笑うのは誰だ?LRT新線開設とそれに影響される不動産価格

クアラルンプール近郊はここ5年ほどで公共交通の整備が進めれています。現在計画の最終段階のひとつであるLTR3の建設が開始されています。物件により価格の上昇と下落の両方がみられています。

 

 

LRT3とは

LRTとはThe Light Rail Transit Line 3の略称で、数両編成の鉄道です。

クアラルンプール近郊ではすでにいくつもの鉄道プロジェクトが完了しており、その中の最終プロジェクトとして位置づけられています。完成すればこのLTR3のラインだけでも1日70万人の利用者が予想されています。

最終発着駅はOne UtamaとKlangで完成予定は2020年です。

One Utamaは空港や他の主要都市とバスで連結されており公共交通のハブとして計画されています。現在大規模な駐車場などの整備が急ピッチで進められています。

 

 

LRTの使用状況

公共交通が整備されることで人の流れが大きく変わりつつあります。もともとクアラルンプールは超車社会。車を利用することなくしてどこへ行くこともできませんでした。

GrabやUberなどのタクシーのアプリができるまでは車を持たない外国人や旅行者にとっては不便極まりなく、ぼったくられることもしばしばでした。

バスもとても信頼できる代物ではなく、いつ来るかわからない、1時間ほど待つこともざらにありました。

GrabやUberの登場でこの問題は大きく改善されましたが、今度の鉄道の開通で渋滞に悩まされている交通問題にも大きく改善が見られそうです。

実際に開通当初はあまり利用がみられなかった電車ですが、次々と通勤に使用するローカルのマレーシア人がみられてきています。

クアラルンプール中心部に行くのに早くて渋滞もない交通手段は、車を持つ人にとっても魅力的な移動手段です。

 

 

不動産価格にはどう影響するか

鉄道の新たな開通は周囲の不動産に新たな付加価値を発生させました。

それとともにある不動産物件は鉄道の新たな開通のあおりを受けています。

駅がそばにできた物件は交通の便が増しましたが、あまりに近いと騒音が発生するため人気が出ません。さらに治安上の問題や駐車スペースの問題も発生します。

線路沿いになってしまった物件はさらに悪いことに交通の便は改善せず、騒音問題のみが発生するため一方的な価格の下落がみられています。

問題はどこに駅ができ、どこに線路が開通するかなのですが、ぎりぎりまで移動する可能性のあるのがマレーシアです。一度決まりかけた駅の場所が周囲の働きにより変更された事例は多々あります。

 

事例

過去の事例

すでに鉄道が開通した過去の事例を見てみましょう。

新規開設したMRT周辺状況

KVMRTの名前のもと建設された幹線で、産業地帯であるSungai BulohとKajangを結んでいます。1日40万人が利用すると予想されているこのラインですが、完成までに紆余曲折がありました。

例えばこのラインのひとつであるTTDI Stationですが、この駅の場所が決定するまでにも様々な試行錯誤がありました。

現在の場所は高架で道路をまたぐ形で建設されていますが、実は当初の案はこのようなものではなく、近くにあるTTDIマーケット市場に隣接してこの駅を建設するという案でした。

しかしこの市場は地元の人たちが多く利用する市場であり、交通渋滞に対する懸念などが強かったため、反対意見が多く、ついに代替案である現在の案が採用されました。

Govt takes public feedback into account on MRT stations
SEVERAL changes have been made to the alignment of the MRT after taking public feedback into account.

 

新規開設したLRT周辺状況

この駅の場所も当初のものとは二転三転して決定されました。その結果当初全く計画されていなかった場所に駅が建設され、近隣物件を所持していた家主はクアラルンプール観光客をターゲットとしたAirbnb事業が行えるなど新たなビジネスチャンスを得ました。

始めに不動産物件をこの場所に購入した人で近くに駅ができることを予想した人はどれだけいるでしょうか。

Alternative site for LRT proposed
RESIDENTS of Saujana Residency in Subang Jaya submitted an alternative site for LRT station 4 on the proposed Kelana Jay...

 

現在の状況

LTR3路線周辺の不動産状況

LRT3はOne Utamaにつながることは決定されていますが、具体的にどこに線路を持ってくるのか、それはまだ検討段階にあります。線路沿いとなった住宅の価格は必然的に騒音、交通渋滞のため下がります。そのため今のうちに売りに出しておこうという家主が発生しています。

駅が隣接するエリアになった場合、近すぎるとやはり騒音のため物件価格が下がる傾向にあります。幸運なことに適度な距離に位置している物件のみ価格が上昇するのです。

現在の駅及び線路の計画地域は下記サイトをご覧ください。

https://www.lrt3.com.my/alignment-stations/

 

 

まとめ

まだ最終決定段階でないため、どのエリアが値上がりするのか、値下がりするのかは確定していません。家を売りに出している家主・エージェント共にそのような不利な情報は言いたがりません。

その地域の住民と親しくなり情報をこっそり教えてもらったり、正式な情報に常にアンテナを張っている必要があります。

さらに長期的な視点で見れば、現在インターナショナルスクールなどがあって外国人に人気のモントキアラ周辺のエリアですが、駅は近くになく、車の渋滞も激しいため、将来的には駅を利用してクアラルンプールに行くことのできる他のエリアに外国人が分散していくことも考えられます。

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