投資目的でマレーシア不動産を購入する際に必ず押さえておきたい税金制度があります。マレーシア本来の制度ではなく、不動産投資が過熱した時期に導入された比較的新しい税金で、RPGT(Real Property Gains Tax、不動産譲渡益税)と呼ばれています。
RPGTってなに?
正式名称Real Property Gains Taxと呼ばれるこの税金は、投資熱の高まりで価格が急騰し続けるマレーシア不動産に政府が歯止めをかけようと2008年に一時導入したのが始まりです。その後2010年に再導入され、以降も複数回の改正を経て現在に至っています。
適用範囲
物件を購入して売却したとき、売却価格が購入価格を上回った場合(譲渡益が出た場合)に適用されます。物件の所有者が個人か法人かにかかわらず適用対象です。税金は譲渡益にかかりますが、譲渡益は売却のためにかかった宣伝広告費や法的書類発行の諸経費(Stamp Duty等)を差し引いて計算できます。物件の保有期間は、S&P Agreement(Sales and Purchase Agreement、売買契約書)を締結してから物件を手放すまでの期間で計算されます。
例外(非課税となるケース)
マレーシア国民が生涯で初めて売却する住宅は、一定の条件下でRPGT対象から除外されます(この特例は一度のみ適用可)。また、家族間(配偶者・親子・兄弟姉妹等)での物件譲渡についても非課税となる場合があります。
控除額
譲渡益から控除できる額は「譲渡益の10%またはRM10,000のいずれか高い方」です。この控除は個人(市民・永住者・外国人いずれも)に適用され、法人には別ルールが適用されます。
税率(2026年時点)
保有期間・国籍(マレーシア市民/永住者、外国人、法人)によって税率が異なります。現行の税率は以下の通りです。
| 保有期間 | マレーシア市民・永住者 | 外国人 | 法人 |
| 1〜3年 | 30% | 30% | 30% |
| 4年目 | 20% | 30% | 20% |
| 5年目 | 15% | 30% | 15% |
| 6年目以降 | 0% | 10% | 10% |
マレーシア市民・永住者は6年目以降0%(非課税)になるのに対し、外国人は5年間は一律30%、6年目以降も10%が課税され続け、市民のようなゼロ税率には到達しません。この点は外国人投資家にとって特に重要な違いです。
計算例
購入から4年経過した物件を売却し、譲渡益RM300,000を得たマレーシア国民の場合。控除額は「譲渡益の10%またはRM10,000の高い方」なので、譲渡益の10%であるRM30,000が控除されます。保有期間4年の税率は20%が適用されるため、RPGT額は(RM300,000−RM30,000)×20%=RM54,000となります。同条件で売主が外国人の場合、保有期間4年でも税率は30%が適用されるため、(RM300,000−RM30,000)×30%=RM81,000となり、市民との差が大きく出ます。
REN(不動産仲介)実務での留意点
商業用不動産の売買を仲介する際も、売主(法人・個人問わず)の保有期間によってRPGTの負担額が大きく変わるため、売却価格の交渉や決済スケジュールを検討する段階でRPGT試算を含めた手取り額のシミュレーションを提示できると、クライアントからの信頼度が高まります。特に日系企業が保有する物件を売却する場合、保有期間が5年目に近いかどうかで税率が15%から0%(市民・法人の場合)に大きく下がるケースもあるため、決済タイミングの調整だけで数十万リンギット単位の節税につながることもあります。
まとめ
個人の居住目的で購入した物件を長期保有する場合はさほど影響しませんが、投資目的で購入した個人・法人、特に外国人投資家にとっては保有期間による税率差が非常に大きい制度です。短期売却(5年以内)を検討する外国人investor(投資家)は、譲渡益の3割が税金として持っていかれる前提でシミュレーションしておく必要があります。RPGTの税率・控除ルールは過去にも複数回改正されているため、実際の売却を検討する際は必ずLHDN(内国歳入庁)の最新の公式情報、または現地の税理士・会計士に確認することをおすすめします。なお個人・法人以外にも、信託(トラスト)経由での保有など保有形態によって扱いが異なるケースもあるため、大口の投資・売却を検討する際は事前の専門家相談が欠かせません。



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