【VR】自動車業界の設計・マーケティングに変化が

自動車業界において、ゲームエンジンとして使われてきたUnreal Engineの導入が進んでいます。すでにBMWやFerrariといった企業がUnreal Engineによって開発されたVRを取り入れ始めています。この自動車産業におけるデジタル化の流れは、設計段階からマーケティング手法まで、自動車開発プロセス全体に影響を与えています。

Unreal Engineとは
Epic Gamesより開発されたゲームエンジンで、ゲーム制作・建築レンダリング・アニメーション制作などに使用されています。3か月の売り上げがUS100万ドル以下の事業主の場合、無料で利用することができます。

設計プロセスの変化:粘土モデルからVRレビューへ

何十年もの間、自動車の設計・検討は、粘土のような工業用プラスチックを使っての進められ方が主流でした。しかしUnreal Engineのようなゲームエンジンを利用したバーチャルリアリティ(VR)導入により、設計者には新たな可能性が生まれています。粘土のモデリングでは行うことのできなかったことをVRでは行うことができるようになったのです。Unreal Engineのようなゲームエンジンを利用したVR導入には、以下のような大きなメリットが挙げられます。

  • 設計の再検討プロセスの迅速化
  • 大胆な新コンセプト検討の簡易化
  • 実際の素材を使用しないことによるコストカット・作業時間短縮
  • 設計初期段階からの使用素材やディテールの検討

影響を受けるのは設計だけではありません。販売の現場にも変化が訪れています。

2026年時点の状況
BMWは自社のミックスドリアリティ・ラボでVR・Unreal Engine・実物のハードウェアを組み合わせ、デザインの生産性とイテレーションの速さを高める取り組みを継続しています。Ferrariはコストや時間の制約で物理的には試しにくかったコンセプトを、Unreal Engineによるフォトリアルなプルーフ・オブ・コンセプトとして数日で形にできるようになりました。VRでのコラボレーションが、これまで設計に直接関わってこなかった技術者以外の部門の担当者も検討に参加できる状況を生み出している点も、2020年時点からの大きな変化です。

マーケティング・販売手法の変化:バーチャルショールームへ

Unreal Engineのようなゲームエンジンを利用したバーチャルリアリティ(VR)導入は、顧客の意見をデザインに反映させる新しい方法を生み出しています。ディーラーに顧客を連れてきて、新しい車のコンセプトを実際に見せてフィードバックをもらうことがより簡単になりました。新しいコンセプトはVRの中で発表されるので、写真を密かに撮って持ち帰ることができません。なんたってゴーグルの中で新しいデザインを見るのですから。カメラ機能付き眼鏡を付けて撮影しない限りこっそり写真を撮るのは難しいですよね。

またゲーム空間を利用しての自動車販売も行うことができます。通常レースゲームでは、メニューから車の色やホイールなどをカスタマイズすることができます。同じようにVR使用により自動車販売店は、バーチャルなショールームを提供して、顧客がバーチャルなオプションを閲覧し、希望の車を設定できるようにすることができます。車体の色からシート、タイヤの仕様など、現実世界に制約されずに何百通りもの組み合わせ設定を行うことができます。そしてこの3Dモデルをゲームに接続し、仮想現実の中でテストドライブを行えます。さらに既存のゲームとコラボレーションしてオリジナルデザインをゲームの中で見せて現実世界でそれを売るというマーケティング手法も検討されています。

2026年時点の状況
顧客自身がコンフィギュレーターを操作してフォトリアルな車両をあらゆる角度から確認し、内装やダッシュボードの仕上げをトリム単位で切り替えて比較したり、購入前に仮想の運転席に座って感覚を確かめたりすることが一般的になりました。VRショールーム・360度コンフィギュレーターは、来店前の意思決定を後押しする販促ツールとして自動車業界に定着しています。

まとめ:自動車業界だけの話ではない

リアルタイム3D技術は、本来のゲーム開発分野のみならず、自動車産業などの業界に影響を与えていることが注目されています。VRは新しいデザインや技術の秘密保持分野にも新たな解決策を提供しています。そしてこの「実物を作らずにフォトリアルな3Dで検討・提案する」という発想は、自動車業界に限った話ではありません。建築パースや不動産の内覧素材づくりでも同じ考え方が使われており、リアルタイム3Dが特定の業界の道具ではなく、ものづくり全般の前提になりつつあることがうかがえます。

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