マレーシアのペラ州では、2018年頃に予定されていたビニール袋・プラスチック製容器の使用禁止令が、代替品の普及が追いつかず施行延期になるという出来事がありました。市庁舎のカフェで生分解性容器を試験導入するところから始め、段階的に一般市場へ広げていく計画でしたが、有効な代替手段の確立に時間がかかっていたのです。
そもそもなぜプラスチック製容器が問題視されるのか
石油由来のプラスチック容器は自然分解までに10〜20年以上かかると言われ、海洋生物への影響(ウミガメがビニール袋を誤食する等)や、原料である石油そのものが有限資源であることが問題視されてきました。ペラ州が当初目指していた生分解性容器への切り替えは、植物由来のデンプン(マレーシアではタピオカが原料候補として検討されてきました)を使い、数か月程度で自然に分解される点で環境負荷が小さいとされる代替案でした。しかし理念は良くても、コストや供給体制が追いつかなければ現場での定着は難しい、というのがペラ州のケースが示した教訓だったと言えそうです。
なぜ有料化だけでは不十分だったのか
RM0.20程度の課金では、消費者の行動変容を促すには金額として小さすぎたことに加え、マイバッグ持参の習慣が定着しないまま制度だけが先行してしまったことが背景にあるようです。単純な課金ではなく、生分解性素材への切り替え義務化や、そもそもの配布禁止といった、より踏み込んだ規制へ移行する流れは、マレーシア全体のビニール袋規制ロードマップ(2026年までの全国禁止を目指す動き)とも合致しています。
他国の事例との比較
プラスチック袋規制は東南アジア各国でも進んでおり、タイやベトナムでも同様の規制強化の動きがあります。一気に厳格な禁止令を敷くのではなく、有料化→代替素材の義務化→配布そのものの禁止、といった段階を踏みながら消費者・事業者双方の適応期間を設ける手法は各国で共通しており、ペラ州の試行錯誤もこうした地域的な流れの一部として捉えることができそうです。
他州の状況とあわせて
セランゴール・ペナン・ジョホールなど既に本格的な規制を実施している州がある一方、ペラ州のように試行錯誤を重ねている州もあり、マレーシア国内でも地域によって進捗にはっきりとした差が出ています。事業者としてマレーシア国内で複数の州にまたがって店舗展開する場合、州ごとの規制状況を個別に確認しておく必要がありそうです。
マレーシア全体のロードマップの中でのペラ州
天然資源・環境持続可能性省(NRES)は2026年までの使い捨てプラスチック袋全国禁止を目指すロードマップを進めており、セランゴール・ペナン・ジョホールなどでは既に本格的な規制が実施され、クアラルンプールを含む連邦直轄領でも通常のビニール袋の提供がほぼ行われなくなっています。こうした先行州と比べると、ペラ州の規制は数年にわたり試行錯誤を重ねている状態で、全国的なロードマップの中でも進捗が遅れている州の一つと位置付けられそうです。
ビジネスへの影響
マレーシアに拠点を持つ日系企業にとっても、こうした地方ごとの規制の差は意外な落とし穴になり得ます。複数拠点を展開する際は、本社(KL)基準の対応だけで済ませず、進出先の州の条例を個別に確認する体制を整えておくと安心です。
プラスチック規制のような地味な行政ニュースは見過ごされがちですが、実際に事業運営コストや店舗オペレーションに直結するテーマです。今後もこうした制度変更については継続的にウォッチしていきたいと考えています。次に大きな動きがあった際には、あらためて最新情報を追記する予定です。



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