【配車アプリ業界が抱える深い闇・光】UberタクシーがGrabへ身売り決定した事に伴う影響

皆さん,こんにちは。Kokonatsです。

今日のブログは今話題の旬の情報を提供したいと思います。

 

最近,マレーシアでタクシーを利用している人達には悲しいニュースが流れました。

アプリタクシー大手のUberがGrabタクシーに身売りを決定したのです。

Uberと言えば2009年に設立されたアメリカの最大大手のタクシー配車サービスの会社で,世界70か国以上に展開し多くの客にこよなく愛されてきました。

観光客をターゲットにしたタクシー運転手の詐欺が世界各国で絶えない中で「タクシー配車サービス」は「相互評価機能」というシステムを提供し,多くの人の旅を劇的に向上させてきました。

 

タクシー配車サービス相互評価機能とは

「相互評価」とは乗客と運転手が相互に評価を付け合い,それぞれの評価を数値にするというものです。評価レートが低ければ信頼の置けない乗客または運転手だ,というレッテルを貼られることになります。評価が積もれば積もるほど,乗客または運転手の人となりをより正確に知ることが可能になりました。出会う前から相手がどんな人かを知ることができるのです。

 

この配車アプリには非常に賢い側面もあります。運転手の評価レートが高ければ高いほど仕事を優先的に与えられる為に,評価レートが良い人ほど稼ぎが良いという合理的なシステムを実現しました。各ドライバーのプロフェッショナル性が稼ぎに直接反映するという超合理的なシステムな訳です。

車内の匂いを気にしたり,車の清掃を頻繁に行う為に一般のタクシーよりも乗り心地が良い場合も少なくありません。

各運転手はそれぞれが”社長”である為に,自分でスケジュールを立て効率的に働くことができる為,子育てや介護をする必要がある人達,自分の趣味をがある人に対しても多くの就業機会を与えてきました。

残念ながら日本では国交省が白タクの乗り入れを禁じている為に利用することはできない配車アプリですが,マレーシアでは「観光」=GRAB/Uberと言っても過言ではない程必須のツールになっていた訳です。

身売り先のGrabとは一体何者?!

そんなUberですが今回Grabという会社に身売りを決定しましたが,Grab社の配車ビジネス参入は比較的新しく2012年とまだ6年しか経過していません。シンガポール資本の会社で現在東南アジア8か国(マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム,カンボジア,インドネシア,ミャンマー)でのみサービスを提供していますが利用者数はグングンと伸び,すでに100万人を超える勢いとなっています。

 

Uberタクシーの身売りの原因は?

2年前までは輝き続けて来たUber社ですが,今になって多額の赤字を計上しているようです。主な問題としては競合他社の台頭で,特に中国では同等の配車アプリが多数存在しており巨額の損失を計上していると噂されています。例を挙げると「デェディチューシン」社があります。現在中国の400都市以上に配車サービスを提供しておりトヨタ,日産,ソフトバンクといった日系企業とも提携を開始し急速に業務を拡大しています。Uberが6年かけて作った乗車回数を一年でクリアしてしまうという恐ろしい企業です。

そんな逆風が吹き荒れる中,昨年2017には会社内部のマネジメントの崩壊が発生しました。創業者トラニス・カラニックの奔放な性格が災いしメディアでネガティブな報道がなされ,会社内での役員レベルのスキャンダルも相次ぎ発覚し,結局トラビス氏はCEO職を辞任せざるを得なくなりました。現在も組織的な混乱が顕著で,20人以上といった優秀な従業員も流出したようです。

赤字計上と会社の信頼の損失,それがダブルパンチとしてUberに降りかかりました。

東南アジア地区でのUber身売りニュースはUber社の転落の始まりと言っても過言ではありません。新たなCEOを率いて再出発するUber社の今後の行く先は注目です。

 

今後の私たちへの影響

Grabからの声明としては「今現在の所,乗客に対しては特に何の影響も与える予定はなく,通常通り営業する予定です」としています。ただ現在のUberアプリは2018年4月8日を持ってサービスを中止することを決定しており今後の混乱の有無に関しては今のところ定かではありません。Uberが保持している顧客情報に関しては全てGrabに引き継ぐとはされています。

