フォトグラメトリの点群データを使ってみたい。公開データはあるの?――そんな方にありがたい、無料でダウンロードできる公開フォトグラメトリデータサイトがあります。2021年にこの記事で紹介したサイトは、2026年現在も更新が続いている貴重な存在なので、最新事情を加えて改めてまとめます。
Open Heritage 3Dとは
Open Heritage 3Dは、世界の主要な文化遺産をLiDAR(レーザースキャン)やフォトグラメトリで3D記録し、保存・公開していくプロジェクトです。カリフォルニア大学サンディエゴ校のCHEI(文化遺産エンジニアリング・イニシアチブ)を中心に、CyArk、トリノ工科大学などの研究機関が共同で運営しており、各データセットにはDOI(論文と同じ永続識別子)が付与されるという学術データベース級の管理がされています。2025年撮影の空撮データ(米カリフォルニアのSalvation Mountain等)も追加されており、プロジェクトは現在も動いています。
例えばイギリスの遺跡。。

スキャンデータがオンラインで確認できます。
さらには日本の狛犬のデータまで。細かいところまでよく確認できます。

なかなか実際には行くことのできないシリアの遺跡のデータまであります。

フォトグラメトリと点群、ざっくり整理
混同されがちな用語を整理しておきます。フォトグラメトリは多数の写真から3D形状を復元する技術、LiDARはレーザーで直接距離を測るスキャン技術です。どちらからも得られるのが点群(ポイントクラウド)で、無数の色付きの点の集まりとして形状を表します。点群はそのままではCGソフトで扱いにくいため、実務ではメッシュ化(面張り)してから使うのが一般的です。写真一式が配布されているデータセットなら、RealityCaptureやMetashapeなどのフォトグラメトリソフトで自分で復元する練習にも使えます。
入手できるデータの種類
- LiDAR点群 地上型レーザースキャナーによる高精度の点群データ
- 地上フォトグラメトリ 撮影写真一式(JPEG/TIFF/DNG)のzip。自分でフォトグラメトリソフトに通して復元できます
- 空撮フォトグラメトリ ドローン撮影の写真一式
3Dスキャンデータはメールアドレス登録でダウンロードできます。当時の記事にも書いた注意点は今も変わりません――1データセットが何十ギガというものもあるので、ダウンロード時には空き容量と通信環境に注意が必要です。
ライセンスの注意点
データはクリエイティブ・コモンズ(CC)系のライセンスで公開されていますが、データセットごとに種別が異なります。CC BY系はクレジット表記が義務、NC付きは商用利用不可です。クライアントワークに使う場合は、ダウンロード前に必ず個々のデータセットのライセンス表記を確認してください。
点群を無料で開くなら
ダウンロードした点群データの閲覧・編集には、無料のオープンソースソフトCloudCompareが定番です。点群の間引き(サブサンプリング)やメッシュ化もでき、重いデータをCG制作ソフトに持ち込む前の下処理に重宝します。
日本の建築実務なら「PLATEAU」も
文化遺産ではなく日本の都市・建物の3Dデータが欲しい場合は、国土交通省のPLATEAU(プラトー)プロジェクトが定番です。全国の主要都市の3D都市モデルがオープンデータとして無償公開されており、商用利用も可能です。敷地周辺の街並みボリュームを建築パースの背景に使うといった用途では、こちらの方が出番が多いかもしれません。
建築ビジュアライゼーション実務での使いどころ
私たちのような建築CG屋にとって、実測スキャンデータは「教材」としても「素材」としても優秀です。歴史的建造物の改修・活用検討のスタディ、実在の街並み・遺構を含むシーンの現況再現、フォトグラメトリ処理の練習素材など、使い道は広いです。ただしスキャン系データはそのままでは非常に重いので、主役でない部分は間引いてから使うのがコツです。
無料で使える3Dモデル素材については、無料3Dモデルの入手先ガイド(Fab/Sketchfab/Poly Haven)もあわせてどうぞ。取り込んだデータの活用はSketchUpモデルをUnreal Engineに読み込む方法も参考になります。
まとめ
この記事は筆者が調査、体験、そしてそれを忘備録として記録したものです。修正が必要な場合はご連絡いただけますととても助けになります。また役立つ情報がありましたら是非教えてください。今後ともKOKONATSをよろしくお願いいたします!


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