「日本に一時帰国するついでにiPhoneを買ってきた方が安いですよね?」
「マレーシアで買うと保証はどうなるんでしょうか」
駐在や移住でマレーシアに住んでいる方から、こうした質問をいただくことが増えました。以前は「日本の方が明らかに安い」で話が終わっていたのですが、いまはそう単純ではありません。
理由は二つあります。ひとつは、日本のiPhoneが2026年7月18日の価格改定で最大25,000円値上げされたこと。もうひとつは、リンギット高・円安が続き、リンギット建ての価格を円に直したときの見え方が年単位で変わることです。数年前の「日本が安い」という感覚のまま判断すると、思ったほど得をしないのが現実です。
この記事では、2026年8月時点の両国の公式価格を並べたうえで、新品・中古それぞれの買い方と、買う前に必ず確認しておきたい4つの落とし穴を整理します。
新品の価格を並べて比べる
まずは事実から確認します。以下はApple公式ストアの価格です。日本は消費税10%込み、マレーシアはSST込みの表示価格。円換算は2026年8月初旬のレート(1リンギット=約38.5円)で計算しています。
| モデル(256GB) | 日本(税込) | マレーシア | 円換算 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| iPhone 17e | 107,800円 | RM2,999 | 約115,500円 | 日本が約8千円安い |
| iPhone 17 | 142,800円 | RM3,999 | 約154,000円 | 日本が約1.1万円安い |
| iPhone 17 Pro | 194,800円 | RM5,199 | 約200,200円 | 日本が約5千円安い |
| iPhone 17 Pro Max | 214,800円 | RM5,999 | 約231,000円 | 日本が約1.6万円安い |
2026年8月時点では、どのモデルも日本の方が数千円〜1.6万円ほど安いのが結論です。
ただし差は3〜7%程度で、往復の航空券代を上乗せするような話ではありません。「iPhoneのために日本へ帰る」は明確に割に合わず、帰国の予定がすでにあるときの”ついで買い”としてのみ成立します。
加えて、価格改定前の日本の iPhone 17 は129,800円でした。1年で差が1万円以上縮んだことになります。逆に言えば、リンギットが円に対してもう一段強くなれば、この表の優劣は簡単に入れ替わります。買う直前に両国の公式サイトを開いて、その日のレートで計算し直すのが鉄則です。
買う前に確認したい4つのこと
1シャッター音
日本国内で売られているiPhoneは、カメラのシャッター音を消せません。マナーモードにしても鳴ります。マレーシアで販売されているモデルにはこの制約がなく、消音で撮影できます。図面や現場写真を撮る機会が多い方、静かな場所で撮ることが多い方にとっては、数千円の価格差より重い判断材料になります。
2保証を受けられる場所
iPhoneの保証は、購入した国・地域で受けるのが基本です。日本で買った端末をマレーシアで修理に出せるかどうかは、故障の内容や部品の供給状況によって変わります。マレーシアで長く使う前提なら、現地で買った方が修理のときに揉めません。AppleCare+ もマレーシアでは iPhone 17 で RM749。加入するなら購入時に決めておく必要があります。
現地での修理の実際は、iPhoneをマレーシアで修理したときの記録にまとめてあります。Harvey Normanの保険を付けた場合の扱いも書いています。
3免税とその制度変更
日本で免税(消費税10%分)が使えるなら、iPhone 17 は実質12万9千円台になり、差は一気に2.4万円まで開きます。ただし免税の対象になるのは非居住者などの条件を満たす人だけで、日本に住民票がある方や滞在が長い方は対象外です。自分が該当するかは店頭で確認してください。
さらに、2026年11月1日から日本の免税制度は「リファンド方式」に変わります。これまでは店頭で税抜価格を支払えば済みましたが、以降は一度税込で支払い、出国時に空港の税関で持ち出しを確認してもらってから消費税相当額の返金を受ける形になります。手続きの手間と時間が増えるため、出国当日のスケジュールに余裕を見ておく必要があります。
