ドリアンを超えてきた!マレーシア最凶の珍味

マレーシアに住んでいると、ドリアンよりも強烈な「珍味」に出会うことがあります。知り合いの中華系マレーシア人の家に招かれた際、裏庭で採れたという見慣れない木の実を「食べてみて」と勧められました。まずいと言われる食べ物はこれまでも色々試してきましたが、これは今までの珍味歴の中でもトップクラスの体験でした。

激苦から激甘へ、味が変わっていく不思議な実

見た目は羽が付いていて、イチョウの種のような形をしています。黒い殻をむいて、中の白い部分を食べるのですが、気になるお味は…

激苦ッ!!

そして驚くことに、しばらくすると

激甘ッ!!!!

口に入れている間に味がガラリと変わっていくのです。その苦さは正露丸をそのまま食べるのといい勝負というくらいで、吐き気がするほど苦く、思わず水が飲みたくなります。ところがそこで水を飲むと、今度は砂糖より甘い「激甘地獄」がやってきます。感覚としては、濃い砂糖シロップのような甘さです。

実はこの苦味から甘味への変化は思い込みではなく、モリンガの種に含まれる辛味成分(グルコシノレート、いわゆるマスタードオイルの仲間)由来の苦味が、水を飲むことで感じにくくなり、後に残る自然な甘みが際立つためと考えられています。

正体は「モリンガの種」

ローカルの知人に聞いても何という食べ物か分からなかったので、帰宅後に調べてみたところ、正体は次のものだと判明しました。

モリンガの種

モリンガはアジア・アフリカの亜熱帯地域で育つ木で、インゲンに似た大きなさやの中にこの種が入っています。マレー語では「クロー(kelor)」とも呼ばれ、食用・薬用として使われてきた歴史は長く、4,000年前後という説もあります。

モリンガの種にはどんな栄養があるのか

学術研究では、乾燥したモリンガの種はタンパク質(乾燥重量の約36%)や脂質(約38.7%)を豊富に含み、ビタミンEやマグネシウムの含有量も高いことが報告されています。抗酸化作用を持つ成分も含まれており、栄養価の高い食材であることは間違いありません。

一方で、生の種にはフィチン酸や独特の苦味成分など、消化を妨げる可能性のある成分も含まれています。実際、空腹時に食べると胃がムカムカしますし、私自身も翌日お腹を壊しました。ローカルの方はナッツのような感覚で食べると言っていましたが、少なくとも大量に、あるいは空腹時に生のまま食べるのはおすすめしません。

「病気に効く」という話について

モリンガについては「特定の病気に効く」という話をネット上でよく見かけますが、その多くはまだヒトでの臨床試験ではなく、細胞や動物を使った基礎研究の段階です。モリンガの葉や樹皮の抽出物が試験管内でがん細胞の増殖を抑えたとする研究報告はあるものの、種の抽出物についてはほとんど効果が見られなかったとする研究もあり、部位によっても結果が異なります。「モリンガの種を食べれば病気が治る・予防できる」といった断定はできない段階だと理解しておくのが安全です。

また、モリンガは食物繊維やビタミン・ミネラルが凝縮された食材でもあるため、妊娠中・授乳中の方や、糖尿病・甲状腺・血圧などの薬を服用中の方は、自己判断で大量に摂取する前にかかりつけ医に相談することをおすすめします。

マレーシアの珍味レース、他の候補は

モリンガの種に匹敵する「クセの強い食材」としてよく名前が挙がるのが、独特の匂いで知られるプテ(petai、和名スティンクビーン)です。炒め物やサンバルに入れて食べるのが定番ですが、食後しばらく体臭・尿の匂いにまで影響が出ることで有名で、初めて食べる外国人の多くが匂いの強烈さに驚きます。ドリアンは今や世界的に知られるようになりましたが、プテやモリンガの種のような「地元の人にとっては当たり前だけど外国人には衝撃的」な食材は、マレーシアにはまだまだ隠れています。珍味探しが好きな方にとっては、飽きることのない国と言えるかもしれません。現地の友人・知人ができたら、勇気を出して「一番クセのある食べ物は何?」と聞いてみるのもおすすめです。思わぬ発見(そして翌日の胃腸への試練)が待っているかもしれません。マレーシアの食文化の奥深さは、観光ガイドには載っていないこうした一言から見えてくることが多いものです。

まとめ

栄養価の高さから見ると、モリンガの種はもはや普段のおやつというより漢方に近い存在です。空腹時に食べるのは避けた方がよく、初めて試すなら少量から様子を見るのがおすすめです。マレーシアのローカルの知人からナッツのように勧められて驚いた、という体験も含めて、貴重な珍味体験でした。もう一度と言われると少し迷いますが、話のネタとしては一級品です。

コメント