生分解性プラスチックビニール袋の普及を目指すマレーシア

今年に入りセランゴール州によるスーパーでのビニール袋の有料化など、ビニール袋をめぐる分野においても動きがみられています。

政府の環境に良い影響を及ぼさないビニール袋の使用を抑えていきたいという意向が見られます。

石油を原料として用いた通常のビニール袋は分解までに10~20年かかると言われています。

ウミガメがビニール袋を食べて、個体数が減ってきているなどの報道なども示すように動植物に対する影響も大きくなっています。さらに原料の石油も埋設量に限りがあります。

マレーシア政府は近年、環境にやさしいとされている

生分解性プラスチック

に注目しています。

 

生分解性プラスチックとは

植物由来のデンプンを原料として用いた本来の石油由来のプラスチックの代替品です。

石油由来のプラスチックとは異なり、この生分解性プラスチックは数か月でバクテリアにより分解されて土壌に帰るという特徴があります。

また原料が植物由来のデンプンであるため、元をたどれば光合成から空気中の二酸化炭素と太陽光を元にして作られたクリーンな原料です。

マレーシアでは現在タピオカが生分解性プラスチックの原料として検討されています。

 

ビニール袋をめぐるクアラルンプール当局の法律制定の発表

クアラルンプール当局は、すべての商用ビニール袋は今年の9月1日からこの生分解性プラスチックを利用しなければならない政策を発表しました。

違反者にはRM 2,000の罰金が課される予定です。

いつも通り突然の発表でした。

しかし取り組むべき課題はたくさんあります。

 

課題

1.ビニール袋の価格が高いこと

通常の石油系原料を用いているビニール袋の価格の3倍近くになります。経営者にとってこの費用は大きな負担です。

そしてこの追加費用の発生は消費者に直接影響を及ぼしてきます。

例えばMamakショップなどでコーヒーを持ち帰るとビニール袋に直接入れて渡してきます。現在はRM1~2で済んでいたのがRM3~4などになるのでしょうか。もっと高くなるかもしれません。

消費者はそれに耐えられるでしょうか。

さらにそうなると安さが売りで庶民に愛されているMamakショップの利点が薄れ、街中のコーヒー店と価格面での差がなくなってきます。

Mamakショップの数が減る可能性もあります。

 

2.耐久性が低いこと

生分解性プラスチックは通常のビニール袋と比べ、耐久性が低いようです。

そのため同じ荷重のものを運ぶためには、結果的により多くのビニール袋を使用しなければならなくなってきます。

つまり事前の机上の計算よりも実質的な金銭的負担はより大きくなることが懸念されています。

 

さらにどれほど良い環境下で保存していてもこの生分解ビニール袋は6か月ほどで劣化して使用できなくなります。高温多湿のマレーシアの気候ではなおさらです。

自然に還ることが売りのこの生分解性プラスチックは、自然に還るのが必要以上に速いのです。

 

3.原料の供給が追い付かないこと

マレーシアで現在清算されているタピオカの量ではとても市場に見合った量の生分解性プラスチックを清算することができません。現在の生産量では一つの会社にも供給することができないと言われています。

 

まとめ

ビニール袋製造業界はこの取り決めの即時執行性を大きく疑問視しているようです。

結局どの分野でも新しいことを始めるのには反対がつきものですが、消費者がこの変化に耐えられるかが鍵といえるでしょう。

ビニール袋禁止令施行延期
ペラ州で6月1日から予定されていたビニール袋とプラスチック製の箱の使用の禁止令の施行が延期になりそうです。 関連する分野の再検討の後、施行が再検討される予定です。 昨年にこの法律の発表がなされて以来、実際に州の庁舎で取り組みを始めてきました...

 

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