【ABTC】APECビジネストラベルカードを取得してみた~メリットとデメリット~

以前より気になっていたABTCを取得しました。手続きは難しいと思っていたのですが、意外に簡単なものでした。

 

APECビジネストラベルカード(ABTC)とは?

 APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)とは,APEC域内を頻繁に出張するビジネス関係者の移動を円滑にするために,制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に外務省が発行する特別なカードです。

外務省ページ参照

現在APEC加盟国は以下の国となっています。

  • アメリカ
  • インドネシア
  • オーストラリア
  • カナダ
  • 韓国
  • シンガポール
  • タイ
  • 中国
  • 香港
  • 台湾
  • チリ
  • ニュージーランド
  • マレーシア
  • メキシコ
  • パプアニューギニア
  • フィリピン
  • ブルネイ
  • ベトナム
  • ペルー
  • ロシア
  • 日本

※ですが、現在アメリカとカナダはABTC発行の対象となっていません。

 

メリット

パスポート増刷を回避

東南アジアを行き来しているとパスポートがあっという間にスタンプでいっぱいになっていきます。カンボジアなど、パスポート一面にビザが大きく貼られる国もあります。そうなるとあっという間にパスポートのページがなくなります。。

ABTC専用レーンで出入国時間の短縮

専用レーンを使用できるのは大きなメリットです。東南アジアは空港周りの渋滞がひどく、万全な計画をしたつもりでも空港にぎりぎりに到着ということがあります。このような時に出入国手続きの長い列に当たってしまうともう絶望的です。

ビザランの疑いがなくなる

これもメリットとなるかもしれません。

ビザを取る必要がなくなる

国によっては「一年に○回までは無料のビザで入国できますが、それ以上多くなるとお金が発生します」という国もあります。その費用を抑えることができます。

 

 

デメリット

国によってはABTCのビザで滞在できる日数が、通常の観光ビザで滞在できる日数より少ないことがあります。例としてマレーシアは観光ビザはMax90日ですが、ABTCだと60日のようです。

 

 

ABTC申請の大まかな流れ

外務省ABTC班に申請を行い、その後「ABTCシステム」で各国・地域政府による審査状況や申請番号を確認できます。

 

ABTC申請の必要書類

APEC商用渡航カード交付申請書(パスポートと同じ署名)

パスポートと同じ署名とのことです。

余談ですが、日本人は自分の名前をそのまま漢字で署名(サイン)としている方が多いかと思います。しかしマレーシアではそれは得策ではないかもしれません。欧米では漢字のサインはまねされにくいですが、マレーシアでは漢字を書ける人が多いからです。実際サインをまねされたという事例を聞いたことがあります。野球選手のようなかっこいいサインは単なるかっこつけではありません。自己防衛手段の一つとして採用を検討されるのも一手かと思います。

交付手数料分の収入印紙

収入印紙13,100円を貼付・同封します。

申請者の顔写真(2枚)

パスポート写真サイズ撮影後6か月以内でかつ鮮明なものです。こちらは今まで写真館や町の写真ボックス?で撮影していたのですが、最近リクルートが出している公式アプリで自分の使っているスマホで証明写真データが生成できるものを発見しました。

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このデータを近所の印刷屋に持ち込むか、オンラインで対応してくれる印刷屋さんに送ると格安で証明写真が出来上がります。最高です!セブンイレブン、ローソンなどのコンビニでも印刷できます。

1枚は申請書の所定欄に貼付し、残りの1枚は予備として、申請書2ページ目の右側の余白に貼付してください。

パスポートコピー

ABTCは5年間有効です。パスポートの有効期間が5年未満の場合はそちらの短い有効期限にABTC有効期限が設定されます。

 

在職証明書(雇用関係を証する書類)

申請者の役職が記載された、発行後3か月以内のものです。個人事業者も在職証明書と確定申告書控えなどを提出することができます。

所属企業等の登記事項証明書

発行から3か月以内のものを提出します。

所属企業等の貿易・投資の実績を示す文書

「決算書」、「損益計算書」の関係部分の写し等が記載されたものです。「規模は問わない」となっています。過去1年間における貿易又は海外投資を行った実績を有していることを証明する資料の添付が必要です。

所属企業等の業務内容に関する資料

事業報告書、会社の業務概況報告、会社案内(パンフレット)などがあります。会社パンフレットには事業規模・事業を営んでいる人数等が記載されているとよいです。会社のホームページ情報も役立ちます。

