マレーシアの労働基準法

マレーシアには労働基準法や裁判所により慣例的に設定されている取り決めがいくつか存在しています。多くは労働者側を守るものです。働いている会社は大丈夫ですか?

 

試用期間

マレーシアではProbation Periodと呼ばれている期間です。Under probationで使用期間中という意味があります。

雇用者のとって労働者がポジションに適した人材か、また労働者にとってこの会社が勤続できる会社か見極める期間でもあります。

 

この期間内に関しては労働者側は契約を終わらせて退社することができます。特別に契約書での同意がない限りは即日退社も可能です。また無給休暇ですが申請もすることができます。病気休暇についても交渉して契約に盛り込むことができます。

契約書にサインをする前は双方よく読んでからにしてください。

 

法律的にはこの使用期間はどれほどであるかの定義はなされていませんが、3~6か月とされてるのが一般的です。試用期間中といえども正当な理由がなく解雇されているのは禁止されています。

そのようなことが起こった場合は

Industrial Relations Act 1967

により最終月に払った給与を最大12か月保証しなければならなくなります。

In the case of a probationer who has been dismissed without just cause or
excuse, any backwages given shall not exceed twelve months’ backwages
from the date of dismissal based on his last-drawn salary;

試用契約書に基づき、雇用者が労働者に対して必要な技術や能力、適性がないと判断すれば契約を終わらせることができます。一般的には次のような流れが採用されます。

  1. Warning Letter(業務改善命令)の発行
  2. 業務改善期間と教育期間の設定
  3. 試用期間の延長

この流れが組まれていれば一般的には試用の結果不採用の形となります。

 

 

試用期間が終わるか、相互が本採用に移ることに合意できたら、契約書を書いて本契約となる運びとなります。

 

 

以下は本採用となった際の法的規定です。

 

給与

【2026年最新】最低賃金は2022年の法改正により全国一律化され、2025年2月以降は半島・サバ・サラワクの区別なく月額RM1,700(時給換算RM8.18)が適用されています。かつてあった地域差・国籍による二重基準は撤廃されています。

日本人の就労ビザ(Employment Pass)発給に必要な最低給与は、2026年6月からカテゴリ別に引き上げられており、Category IIIはRM5,000、Category IIはRM10,000、Category IはRM20,000が目安となっています(移民局の運用基準のため別途最新確認が必要です)。

 

 

労働時間・残業時間(2022年改正反映)

【2026年最新】2022年の雇用法改正により、週の法定最大労働時間は48時間から45時間に短縮されました。また、残業・休日・祝日規定(Part XII)が適用されるのは月給RM4,000以下の労働者に限られます(旧基準のRM2,000から引き上げ)。一方、雇用契約・解雇・産休等その他の規定は2023年以降、給与水準にかかわらず半島マレーシア・ラブアン連邦直轄領の全労働者に適用されるようになった点も重要な変更点です。

残業時間の上限はEmployment (Limitation of Overtime Work) Regulations 1980により、引き続き1か月104時間と設定されています。基本給を時給換算した額の1.5倍以上を通常日の残業代として支払う必要があり、休日出勤(2倍)・祝日出勤(3倍)についてもそれぞれ細かく規定されています。

有給休暇

有給休暇は

MALAYSIA EMPLOYMENT ACT 1955 

で勤続年数別に設定されています。

年に2年以下の勤務の場合は最低8日、2~5年の場合は最低12日、5年以上の場合は最低16日となっています。

(a) eight days for every twelve months of continuous service with the same employer if he has been employed by that employer for a period of less than two years;

(b) twelve days for every twelve months of continuous service with the same employer if he has been employed by that employer for a period of two years or more but less than five years; and

(c) sixteen days for every twelve months of continuous service with the same employer if he has been employed by that employer for a period of five years or more,

 

 

病気休暇

上記の有給休暇に加えて病気休暇が設定されており、有給休暇とは別に申請することができます。

有給休暇と同様、

MALAYSIA EMPLOYMENT ACT 1955 

で勤続年数別に設定されています。

年に2年以下の勤務の場合は最低14日、2~5年の場合は最低18日、5年以上の場合は最低22日となっています。

入院が必要な場合は、上記の入院を含まない病気休暇と合わせて最大60日間を申請することも可能です。

ただしいずれの場合も医師からの証明書が必要とされます。病院で

I want to take MC.

