マレーシアではアスベストを使用しています。
驚くことにマレーシアでは一般的に使われているため、解体現場などに入る方(恐らくあまりいませんが)、自分の家の改修を行う方は注意してください。
アスベストとは
別名石綿。土壌や医師の中から採掘される天然鉱物で、さまざまな大きさの繊維質からなっています。
耐熱性、絶縁性、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性などすぐれた性質耐熱性能、耐化学薬品性能が高い鉱物です。そのため様々な産業分野に使われていました。屋根材、断熱材、床材、天井材、車のブレーキパッドやクラッチ部品などがその一例です。
しかしアスベストは、吸い込むと繊維質が肺の壁に刺さり、肺がんを引き起こす物質であることがその後判明し、国際的に使用が禁止される流れとなってきています。
日本でも以前解体現場に従事していた人や、近くに工場などがあった人たちが被害にあい、社会問題となりました。
2006年にはInternational Labour Organization (ILO)が、アスベストの使用を控えるようにとの勧告を世界に向けて発信しました。
日本では現在、原則として製造・使用等が禁止されています。
マレーシアにおけるアスベストをめぐる法律
学校や病院などの政府関係施設に対するアスベストの使用は1999年より禁止され始めました。現在政府系の建物にアスベストを使用することは禁止されています。
その他の建築、産業分野においても、1980年代よりアスベストの使用の危険性からその使用を禁止するべきであることが唱えられていますが、全面禁止には至っていません。
一般商業建物や、住宅分野においてはアスベストの使用を自由に行える状態です。
建築作業員、解体工事従事者、製造業作業員などに対する安全な労働環境確保のためにも、より厳格な法律の整備が必要です。
マレーシア当局は
において、雇用主がアスベストの使用環境を6か月ごとに点検すること、また従事者に対して毎年健康診断を実施することを規定しました。また許容されるアスベストの空気中濃度も指定されています。
さらに
では建設・改修・解体工事分野等において、どのような工程がアスベストに対して用いられるべきかが定められました。
また
Occupational Safety and Health (Prohibition of Use of Substance) Order 1999
においてはアスベストの一つである、クロシドライト(青石綿)の使用が研究目的使用を除いて全面禁止されました。
この法律によりアスベストの使用がより認知されることが期待されています。
工事現場の現状
マレーシアは費用対効果の考え方が良くも悪くも徹底されています。そのため安くて耐久性のある材料こそ正義であります。
家を投資として考えて再販・賃貸を考えているのであればなおさらです。
したがってアスベストは広く一般的に使用されているのです。
よく使用されている分野は、断熱材の吹き付け(駐車場の天井にあるモコモコしたあれです)や屋根のスレートです。石膏ボードにも混ぜて使用されているかもしれません。
屋根材・断熱材を触るときはなるべく空中に飛散させないよう、そして吸い込まないよう注意してください。
また工事現場においても、外国人労働者の安い労働力に頼っているため、安全に対する意識は非常に薄くなっています。
実際、現場でマスクを使用して作業している労働者を見かけることはほとんどありません。
日本の高度成長期と同じ感覚でしょう。そのころにマスクをしないで現場で作業していた人たちが現在苦しんでいるのです。
工事現場の近くに住んでいる人たち、また引っ越しを予定している人たちは気を付けた方がよいかもしれません。
対策
アスベストは空気中に飛散したものが呼吸により肺の中に入ることによって人体に危害を及ぼします。
マスクは非常に効果的です。
残念なことに現在マレーシア国内の建材屋で売っているものは、マスク本体・フィルターろ過部分共に非常にクオリティーが低いものです。
アレルギー対策程度には良いかもしれませんが、アスベストからの保護という観点ではとても使用できたものではありません。
実店舗での購入はできないので、オンラインサイトを使って輸入・日本からの持ち込みなどが必要でしょう。
マスク本体に付属しているフィルターろ過部分は消耗品で、定期的な交換が必要です。おすすめはフィルターを水で洗浄して何度も使用することができる、耐久性の高いタイプです。
アスベストが空気中に飛散している可能性があるとき、また飛散が懸念されるときは、水を噴霧してアスベストを流してやることができます。
そのような地域で洗濯物を外に干すと、アスベストが衣類に付着し日常的に吸い込む危険性があるので避けた方がよいでしょう。
まとめ
マレーシアではまだ一般的にアスベストが使用されています。アスベストで恐ろしいのはその被害が10年~30年という長いスパンで発生するということです。
被害と原因の関連性を証明するのは日本でも大変なようですが、マレーシアではなおさらそういえます。その場合、肺がんを発症したら果たして保険でどれほどカバーされるのでしょうか。
海外では共通していえることですが、危険予知をして自分の身は自分で守る必要があります。
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