【マレーシア】GST・SSTの仕組みと違いを徹底解説!消費者への影響は?

皆さんこんにちは。Kokonatsです。

マレーシアに住んでおられる方であれば、選挙にて政権が交代してから消費税(GST)を払わなくてよくなっているのはご存知ですよね?

レシートを見ても税金は「0%」と表示されており、嬉しい限りです。

でも実は2018年9月1日よりSSTという税金システムが導入されることになっています。実はこのSST、1970年頃から2015年までマレーシアにて実施されていたシステムですのでローカルの方々にとっては目新しいものではありません。

ただ2015年以降にマレーシアへ移住して来た我々日本人にとっては新サービスになりますよね!

 

そこで今回の記事ではGSTとSSTとは何が異なるのか、予想される私たちへの影響を考察したいと思います。

GST vs SST どのような違いか

GSTとは英語でGoods and Services tax、SSTとはSales and Services taxの意です。「service tax」という項目が両方の名称の一部になっている一方でGoodsの部分がSalesになっているのにお気づきではないでしょうか?

そう、GSTとは一定の商品に限定されず

広範囲に及ぶ商品にかかる税金のことを指します。

食品にもGST6%、車のような高価な買い物にも、髪を切るなどのサービスにも6%が付加されていたのは記憶にも新しいですよね。

GSTの特徴としては

金銭の受け渡しが発生する度に税金の義務が発生

するということです。

 

下記の図をご覧になってください。

カバン1個がどのような流れで消費者の手元に届くのかを考えると想像しやすいかと思います。生産業者→卸売り業者→ストア→消費者という順番で取引されてゆく訳です。(中間卸売り業者が何社も仲介することも珍しいことではありませんがここは省略して1社という仮定の上でご説明します。)

生産業者はカバンをRM100で販売すると仮定します。

卸売り業者は売価RM100に対して6%を上乗せした金額(RM106)が仕入れ値となります。そして生産業者は受け取った金額の内、RM6を納税します。

同様のことが卸売り業者とストア側の取引にも発生します。卸売り業者の売価をRM150した場合、ストア側は税金が付加されたRM159を支払う必要が発生します。卸売り業者はRM9を納税しますが、ここで気を付けて頂きたいのは、最終的な「合計納税義務金額」は異なるということです。なぜなら、卸売り業者は既に生産業者を介してRM6を国へ「納税」しているためです。よって納税金額はRM9 とRM6の差額(=RM3)で十分だということになります。

それぞれの中間卸売り業者・ストアが確定申告を行うことによって過払い税金の払い戻しを申請します。(図中黄色矢印)承認されると過払いのRM6が戻ってくるため、実際にはRM3のみ払ったことになる訳ですね。

 

さて、GSTの仕組みをおさらいできた所でここからが本題です。

 

SSTの仕組みはどのように違うのでしょうか?

SSTがどのような意味だったのかをもう一度見てみましょう。Sales and Services taxの意です。

そう、このSSTには2つの側面

①セールス税

②サービス税

があります。

SSTはとてもシンプルな税制です。上記GSTのシステムではどの仲介業者・ストアも税金の計算・確定申告が必要となる「多層」税制なのに対し、SSTは「一層」税制となっています。

①セールス税

セールス税を上記で使用したカバンの売買の例でご説明したいと思います。セールス税は「製造業者・生産業者」によって税金が支払われます。

生産業者が設定する売価がRM100だと仮定すると、SST10%を付加した総額RM110卸売り業者の仕入れ値となります。このRM10は製造業者により納税されます。

注目して頂きたい点として、以降卸売り業者から消費者に渡るまで、税金の授受は発生しません。

そう、SSTの①セールス税とは

製造業者が一括して納税を完了するシステム

のことなのです。

②サービス税

①のセールス税に対して、サービス税は対象となる分野が少し異なります。皆さんは経済活動の中に「有形財」と「無形財」があるのをご存知でしょうか。「有形財」に関してはイメージがつきやすいですよね。上記でご説明したカバンの売買のような目に見える商品の授受が行われることです。

「無形財」とはなんでしょうか?目に見えない「商品」、例えばウェブサービス、床屋、マッサージ、、、そういったものは無形財です。「技術を提供している」もの全てに当てはまります。レストランでの接客も無形財です。

SSTはそうした無形財に対しても税金を発生させる決まりがある訳です。現在決まっている点として消費者が6%を定価に付加して支払うことになっています。

例えば床屋がRM50だったらRM3が税金として付加されることになりますね。

そう、SSTの①サービス税とは

消費者が一括して納税を完了するシステム

のことなのです。

 

これで皆さんにご理解いただけたと思います。SSTは製造業者または消費者が支払う税金のことなのです。

 

さてここで質問ですが、①のセールス税と②のサービス税が両方とも我々消費者の負担になることは有り得るのか?ということです。

皆さんはどう思いますか?

 

答えは残念ながらYESです。

例えば、外食産業。レストランで提供される食品は生産業者によって既にセールス税が支払われています。更に、店員からサービスを受けているためそのSSTも支払う必要が出てくる訳です。

消費者が実際に現金で支払う金額はサービス税のみに見えますが、実質はセールス税も支払っていることになります。

 

GST vs SST 制度の移行は消費者にとって優位なのか?

今現在言えることとして、どちらの制度が優位なのかはやってみなければ「分からない」ということです。

しかしながら、GSTよりSSTの制度が消費者に優位になるのではないかと多くの専門家がコメントしています。

理由として上げられるのは、上記でご説明したGSTのシステムの弱点です。多くの税金は一時的に各業者によって負担されており、確定申告の後にようやく過払い金が返還されます。自転車操業を行っている会社は一時的な負担金も「コスト」と考えており、売価に上乗せして販売をしているのが一般であると専門家は語っています。その「コスト」負担がなくなる分、商品へのマークアップが抑えられ、結果として消費者が最終的に支払う合計額も低減するのではないかという意見です。

 

また、タッチ・アンド・ゴー・カードのTOPUPや、ATMによる現金引き出しなどはGST下とは異なり課税対象とはならないために消費者の負担が減るのではないかと言われています。

 

 

 

SSTの仕組みの解説は如何でしたか?GSTの仕組みと比較してみると政府がシンプルにして、財政負担を減らそうとしている努力が見受けられて面白いですよね。

皆さんの考えなどのコメントをお待ちしております。

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