というと医師も理解して証明書を発行してくれます。MCとはMedical Claim(Certificate)の略です。会社によっては提携している病院にかかる必要があります。

 

(aa) where no hospitalisation is necessary, —

(i) of fourteen days in the aggregate in each calendar year if the employee has been employed for less than two years;

(ii) of eighteen days in the aggregate in each calendar year if the employee has been employed for two years or more but less than five years;

(iii) of twenty-two days in the aggregate in each calendar year if the employee has been employed for five years or more; or

 

(bb) of sixty days in the aggregate in each calendar year if hospitalisation is necessary, as may be certified by such registered medical practitioner or medical officer:
Provided that the total number of days of paid sick leave in a calender year which an employee is entitled to under this section shall be sixty days in the aggregate;
And provided further that if an employee is certified by such registered medical practitioner or medical officer to be ill enough to need to be hospitalised for any reason whatsoever, the employee shall be deemed to be hospitalised for the purposes of this section.

 

出産休暇・配偶者出産休暇(2022年改正で拡充)

【2026年最新】2022年の法改正により、女性従業員の出産休暇は60日から98日に大幅延長され、給与水準にかかわらず全ての女性労働者に適用されるようになりました。また、この改正で初めて男性従業員向けの有給配偶者出産休暇(Paternity Leave)7日間が法定化されました(同一雇用主のもとで通算12か月以上勤務し、出産時に子の母親と婚姻関係にあることなどが条件。適用は生涯5回の出産まで)。

休暇を取るには予定日の一定期間前までに雇用主に申請をする必要があります。出産休暇中とその前後の一定期間は解雇されることはありません。

 

 

祝日

上記の各休暇に加えてマレーシアでは国・州で定められた休日があります。

州によって祝日が異なるほか、日々改正が行われるので注意が必要です。

また、マレーシア人がオリンピックで金メダルを獲得したときなどは翌日が休日となることがあります。

以下のサイトがよくまとめられていたのでご参照ください。

【マレーシア】完全版! 2018年の祝日カレンダー – 地球はコーヒーで回ってる O.M.C.

 

 

解雇規定

正当な理由がなく解雇されているのは禁止されています。

そのようなことが起こった場合は

Industrial Relations Act 1967

により最終月に払った給与を最大24か月保証しなければならなくなります。

In the event that backwages are to be given, such backwages shall not
exceed twenty-four months’ backwages from the date of dismissal based
on the last-drawn salary of the person who has been dismissed without
just cause or excuse;

正当な理由を示すとは?

一般的には次のような流れが採用されます。

Warning Letter(業務改善命令)の発行が伴ったものとなっています。最初に交わした契約書に沿って、どの分野でどのようなパフォーマンスの改善が必要とされるかを具体的に提示しなければなりません。

  1. Warning Letter(業務改善命令)の発行
  2. 業務改善期間と教育期間の設定
  3. Warning Letter(業務改善命令)の発行
  4. 業務改善期間と教育期間の設定
  5. Warning Letter(業務改善命令)の発行
  6. 業務改善期間と教育期間の設定

お気づきのようにWarning Letter(業務改善命令)は3度発行されてようやく労働者に必要な能力がないと判断される運びとなっています。

 

労働者側が退職願を出す場合は、最初に締結した契約書によりますが、多くの場合退職希望日の2~3か月かそれ以上前に提出しなければならないとされています。

その間に企業は後任の人を探し、引き続きを行うことになります。

 

 

まとめ

雇用側も労働者側も契約書に目を通して話を詰めるのは言うまでもありませんが、マレーシアの法律は労働者側を守る法律となっています。

労働者側は会社の規定が法律にあっているか、雇用者側は法律に沿って行っているかを都度チェックすることが重要ですね。

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