先日、自分の眼鏡を新調できればと、地元の眼鏡屋を訪れました。
その眼鏡屋は比較的新しい店舗で、現在トレンドとなっているデザインの眼鏡が多数展示されています。私は棚にある商品を手に取りながら、1点1点確認していました。
するとセールスマンが近づいてきました。
「是非、試着してみてくださいね!」
私からすると、セールスマンがアプローチしてきたことで「購入への圧力」を感じました。
そして「いや、大丈夫です。。。」といって店を後にしました。
皆さんも同じような経験はないでしょうか?
このような状況で、なぜ店を後にする方が多いか、考えたことはありますか?
結論から言うと、お客様とのズレに気づかず「接戦に負けた」為です。
何故そう言えるかを、セールスマンの心の内と私の心理状態を解説します。
セールスマンの心の声:「お、お客様が眼鏡を手に取っているぞ、こんなにじっくり確かめるのは見込み客に違いない」
「実際に眼鏡をかけてもらえれば決めてもらえるはずだ!よし、アプローチしよう」
私の心の声:「眼鏡の素材がいいものを選びたいな・・・」
「う~ん、でも見ても分からないから、触って確かめてみよう」
上図の通り、セールスマンは「お客様がデザインを気にされているだろう→眼鏡をかけてもらえれば決めてもらえるはずだ」という仮説をもってアプローチをしていることが分かります。
ただ私は眼鏡の素材が気になるというステータスで色々な眼鏡を触っている状況でした。そしてセールスマンからのプレッシャーを受けた瞬間、購買意欲が高まるどころか「逃げ」に入ってしまった訳です。
そう、これが「接戦状態で負けた、営業のズレです」。営業担当者はこのズレを解消せず、自分の提案をゴリ推ししたため、失注に至りました。
今回はそんな「接戦のパターン」で戦っていける営業力を解説致します。
接戦に強い営業とは?会社にとってのメリットは?
営業とは3つのステータスに分かれます。①それほど努力しなくても契約が取れる「楽勝案件」、②どんなに努力しても取れない「惨敗案件」、③「接戦案件」となります。
正直、「楽勝」と「惨敗」案件に関しては、営業パーソンのスキルによって結果が大きく変わることはありません。(現に多くのテレアポ代行会社で行われている、テレアポ営業は、いかに「楽勝案件」を増やせるかを重視しているので、業界経験のない主婦層の方を採用しているケースが多くみられます)
ただ、企業として「高品質」な商材の販売を行っておられるのであれば、「楽勝」案件を持ってこれることなど、そう多くはありません。大抵の商材には競合会社があり、相見積もりをかけられることになり、結果的に「接戦案件」になります。
既にお気づきですか?
そう、接戦案件の勝利は「品質重視の」企業様の業績向上に不可欠です。接戦案件を勝利するためには適切な「営業力」が必要です。
営業で接戦が起きる状況とは?
接戦に勝利するためには、営業先がなぜ「即決」せず、「躊躇」しているのか理由を探る必要があります。
さて接戦が起きる理由はざっくり3つ程あります。
① 「他社」の方がいいのでは?
例えば、他社の方が金額が安く、品質や納期が優れているんじゃないかと考えておられるケースは①が該当します。
② 「今」採用しなくてもいいかな?
稟議を通す書類を作るのが面倒・上長に納得できる仕方で伝えられないと考えておられる場合は②のパターンです。何か問題が起きてから真剣に精査しよう、というアイデアですね。
③ 「自分」でできないかな?(自社の人材で解決できるかも)
③は自社にも人材がいるにも関わらず、なぜ他社を使わなくてはいけないのか、と考えておられる場合が該当します。又は、現在使っているサービスに満足しておられる場合も同様です。
接戦が起きた時にまず行うべきこと
前述した眼鏡店の例を考えてみてください。
もし、セールススタッフが「何か気になることはありますか?」と質問を投げていれば状況は全く変わったと思いませんか?
