【2026年版】メガネなしで3D体験できるノートパソコンのその後(ASUS Spatial Vision/Acer SpatialLabs)

2023年1月、Asusは3D OLEDスクリーンを搭載した新型ノートパソコンを発表しました。このディスプレイは、オートステレオスコピック、つまり特殊なメガネを使わずに3D効果を生み出すもので、コンテンツ制作・映画鑑賞・ゲームなどでの活用が想定されていました。

Spatial Visionとは

この技術は「Spatial Vision」と呼ばれ、異なる角度から見ても3D効果を発揮する画面技術です。2人の人間が同時にスクリーンを見ても、それぞれ3D画像として見える点が特徴で、ディスプレイ上部の2つのカメラでユーザーの視線を追跡し、見る角度が変わっても3D画像を常に調整する仕組みです。スクリーン内のレンチキュラーレンズがそれぞれの目に別々のステレオ画像を送ることで、この効果を実現しています。Steam VR・OpenXR・Vulkan・WebXR・Nvidia CloudXRといった幅広いプラットフォームに対応し、Blender・SketchUp・Nvidia Omniverse・VRED・Twinmotion・eDrawingsなど建築・CG系のソフトウェアにも対応していました。

建築・CG業界での活用可能性

対応ソフトウェアの一覧にBlender・SketchUp・Nvidia Omniverse・VRED・Twinmotion・eDrawingsといった建築・製造業向けの3D CADやレンダリングソフトが含まれていた点は、当時から建築・CG業界を意識した設計だったことがうかがえます。3ds・obj・fbx・gltf・glb・stl・stp・mp4・avi・sbsなど、ほとんどの主要3Dファイル形式に対応していたことも、業務利用を見据えた設計だったと言えそうです。実際に導入したスタジオがどこまであったかは公開情報からは分かりませんが、少なくとも技術的な土台としては建築パースのプレゼンテーションにも転用できる設計だったことは間違いありません。

発表時点では価格・発売日は未定でしたが、その後実際に発売され、価格が判明しています。ProArt Studiobook 16 3D OLED(H7604)は構成によって、RTX4060・32GB RAM・1TB SSDで約3,300ドル、RTX4070・32GB・2TB SSDで約3,800ドル、64GB RAM・4TB SSDの上位構成で約4,380ドル(いずれも発売当時の米国価格目安)という価格帯でした。レビューでは、クリエイティブ用途としては強力なマシンである一方、120Hzの3D OLEDパネル自体の実用性についてはやや評価が分かれる、という声もありました。

2026年時点でのグラスレス3D技術の状況

ASUS Spatial Visionは2026年時点でも公式サイトに専用ページがあり、対応製品ラインとして現役で展開されています。ただし2026年のASUS新製品発表(CES 2026・Computex 2026)ではAI PCやデュアルスクリーン機(Zenbook Duo等)が主力で、Spatial Visionの目立った後継機種の発表は見当たりませんでした。一方、競合のAcerは「SpatialLabs」という同様のグラスレス3D技術を継続展開しており、ゲーミングノートのPredator Helios 300 SpatialLabsエディション、クリエイター向けのAspire 3D 15、外付けモニターのSpatialLabs View 27など、むしろ製品ラインナップを広げている印象です。グラスレス3D自体がまだニッチな市場であることは変わりませんが、少なくとも「一時の流行で終わった技術」ではなく、複数メーカーが継続投資している分野だと言えそうです。

グラスレス3D表示は、建築パースやプロダクトデザインのプレゼンテーションにおいて、施主様やクライアントにメガネなしで立体的な仕上がりイメージを直接見てもらえる、という点で興味深い技術です。CG業界に関わる立場としても、こうしたハードウェアの進化は今後の提案手法の選択肢として注目しています。特にREN(商業不動産)の内見資料やプロジェクト説明会など、複数人に同時に立体的な仕上がりを見てもらいたい場面では相性が良さそうです。

まとめ

2023年に発表されたASUS Spatial Visionは、その後実際に発売され3,000〜4,000ドル台の価格帯で市場に出ました。2026年現在も技術自体は継続していますが、目立った後継機種はなく、むしろAcerのSpatialLabsが積極的に製品を広げている状況です。グラスレス3D表示技術自体はまだ発展途上ですが、CGビジュアライゼーションのプレゼンテーション手法として今後も動向を追いたい分野です。今後、価格がこなれてより手が届きやすくなれば、建築業界での採用事例も増えてくるかもしれません。

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