ローカルでもトラブル頻発!マレーシア賃貸契約書の問題点

マレーシアに移動して最初にやらなければならないことのひとつは家を借りることです。賃貸契約書を結ぶ際、ローカルでも特に多いトラブルをあげます。

 

賃貸契約書の基本的な考え方

賃貸契約書はマレーシアではTenancy Agreementと呼ばれ、借り手と貸し手の間の双方の合意の後サインされるものです。

賃貸契約書(Tenancy Agreement)のおおよそのフォーマットは存在していますが、詳細は双方の相談の下取り決めることができます。すべて交渉の余地があります。この契約書は退去まで保存しておき、何か貸し手と借主の間でのトラブルが発生したときはここを参照することになっています。

この交渉結果をまとめた賃貸契約書(Tenancy Agreement)はフレキシブルなのが長所ですが、交渉力がない側が不平等な契約を気づかずに結んでしまう場合もあります。

 

例として実際にローカルのマレーシア人同士の賃貸契約で実際にあった話です。

貸し手が弁護士で契約書を自分で作成した。

借り手もビジネスマンで交渉にたけていたが、この弁護士はその経験を活かし、借り手に非常に不利な契約書をそれとわからないように作成した。

書き方がうまかったため借り手は気づかずにサインした。

数年後退去時に借り手にはデポジットが一切帰ってこず、トラブルになったが、この最初にサインした不利な契約書がネックとなり、デポジットは取り戻すことができなかった。

 

このようにトラブルの元となる賃貸契約書(Tenancy Agreement)の内容ですが、最もトラブルが多いのは以下の部分です。

 

 

デポジットのトラブル

マレーシアでは借りるときにデポジット(日本でいうところの敷金礼金)を払うことになっています。その内訳は幾つかあり、Security DepositとUtility Depositの二つがあります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

家を借りる④ (契約書編)
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退去時に特に問題がない場合は貸し手は借り手にこのデポジットを全額返金しなければなりません。

しかし実際のそうならないことがあり、これが多くの場合トラブルの原因となっています。

借り手側に不利な場合

これは貸し手側が理由をつけてデポジットを返さない場合です。貸し手が資金繰りに困っている場合にはこの傾向が顕著です。

壁や天井のペンキを塗りなおさなければならないなどの理由をつけてくることが多いですが、ペンキの再塗装など、貸し手が新規テナントを入れるために常識的にやらなければならない手入れはすべて貸し手側の負担です。デポジットから引かれる理由とはなりません。

ただしこれは初めにサインした契約書に特記されていない場合に限ります。家を借りる際によく注意して契約書にサインしなければならない理由はここにあります。

貸し手側側に不利な場合

例えば借り手が2か月分のデポジットを支払っていたとします。契約満了の最後の2か月分の家賃をデポジットと相殺したいという申し入れをする借主がいます。借り手が合意すればよいのですが、これは本来のデポジットの意味合いからはずれたやり方です。

仮に室内などが大きく荒らされてしまっていて原状復帰しなければいけない場合、貸し手はその資金を回収できなくなってしまうからです。

原則的にデポジットは家賃と相殺できないことになっています。

 

 

退去のトラブル

借り手が違法なことをしていた場合、または家賃を長期間滞納していた場合など、貸主は借主に出て行ってもらう権限を持っています。この条項は一般的な賃貸契約書にあらかじめ記載されています。

しかし借り手がそれを拒否した場合はどうでしょうか。法的に正しいにもかかわらず貸主は裁判所に行き正式な手続きを踏まなければなりません。

 

 

まとめ

仮に法的に全く正しくて裁判所にそのことをアピールしなければならない場合でも、その処理に数か月(おおよそ7か月といわれている)かかり費用もRM10,000ほど発生するといわれています。時間と費用の面いずれにしても大きな痛手です。

この現行のシステムの限界はたびたび話題となっており、政府もメスを入れなければならない分野であると認識しています。

 

過去のトラブル歴を借主、貸主双方が確認できるシステムの構築が検討されている模様です。

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