私だったら、眼鏡フレームの材質について質問をしていたかと思います。
そう、接戦の状況下では、お客様との「ズレ」を気づくことができる質問と提案ができるかどうかというのがカギです。
営業の接戦の際に使えるノウハウ
-質問編
契約を躊躇しておられる方は前述した①-③の理由で決断を下さない場合が殆どです。そのため、要件を具体的に伺う為にも、「実際のところ」お客様の懸念点はどこなのか本音を聞き出す必要があります。
そのようなヒアリングを漏れなく行う方法として「BANTC」を実行する必要があります。
B=Budget(予算)
質問例;
●貴社の基準でこのくらいの基準をクリアしてもらわなくては困る、というのはありますか?
●弊社の商品はだいたい~円ですが、率直なご感想は如何でしょうか?
お客様の想定額があまりにもかけ離れている案件は「惨敗案件」になりますので、早めの確認が必要です。また、担当者が予算を知らない場合は、次の「A=Authority」の質問が不可欠となります。
A=Authority(決裁権)
質問例;
●ご担当者様の決済までの流れはどのようになっておりますでしょうか?
●ご提案をお出ししたら社内ですぐにご判断いただける形でしょうか?
決裁者が打ち合わせに参加できない場合は、いかに担当者と意気投合できるかにかかっています。というのも担当者は、決裁者に対して説明責任(もしくは稟議書の作成)が生じるからです。
N=Needs(必要性)
質問例;
●現在お使いのサービスでは、どのような点がお悩みPOINTでしょうか?
●弊社のサービスで解決できそうだな、と思った点はありますか?
●「~(例:価格)」と「~(例:納期)」は同列に重要でしょうか?それともどちらか優位とされるものはありますか?
商談は金額だけでないことを常に覚えておく必要があります。お客様が現状抱えているお悩みを解決することで、多少高くても契約してもらえることも多くあります。
T=Timeframe(導入・購入時期)
質問例;
●ご導入の時期はお盆前になりそうでしょうか?
●月末までには動き出しそうですか?
抽象的なスケジュールではなく、具体的な日程を質問することで本音を引き出せる場合が多いです。
具体的な日程を聞くことで、ナーチャリングするタイミングを把握することも出来ます。
C=Competitor(競合)
質問例;
●ところで、何社さんぐらい提案しているんですか?
●当社の順位は正直どのくらいですか?
●他社様の製品と比較して、正直なところ弊社の提案は有力でしょうか?
もし、他社様の情報を全く出してこなければ、当て馬にされている可能性が高いです。逆に、競合の会社の情報を教えてもらえる場合は、1歩リードしているということで積極的なナーチャリングを試みる必要があります。
-提案編
さて、「BANTC」の結果が出揃ってか実行するのはお客様への提案です。
気を付けたいのは、お客様から言われた通りに動くだけの営業は基本的に「ロボット」営業となり素人でもできてしまいます。例えば、お客様から他社は10万円安いですよという情報のみを当てにして、「じゃあ当社は11万円割引で勝負します」という営業がそれに該当します。
一方で、提案として相手のニーズ(必要性)を提案に盛り込み、「費用対効果」で相手を納得させるというのが「プロ」の営業が行う手法です。例えば、「この間お話した際、納期にお困りの様子でしたよね。弊社では他社よりも若干高いご提案にはなるものの、現在の納期管理を劇的に変化させます。弊社では見える化として●●のシステムも導入して頂けるのでプロダクションの期間も分かって頂けますよ」
そうです、プロの営業マンがやるのは、お客様が本当に必要なものを見極め、提案することです。お客様の言葉の背後に何が隠されているかを見極められるかどうか、それを聞き出せることが大切です。
まとめ
ズレに気づく営業のテーマで執筆させて頂きましたが、如何でしたでしょうか?
弊社では上記を全て取り入れた「戦略型インサイドセールス」をご提案しておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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