【2026年版】マレーシアの外国人労働者雇用制度まとめ

マレーシアで外国人を雇用する、あるいは住み込みのメイド(家事労働者)を雇う場合の制度は、この数年で何度も変更が重ねられてきました。2017年当時、政府はメイド産業について「エージェントを介さず雇用主が直接労働者を見つけて雇用できるようにする」という制度改革を発表し、雇用主・労働者双方にとって朗報として報じられました。悪質なエージェントがビザ申請手数料を雇用主・労働者の双方から取りながら実際には申請をしていない、といった被害事例が後を絶たなかったためです。

2026年時点で調べたところ、この「完全にエージェント不要」という当時の構想は、実際にはそのままの形では実現していません。海外(インドネシア・フィリピン等)から新規にメイドを雇う場合、多くのケースで今もライセンスを持つエージェントか登録代理人を通す必要があります。特にインドネシア人メイドについては2022年8月以降、旧来のオンライン雇用システム(SMO/MaidOnline)が使えなくなり、インドネシア大使館の承認を経る正規プロセスが必須になっています。「エージェントなしで直接雇用できる」という情報を見かけた場合は、2017年当時の構想がベースになっている可能性があるため、実際に手続きを進める前に必ず現在の要件を確認してください。

外国人労働者の受け入れは国・業種ごとに細かく決まっている

意外と知られていませんが、マレーシアが外国人労働者の受け入れを認めている送出国は限定されています。2026年時点では、タイ・カンボジア・ネパール・ミャンマー・ラオス・ベトナム・パキスタン・スリランカ・バングラデシュ・トルクメニスタン・ウズベキスタン・カザフスタンの各国籍者は男女とも全業種で受け入れ可能、フィリピン国籍は男性のみ全業種可、インド国籍はレストランのコック(サービス業)・高圧電線工事(建設業)・農業/プランテーションといった特定職種に限定されるなど、国籍・性別・業種の組み合わせで細かく制限がかかっています。雇用主は自社の業種で受け入れ可能な国籍かどうかを事前に確認する必要があります。この承認国リストや業種の組み合わせも政策見直しのたびに変わることがあるため、採用計画の初期段階で最新のリストを確認しておくことが重要です。

外国人労働者を取り巻く2026年の制度整備

メイド個別の直接雇用化は実現していない一方、外国人労働者制度全体では2026年に大きな整備が進んでいます。2026年7月からは人材省(KESUMA)が「eQuota」というモジュールを通じて、外国人労働者の割当(クォータ)申請をFWCMS(Foreign Workers Centralised Management System)という単一のデジタルプラットフォームで一元管理する体制に移行しました。以前は内務省・人材省・移民局など複数の省庁・システムにまたがっていた手続きが一本化される形です。2026年1月にはクォータ申請の特別枠(special window)も設けられ、雇用主が申請しやすい環境づくりが続いています。

レビー(人頭税)の現行水準の目安
半島マレーシア:製造業・建設業・サービス業・鉱業で年RM1,850、農園・農業で年RM640程度
サバ・サラワク州:業種により年RM590〜RM1,490程度
2025年に予定されていた「多層レビー制度(Multi-Tier Levy Model, MTLM)」(外国人労働者への依存度が高い企業ほどレビーが上がる仕組み)の導入は延期され、2026年に本格実施される見込みです。

雇用主として気をつけたいこと

2017年の記事で紹介されていた「悪質なエージェントによる二重取り・違法就労の温床化」というリスク自体は、制度が変わった今も形を変えて残っています。エージェントを利用する場合は、政府が認可したライセンス保有業者かどうかを必ず確認し、ビザ申請の進捗を雇用主自身でも追跡できる体制(FWCMS等の公式システム経由での確認)を整えておくことが、当時も今も変わらない自衛策と言えそうです。特に費用面では、エージェント経由の仲介手数料が高額になりがちなため、複数の登録エージェントから見積もりを取って比較することもおすすめします。

外国人労働者・メイドの雇用制度は今後も改定が続く分野です。この記事は2026年7月時点で確認できた情報に基づいていますが、実際に雇用手続きを進める際は人材省(KESUMA)やイミグレーションの公式情報、または信頼できる登録エージェントに最新の要件を必ず確認してください。

まとめ

2017年に期待された「メイドの完全直接雇用化」は2026年時点でも実現していませんが、外国人労働者制度全体としてはeQuota一元化やレビー制度の見直しなど、デジタル化・透明化に向けた整備が着実に進んでいます。国籍・業種ごとの受け入れルールが細かく決まっている点、そして当時と変わらずエージェント選びの確認だけは怠らないようにしたいところです。

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