私たちに影響を与えるかどうかという質問に対し,私の結論は影響を免れないであろうと予想しています。

①負の側面

Grabは同じ声明の中で運賃レートを変更しないと述べていますが,そこの部分が私の疑問として残るところです。

皆さんは「モノポリー」というゲームをご存じでしょうか?全世界で有名なすごろくゲームですが,多くのマスを揃えればそろえる程,他のプレイヤーがそのマスに止まった時の通行料は増加してゆきます。

そう,お気づきのようにマレーシアにおいてUber社がいなくなることGrab社の「モノポリー」(独占)が起こるのです。通常の赤タクシーもまだ存在はしていますが数年前と比べ台数も大幅に減少し,絶滅への一途を辿っています。Grabが利益を増加させようと考える時,運賃の値上げは避けて通れないものと思われます。増してや,アジア以外の進出を図るGrab社にとってマレーシアはドル箱の国ということになるのです。

今後のタクシー運賃の値上げが起こった時の消費者の反応に国がどう対応するのかにも注目をしていきましょう。もしかしたら中国の企業が進出してくるかもしれませんね。

 

②ポジティブな側面

Grabの独占は必ずしもネガティブの方向だけではありません。そこにはポジティブな側面も眠っています。

ズバリ,改善されるであろうと思われるのはサービスの向上です。Uberが身売りすることでドライバーは新しい職場を探す必要が出るということに注目してください。Uberの優秀なドライバーはみなGrabに転職しようとすることは明らかです。前述したように「相互評価」というシステムにより,良いマナーやサービスを提供できない運転手にはより一層仕事が入らなくなります。

2つ目には配車を受けやすくなるというメリットもあります。Grabを使用されたことがある方は一度や2度はタクシーを取ることができず遅刻をしてしまったという経験があるのではないでしょうか?特に通勤ラッシュアワーや悪天候の場合はその傾向が顕著なのが現在の所です。Grabのドライバーが増えることで「必要な時に乗れるタクシー」に変身して欲しいというのが私の願いです。

 

ニュースを深く考察すると面白い点がたくさんあります。何かコメントがありましたらコメント欄にお気軽にお気持ちをお聞かせください。

 

 

 

 

コメント

  1. さおり より:

    KL在住です。いつもGrabとUbdrは並行してアプリを使用していました。
    両方とも最初提示した定額で乗れること、話をしなくても行き先まで送り届けてもらえる、身元やナンバーを確認できること、センターに報告できることが安心でした。

    Grabは無料チャット機能や、友達などに運転手情報のシェア、リワードシステムなど、安全面やきめ細やかな配慮と楽しいイベントなど演出が上手になされている反面、運転手側によるキャンセルが長く待っていてもいとも簡単にされてしまったり、普通車が出払っていてGrabで同価格でタクシーを頼んだ場合GPS搭載がなく、夜間の一人乗りは不安といった側面もありました。

    Uberは車を見つけやすいしシステムもシンプルでわかりやすいのですが、Grabに比べ待ち時間が大体いつも長かったです。料金もあまり変わらないので、Grabで車が見つからなければUberを使っていました。

    これから競争相手が無くなって殿様商売になってしまったら困るので、有力な配車サービスが適度にお互い切磋琢磨しながら運営していく展開を密かに望んでいる今日この頃です。

  2. kokonats2 より:

    さおり様
    コメントを頂きありがとうございます。このタクシー配車サービス,数年前からしたら考えられないアプリですよね。
    確かにさおり様のおっしゃる通りGrabとUber,それぞれで特徴がありました。。個人的にはUberは寄り道できる機能が付いている点,Grabは多くのキャンペーン(クーポン)が発給された点が嬉しく感じていました。
    友人はクーポンだけを使ってKL市内を無料で移動していたのが懐かしく感じる今日この頃です。(流石に,今後キャンペーンは無くなるとは思いますが,,,)

    今後Uberと合併をするGrabには是非価格の据え置きと,安全面/待ち時間の向上を行ってもらいたいものです。
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