マレーシアのオンライン市場は、以前から年率20%近い成長が続くと言われてきました。当時マレーシアのオンライン販売会社といえば真っ先に名前が挙がったのはLazadaでした。マレーシア人は実店舗で実物を手に取って確認してから購入したいという意向が強く、オンライン市場には向いていない、という見方も根強くありましたが、Tescoマレーシア(スーパーマーケット、当時オンライン参入からおよそ2年でエリアカバー率50%まで拡大)やJaya Grocer(ペタリンジャヤ・スバンジャヤ・クアラルンプール周辺で最短2時間配達)、さらには衣料品のUNIQLOまでもがオンライン販売に乗り出し、「実店舗中心」という従来の一般認識は徐々に崩れ始めていました。実店舗はショッピングモールの乱立・競争激化・賃料上昇によって利益確保が難しくなり、高速インターネットの普及も相まって、マレーシアのEC市場は当時から着実に地殻変動の途上にありました。
🛒 2026年、市場の勢力図はどう変わったか
| プラットフォーム | 2025年時点のシェア/位置づけ |
|---|---|
| Shopee | マレーシアEC市場でおよそ6割を握る最大手 |
| Lazada | Alibabaによる資本売却(Central Groupへ)を経て、なお約3割のシェアを維持 |
| TikTok Shop | プロモーション・品揃え・使いやすさでShopeeに肉薄する第2位グループへ急成長 |
| Temu(Pinduoduo系) | 売上シェアでは上位3社に及ばないが、訪問数では2025年半ば時点でマレーシア国内トップ5サイト入り |
当時「もしかしたら」と噂されていたAmazonのマレーシア本格上陸は実現しないまま、代わってShopee・Lazada・TikTok Shopの3強体制が定着しました。都市部のネット普及率は既に85%を超えており、3社は新規ユーザー獲得のための補助金・割引競争に多額を投じ続けている状況です。
🛒 地元セラーにとっての脅威と、意外なチャンス
Temuの直取引モデルは、マレーシアの地元セラーにとって価格面での厳しい競争相手であるのは事実です。一方で、Temuを単なる「脅威」としてだけでなく、越境販売の窓口として活用する動きも出てきています。実際、マレーシアからアメリカ向けにTemu経由で商品を販売する越境ルートは、2026年時点で東南アジア発Temu向け越境販売ルートの中でも成長率が最も高いとされており、国内で価格競争にさらされる地元セラーが、逆にこの巨大プラットフォームを海外販路の足がかりとして使うという、両面的な構図が生まれています。
🛒 テナント・小売事業者への影響
2017年当時に見られた「実店舗からオンラインへ」というシフトは、2026年にはさらに一歩進み、「モール内テナントとEC事業者の顧客の奪い合い」という構図に変化しています。ショッピングモールのテナントとして出店する事業者にとっては、単に実店舗を構えるだけでなく、Shopee・TikTok Shop等への出店やライブコマースとの併用が事実上の前提になりつつあります。商業不動産のテナント誘致という観点からも、EC市場の勢力図がどう動いているかは、出店計画・賃料交渉の材料として押さえておく価値のある情報です。
配達インフラの面でも変化は続いています。当時懸念されていたドライバー不足は、Grab・Lalamove・各社のフードデリバリー網の拡大とともに部分的には解消しつつありますが、EC市場全体の荷物量そのものが急増しているため、需給の綱引きは今も続いています。決済面でも、現金払い(COD)中心だった時代から、GrabPay・Touch ‘n Go eWallet・各種オンライン決済への移行が進み、購入から受け取りまでの体験は2017年当時とは大きく様変わりしました。



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