こんにちは、KOKONATSです。2020年頃から話題になっていた3Dプリンターでの建築は、2026年現在、実証実験の域を超えて実際の分譲・商業プロジェクトとして世界各地で動き出しています。ドイツでは380㎡の三階建て住宅が3Dプリンターで建設されて話題になりましたが、あれから数年でこの技術がどこまで広がったのか、当時の解説に現在の状況を織り込みながらまとめ直します。
3Dプリンターで建築するとは、どういう仕組みなのか
いくつかの会社がそれぞれ異なるマシン・システムを開発していますが、共通しているのは、ノズルからコンクリートをマヨネーズのように押し出して積層していく方法です。壁ができたら電気・ガス・上下水道管のスペースを確保しつつ、空洞部にもコンクリートを充填していきます。断熱材として、その土地で調達できるもみ殻などの材料を内部空洞部に詰めるアイデアも実用化が進んでいます。マシンの精度を気にする方もいるかもしれませんが、高度に制御されており風や振動にも耐える設計になっていて、実際には人間の手作業より誤差が少ないとされています。
3Dプリンターで建設するメリット
①型枠不要
通常コンクリートで建築物を建設するには型枠を組む必要がありますが、3Dプリンターを使った建設方法だとこの型枠工程が不要になります。材料を節約でき、型枠を組む人工も減らせます。建築物の形が型枠の施工性に縛られないのも大きな利点です。
②工期短縮
例えば通常は5人の作業員が5日間かけて行う作業でも、3Dプリンターを使うと2〜3人・25時間ほどで完了させられるケースがあります。
③労働者不足への対応
日本だけでなく世界各国で若年層の建築現場離れが進むなか、機械の導入はこの課題に一石を投じる手段になり得ます。
④品質の均一化・自由な形状
機械制御で施工スピードが速いため天候の影響を受けにくく、現場打ちコンクリートよりも安定した品質を出しやすい面があります。型枠の施工性に形状が縛られないため、複雑な曲面を持つ新しい形状の構造物も実現しやすくなっています。
マレーシアでも普及が本格化(2026年時点)
2020年当時、この記事は「近い将来マレーシアでも導入されるかもしれません」という予測で締めくくっていましたが、2026年現在、実際に動きが出てきています。
- KA BINAがマレーシア・シンガポール向けの3Dコンストラクションプリンター(3DCP)の正規代理店として、国内初の3Dプリンター住宅プロジェクトを推進中
- COBODの技術により、マレーシア地方部やボルネオ島(サラワク州クチン、CIDB傘下の訓練施設内)でも3Dプリンター住宅の実例が登場
- 東京拠点のV3D Asiaが現地法人Nuvahを通じ、Cheras(チェラス)のゲーテッドコミュニティに続き、クアラルンプール近郊の高級住宅エリアCountry Heights Damansaraで大型高級邸宅2棟の3Dプリンター建設プロジェクトを発表。2026年第4四半期のローンチに向けて現在EOI(購入意向表明)を受け付けている段階
- 2026年6月には、V3D AsiaとNuvahがSIRIM Academyと提携し、マレーシア初となる3Dプリンター建築の業界標準づくりに着手したことも発表された
SIRIM Academyとの提携は、マレーシアの建設業界が抱える労働力依存・資材ロス・コスト増加・工期の長期化といった課題への対応策として位置づけられています。V3D Asia側が材料工学や現場実装の知見を、SIRIM Academy側が規格策定・トレーニング・認証の専門性を持ち寄り、信頼できる実務的な枠組みづくりを目指す構図です。Country Heights Damansaraは高級住宅エリアとして知られており、この技術が普及すれば周辺の建設・不動産マーケット全体にも一定の影響を及ぼす可能性があります。市場規模で見ても、Grand View Researchの推定によれば世界の3Dプリンター建築市場は2025年時点で約993億ドル、2026年には約1,927億ドル規模に達するとされており、今後も拡大が見込まれています(出典は下記)。
なお、3Dプリンター建築は施工スピードが速い一方、「複雑な曲面・自由形状の構造物」が長期的にどこまで耐久するかはまだ実証段階です。2026年時点でも数年単位の実例しかなく、伝統工法と同等の耐久性が証明されるにはもう少し時間がかかりそうです。
費用・工期の両面で3Dプリンター建築には多くのメリットがあります。同時にこの技術の魅力は「型枠にとらわれない自由な形状」を実現できる点にもあります。そしてその自由な形状を着工前の段階でクライアントや投資家に正確に伝えるには、3D CGパースによる完成イメージの共有が欠かせません。建築ビジュアライゼーションの観点からも、こうした新しい建築工法の広がりは見逃せない動きです。
出典: Grand View Research / ConstructConnect / Machine Maker / COBOD International / KA BINA / AM Insight Asia / The Sun(SIRIM Academy提携) / The Edge Malaysia(SIRIM Academy提携詳細)



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