マレーシアのおいて外国人労働者の雇用の仕方に新たな変化が生じています。外国人労働者が多く従事するメイド産業に大幅な改革がなされます。
施行は2018年からです。
外国人労働者雇用に対する法律の大幅な改正は今年に入ってから2度目です。2017年の7月には、外国人の違法労働者を一斉に取り締まるキャンペーンが行われ、休業する店が増えるなど市場が大混乱しました。
恐らく他の産業分野にも段階的に実施されていくものと思われ、目が離せません。
外国人労働者雇用に対する法律はどのように変わるか?
今まで外国人労働者を雇用するにはエージェントを介して行う必要があり、雇用主が直接労働者を見つけてきて雇用することはできませんでした。
このプロセスが2018年から大幅改正され、メイド産業に関してはエージェントを介さずに直接雇用者が労働者を見つけてきて、ビザの申請できるようになりました。
ビザの申請のプロセスも大幅に簡略化せれ、個人でも申請できるようにオンラインシステムが整備される予定となっています。
メイドを雇うときにエージェントを介さなくてよいメリット
雇用主側のメリット
外国人労働者を取り扱うエージェントは悪徳業者が多く、マレーシア国内での評判は良いものではありませんでした。
よくある事例は、雇用主からはビザ申請手数料をもらい、労働者からもビザ申請手数料をもらい、実際にはビザの申請をしないでマレーシア国内で違法で働かせるというものです。エージェント側は双方から手数料をもらっているので2重に設けることができます。多くの場合警察と癒着しており、賄賂の温床となっています。
雇用主とすれば当然ビザの申請代金を払っているので、合法的に働かせていると思っていますが、ある日突然イミグレーションの監査が入り、ビジネスの停止、罰金の支払い、最悪の場合はビジネスを閉じざるを得ないという結果となります。
さらにエージェントが適切な業者でビザを発行したとしても、外国人労働者がどのような人物かは実際に働かせてみないとわかりません。
留守中に家の掃除を頼んで家のものがなくなったとかいった事例は頻繁に発生しています。
エージェントを介さないシステムとなると、親族や人伝てに信頼できる人を自分でアレンジすることができるようになります。
費用に関しても今までエージェントに支払っていた仲介手数料を払わなくてよくなるので、半額ほどで済む模様です。
The Deputy Prime Minister said this was in comparison to the high cost of levies and processing fees charged by agents, which range between RM12,000 to RM18,000 (per worker).
参照記事:http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/10/28/dpm-hiring-maids-will-be-up-to-50-per-cent-cheaper-without-agents/#i0rLbEzfDbOxx2VX.99
今までエージェントに支払っていた額\300,000~\450,000が浮くことになります。
労働者側側のメリット
悪徳エージェントはパスポートを労働者から取り上げているので、労働者側は逃げることもできません。
実際に起きている話は以下の記事をご覧ください。
エージェントが悪徳業者ではなく、適切にビザが発行されても労働者にはたくさんの危険が待っていました。
PETALING JAYA: A 45-year-old man was arrested by police after his wife lodged a report claiming that he had abused and raped their maid.
参照記事:http://www.thestar.com.my/news/nation/2017/10/26/man-arrested-for-allegedly-raping-maid/#XzDcPzTRToQvImBV.99
上記はその例で、雇用者がメイドをレイプしたことが記事になっています。このほかにもメイドに対する体罰、虐待などは頻繁に発生しており、多くの場合新聞記事には取り上げられません。
労働環境も雇用主により大幅に異なっており、メイドに関して言えば、外出は一切許されていないメイド、家族以外との会話を禁じられているメイドも頻繁に目にします。適切な医療を受けることのできるメイドも限られています。
このエージェント仕組みが撤廃されると、労働者はある程度自分で労働先を選ぶことができるようになります。人づてに情報を聞くとか、親族の下で働くといったやり方です。
メイドを雇うときにエージェントを介さなくてよい法律を施工したときのデメリット
この法律がビザを取得するときの抜け穴にならないかが懸念材料といえるでしょう。
海外の親族を呼び寄せるため、雇用契約を結んだ形を取ってビザだけを取得することは誰でも考えることができるアイデアです。
当然マレーシア当局は法律の制限をかけてくるでしょうが、今まではエージェント別にかけていた監督調査を、今度は各家庭に対して行わなければならなくなります。各家庭で雇われているメイド個人をどのように監督していくのでしょうか。
まとめ
少子高齢化で高齢者を見ることのできる人口が絶対的に不足している日本も、遅かれ早かれ外国人を入れなければならなくなってくるでしょう。
言語面で障壁のある日本ではエージェントを作り、そこで教育したりビザのあっせんを受けた外国人労働者が現場に配置されていくことが予想されます。
原因こそ少子高齢化ではありませんが。マレーシアにおいても不足する労働者人口を補うために、同様の措置が取られてきました。
そして問題を改善するため、現在エージェントを撤廃し直接雇用の流れが始まったことは注目に値するといえるでしょう。
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