4マレーシアへの持ち込み
自分で使う1台を手荷物で持ち込むぶんには、通常は問題になりません。ただし未開封の箱をいくつも持ち込むような場合は、輸入とみなされて課税対象になることがあります。マレーシアは2025年7月からSSTの課税範囲を段階的に広げ、2026年1月からは猶予期間も終了して本格的な執行段階に入りました。台数や金額が大きくなりそうなら、事前に関税局(JKDM)へ確認しておくのが安全です。この点は年ごとに運用が変わるため、この記事の記述をそのまま信用せず一次情報にあたってください。
なお、かつて海外版iPhoneの購入先として定番だった通販サイト「EXPANSYS(エクスパンシス)」は、2023年に商品が届かないという報告が相次いだ末にサイトが停止し、日本向けサービスは事実上終了しています。現在 expansys.jp のアドレスを開いても、当時とは無関係な別サイトが表示されます。個人輸入を考えている方は、この名前で検索して出てくる古い記事を鵜呑みにしないでください。
中古・未使用品はどこで買うか
新品の差が1万円前後なら、実は中古市場の方が両国の違いは大きく出ます。
マレーシア側の選択肢
ペタリンジャヤのDigital Mallは、あらゆるブランドの中古端末が集まる老舗のモールです。目利きができる人には面白い場所ですが、動作確認は自己責任です。逆に、日本では値段のつかなかった古い端末を持ち込んだところ、思ったより高い査定額が出たことがあります。売る側に回るなら悪くない場所です。
個人売買ならMudah.my。日本のヤフオクに近い立ち位置で、保証はありません。ECモールではShopeeとTikTok Shopが2026年時点のマレーシア市場を二分しており、Lazadaが3番手という構図です。2026年6月にはTikTok Shopの訪問数がShopeeを2.4%上回ったという集計もあり、勢力図はまだ動いています。いずれのモールにも中古・リファービッシュ品の出品はありますが、驚くほど安い個体は理由があると考えた方がいいです。実際、知人が安値で買った端末は頻繁に強制終了を起こしていました。
日本側の選択肢
確実さで選ぶならApple認定整備済製品です。新品同様の状態で保証も付きますが、人気の構成はすぐ品切れになるため、公式サイトを定期的に見に行く必要があります。
コストパフォーマンスならじゃんぱらが有力です。実店舗とオンラインの両方を運営していて、価格設定が絶妙です。転売目的では旨みが出ない一方、一般の買い手には十分安いという水準に置かれています。関東からの発送で2〜4日ほどで届きます。
メルカリは閲覧者が多いぶん、掘り出し物は数秒で売れます。しばらく相場を見ていましたが、割安感はあまりありませんでした。むしろ利用者が分散したヤフオクの方が、たまに驚くような価格の出品に当たります。実際に一度そこで購入し、品質にも問題はありませんでした。
中古の状態差はどこから来るか
日本の中古端末は、付属品が揃っていて傷もほとんどないものが多く見つかります。これは気質の問題ではなく、①フリマ・買取店ともに商品状態のランク付けが細かく、状態が悪いと値が付きにくい ②ケースとフィルムを付けて使う習慣が広く定着している ③高温多湿の期間が相対的に短い、という条件が重なった結果です。逆に言えば、マレーシアでも状態のよい個体は普通に流通しています。問題は「見分けがつく形で情報が出ているか」であって、端末そのものの良し悪しではありません。
結局どちらで買うか
新品なら、帰国の予定があるなら日本、なければマレーシア。差額は数千円〜1.6万円で、レート次第では逆転します。ただしシャッター音を消したい人と、マレーシアで長く使って現地で修理を受けたい人は、価格を無視してマレーシアで買った方が満足度は高くなります。
中古なら、状態と情報開示の細かさで日本の市場に分があります。日本で買って持ち込むのは十分に現実的な選択です。ただし持ち込むのは自分用の1台まで、というのが安全圏です。
どちらを選ぶにせよ、公式サイトの価格とその日の為替を自分で確認してから決めること。これだけで判断の精度は大きく変わります。価格も制度も1年で動く分野です。



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