦課方式」(現役世代の保険料を今の高齢者に給付する仕組み)ですが、マレーシアのEPFは「積立方式」(自分が積み立てた分がそのまま将来自分の資産になる仕組み)です。そのため、短期間の就労であっても、積み立てた分は原則として自分のものとして引き出せるのが特徴です。日本で厚生年金を掛けていた期間の扱いとは仕組みが異なるので、駐在前に混同しないよう理解しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 転職した場合、EPFはどうなる?
A. EPFは個人単位の口座なので、転職しても口座はそのまま引き継がれます。新しい雇用主が同じ口座に拠出を続ける形になります。
Q. 日本に本帰国した後で追加の書類が必要になったら?
A. 多くの場合オンラインのi-Akaunポータルから追加手続きが可能ですが、代理人(委任状付き)を立てる必要が出るケースもあるため、帰国前に必要な情報をできるだけ集めておくことをおすすめします。また、加入義務化にともない、給与明細上のEPF控除額の見方や、会社側の拠出額の確認方法についても、赴任当初にしっかり人事担当へ確認しておくと、後々の書類確認がスムーズになります。
資産形成の一部として捉える
短期の駐在であっても、EPFは強制的な積立貯蓄という側面もあります。給与から天引きされる形なので手元の使えるお金は減りますが、その分は将来(退職時・帰国時)にまとめて戻ってくる資産と考えれば、決してマイナスなものではありません。むしろ、海外生活の中で意識せずに資産形成ができる仕組みとして前向きに捉えることもできます。帰国のタイミングでまとまった金額が戻ってくることを見越して、その後の使い道(貯蓄・投資・住宅資金など)を今のうちから考えておくのもよいかもしれません。制度は今後も改定される可能性があるため、赴任期間中も定期的に最新情報をチェックしておくと安心です。海外生活の安心材料の一つとして、ぜひ制度を正しく理解しておいてください。疑問点があれば、遠慮せず人事担当やEPF窓口に直接問い合わせることをおすすめします。小さな確認の積み重ねが、安心なマレーシア生活につながります。



コメント