返信用の定形封筒及び郵便切手

ABTCは簡易書留によって送付する(不交付の場合は不交付通知、収入印紙付き手数料納付書及び残りの切手付き封筒を返送いたします。)ため、返信先を記入した定形封筒(A4サイズ3つ折りが入るもの。長3封筒(長形3号)又は洋0封筒(洋形0号))に414円分の郵便切手を貼付して同封してください。海外に駐在している申請者の場合は、返信用定形封筒に日本の国内において代理で受け取る方の住所又は海外の居住地の住所を記入してください。なお、日本国外への送付を希望する場合は、国際スピード郵便(EMS)で送付するため、国際スピード郵便(EMS)用の封筒、送付希望先を記入した送付伝票(書類用)及び送付に必要な額の郵便切手を封筒に貼付して同封してください。

送付先は以下になっています。

〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
外務省経済局アジア太平洋経済協力室
「APEC・ビジネス・トラベル・カード」ABTC班

電子メール:abtc@mofa.go.jp
FAX:03-5501-8340

不明点がある場合は外務省担当部署からメールで追加書類提出の要請が来ます。郵送・メールでの提出が可能でした。

より速く受け取るには中途発行

すべての国から許可を得てからでは間に合わない!という方はすべての国からの審査結果を待たずに、すでに許可が下りた国がABTCカード裏面に記載されたものを発行申請できます。

その場合は、申請者ご自身で、事前審査状況にてご希望の国・地域からの承認があったことをご確認の上、毎月15日までに

件名を【中途発行依頼】として、
氏名
申請番号(又は旅券番号)
連絡先(電話番号、Eメールアドレス)
「現状の承認状態でのカード発行を依頼したい」旨の一文を付し、
Eメール(abtc@mofa.go.jp)または、FAX(03-5501-8340)で外務省APEC室ABTC班までご連絡ください。

外務省公式サイトより

しかし後になって、許可が下りたすべての国がABTCカード裏面に記載されたものを発行してほしいとなると、追加で6800円かかる見通しです。

渡航先追加について
中途発行によりABTCの交付を受けた方が、交付後に新たに承認を受けた参加国・地域を渡航先に追加する場合は、渡航先追加申請を行っていただくことになります。なお、渡航先を追加したABTCの有効期限は、中途発行した際のABTCの有効期限を引き継ぎます。

毎月15日(【発送時期】(注)参照)までに

渡航先の追加を希望する旨の書面(様式は問いません)
現在所持しているABTC
旅券(顔写真及び身分事項ページ)の写し
6,800円分の収入印紙(手数料納付書に貼付願います)
金額(6,800円)を記入し署名した手数料納付書(様式用紙(PDF)別ウィンドウで開く (注)記入例はこちら(PDF)別ウィンドウで開く)
返信用定形封筒(返信先を記入願います)
郵便切手(国内は414円分、海外の場合は、EMS送料分を封筒に貼付してください)(注)令和元年10月1日から郵便料金が変更になりますが,渡航先追加・紛失等に伴う再交付に限って,本年8月末日までに外務省に書類が到着したものについては,402円分の郵便切手でかまいません。
を郵送願います。

外務省公式サイトより

 

実際にABTC許可が下りるまで

日本以外でまずABTCの許可が降りたのはチリでした。日本の許可が下りた後、即発行されたので日本の許可が出た時点で自動的に許可される仕組みになっているのでしょうか?日本の信頼度高しです。

2日後フィリピンの許可が出ました。

その後どんどん追加されていきます。

すべての国から発行されたのはおおよそ6か月後でした。ベトナムとロシアが発行に時間がかかります。

カード裏面には事前審査承認国が記されており、これらの国のみABTCカードが効力を発揮します。

  • インドネシア IDN
  • オーストラリア AUS
  • 韓国 KOR
  • シンガポール SGP
  • タイ THA
  • 中国 CHN
  • 香港 HKG
  • 台湾 TWN
  • チリ CHL
  • ニュージーランド NZL
  • マレーシア MYS
  • メキシコ MEX
  • パプアニューギニア PNG
  • フィリピン PHL
  • ブルネイ BRN
  • ベトナム VNM
  • ペルー PER
  • ロシア RUS
  • 日本 JPN

 

まとめ

メリットが多いもののあまり知られていないABTC。会社の経費で申請費用が出る企業が多いと思うので、時間さえ許せば取得を検討するのもありかもしれません。なお、パスポートを更新するとABTCは失効しますので、再度手続きが必要です。気を付けてください!

 

コメント

  1. rabbit より:

    本稿のデメリットの欄に「マレーシアは観光ビザはMax90日ですが、ABTCだと60日のようです。」とありますが、公式サイトの表のマレーシアの欄には90日と表記されています。

    https://www.apec.org/docs/default-source/groups/abtc/abtc-economy-information-table.pdf

    また本稿のメリットの欄に「ビザランの疑いがなくなる」とありますが、
    公式サイトの表の最下部の脚注によると、180日という表記があります。これはABTCを使っても180日ルールが適用されるということになりますか。マレーシアで年間180日を超えて再入国をした際に、入国を拒否される可能性があるということになりますでしょうか。