マレーシアに住んでいると、ドリアンよりも強烈な「珍味」に出会うことがあります。知り合いの中華系マレーシア人の家に招かれた際、裏庭で採れたという見慣れない木の実を「食べてみて」と勧められました。まずいと言われる食べ物はこれまでも色々試してきましたが、これは今までの珍味歴の中でもトップクラスの体験でした。

激苦から激甘へ、味が変わっていく不思議な実
見た目は羽が付いていて、イチョウの種のような形をしています。黒い殻をむいて、中の白い部分を食べるのですが、気になるお味は…
激苦ッ!!
そして驚くことに、しばらくすると
激甘ッ!!!!
口に入れている間に味がガラリと変わっていくのです。その苦さは正露丸をそのまま食べるのといい勝負というくらいで、吐き気がするほど苦く、思わず水が飲みたくなります。ところがそこで水を飲むと、今度は砂糖より甘い「激甘地獄」がやってきます。感覚としては、濃い砂糖シロップのような甘さです。
正体は「モリンガの種」
ローカルの知人に聞いても何という食べ物か分からなかったので、帰宅後に調べてみたところ、正体は次のものだと判明しました。
モリンガはアジア・アフリカの亜熱帯地域で育つ木で、インゲンに似た大きなさやの中にこの種が入っています。マレー語では「クロー(kelor)」とも呼ばれ、食用・薬用として使われてきた歴史は長く、4,000年前後という説もあります。
モリンガの種にはどんな栄養があるのか
一方で、生の種にはフィチン酸や独特の苦味成分など、消化を妨げる可能性のある成分も含まれています。実際、空腹時に食べると胃がムカムカしますし、私自身も翌日お腹を壊しました。ローカルの方はナッツのような感覚で食べると言っていましたが、少なくとも大量に、あるいは空腹時に生のまま食べるのはおすすめしません。
「病気に効く」という話について
また、モリンガは食物繊維やビタミン・ミネラルが凝縮された食材でもあるため、妊娠中・授乳中の方や、糖尿病・甲状腺・血圧などの薬を服用中の方は、自己判断で大量に摂取する前にかかりつけ医に相談することをおすすめします。
マレーシアの珍味レース、他の候補は
モリンガの種に匹敵する「クセの強い食材」としてよく名前が挙がるのが、独特の匂いで知られるプテ(petai、和名スティンクビーン)です。炒め物やサンバルに入れて食べるのが定番ですが、食後しばらく体臭・尿の匂いにまで影響が出ることで有名で、初めて食べる外国人の多くが匂いの強烈さに驚きます。ドリアンは今や世界的に知られるようになりましたが、プテやモリンガの種のような「地元の人にとっては当たり前だけど外国人には衝撃的」な食材は、マレーシアにはまだまだ隠れています。珍味探しが好きな方にとっては、飽きることのない国と言えるかもしれません。現地の友人・知人ができたら、勇気を出して「一番クセのある食べ物は何?」と聞いてみるのもおすすめです。思わぬ発見(そして翌日の胃腸への試練)が待っているかもしれません。マレーシアの食文化の奥深さは、観光ガイドには載っていないこうした一言から見えてくることが多いものです。



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