建築ビジュアライゼーションの現場では、実物を写真から3Dモデル化する「フォトグラメトリ」が添景や現況再現の定番手法になりました。2022年にこの記事で紹介したスマホ用の無料スキャンアプリRealityScanはその後大きく進化し、2025年にはプロ向けデスクトップソフトRealityCaptureと統合されてRealityScan 2.0になっています。まず2026年時点の要点を整理します。
2026年時点の要点
- ☑ 旧RealityCapture(デスクトップ版フォトグラメトリソフト)は2025年6月にRealityScan 2.0へ改称・統合
- ☑ スマホアプリはRealityScan Mobileとして継続(iOS/Android対応・無料)
- ☑ デスクトップ版のフル機能も年間総収入100万米ドル未満の個人・企業、学生・教育者は無料(超える場合はサブスクリプション)
- ☑ 2.0ではAIによるマスク生成・航空LiDARデータ対応・スキャン品質の可視化ツールが追加。2025年11月には2.1も公開
- ☑ 当時の「Sketchfab Pro 1年特典」は2022年のキャンペーン。Epicの3DアセットマーケットはFabへ移行済み
ここから当時の記事(2022年12月)
Epic GamesとCapturing Realityは本日、RealityScanアプリがiOSで無料になったことを発表しました。モバイル機器向けの3Dスキャンアプリは、写真を高精度の3Dモデルに変換します。ユーザーはスマートフォンを使って対象物を撮影し、アプリはクラウド処理によって3Dモデルに変換し、Sketchfabにエクスポートして共有することができます。
写真測量ソリューションの開発元であるCapturing Reality社は、「すべてのクリエイターが3Dスキャンにアクセスできるようにする」ことを目指しており、「RealityScanを使えば、誰でも実世界のオブジェクトから3Dモデルを作成し、ビジュアライゼーションプロジェクトのリアリズムを高めるためにそれを使用することができます」と述べています。
スマートフォンで3Dモデルを作成する方法については、チュートリアルをご覧ください。
iPhone 12 Pro、iPhone 13 Pro、2020年以降のiPad Proモデルに搭載されているLiDAR機能を使って3Dモデルを作成できるアプリはありました。しかし今回はRealityScanアプリ使用によって、iOS16を搭載したiPhone、iPadであればカメラを使って精巧な3Dアセットをしかも無料で作成できるようです。
使い方はいたってシンプルで、スキャンしたい対象モデルをアプリ内ですべて緑色の点として認識されるようになるまで写真を撮ってアップすることでAIがモデルを認識して3Dアセット化してくれるといいます。
Capturing Realityは以前、MegascansのキュレーターであるQuixelと共同で、デスクトップアプリケーションであるRealityCaptureを使って高精度のスキャンを作成したことがあります。今回のモバイルアプリは、Megascansと同等のクオリティの3Dモデルを素早く簡単に作成することができます。
完成した3Dアセットは、RealityScanから3D・VR・ARコンテンツの公開・共有・販売プラットフォームであるSketchfabにアップロードします。そこからユーザーは、Unreal Engine、Twinmotion、MetaHumanなどのツールでモデルをダウンロードすることができます。さらに今回RealityScanのユーザーは、Sketchfabに初めてアップロードした後、1年間は自動的にSketchfab Proアカウントにアップグレードすることができるという特典付きです。
2026年の現在地 ― RealityScanはこう変わった
経緯を整理すると、2021年にEpic GamesがRealityCapture開発元のCapturing Reality社を買収し、2022年にスマホ向けRealityScanを無料公開(それがこの記事のニュースです)。その後Android版も追加され、2025年6月にデスクトップのRealityCaptureが「RealityScan 2.0」へ改称、スマホ版は「RealityScan Mobile」に整理されました。スマホで手軽に撮る→デスクトップで高精度に処理するという流れが、同じブランド・同じEpicアカウントで完結するようになっています。
料金面のポイントは、モバイルだけでなくデスクトップ版も年商100万米ドル未満なら無料になったことです。個人の設計者や中小の設計事務所・工務店・不動産会社であれば、実質無料でプロ用フォトグラメトリ環境が手に入ると考えてよい状況です。
書き出し先については、当時紹介したSketchfabへのアップロード機能は残っていますが、Epicの3Dアセット流通の主軸は2024年開始の統合マーケットプレイスFabへ移りました。この経緯と無料3Dモデルの入手先は無料3Dモデルの入手先ガイドにまとめています。
建築ビジュアル実務での使いどころ
- ☑ 敷地周辺の現況(擁壁・石垣・樹木・既存建物の一部)をスキャンしてパースの背景・現況再現に使う
- ☑ 施主が新居にも残したい家具・調度品をスキャンしてCGへ配置する
- ☑ 店舗の什器・商品をスキャンして内装パースの添景にする
一方で苦手分野も明確です。ガラス・鏡面などの反射物、透明なもの、真っ白で均質な面はスキャンが破綻しやすく、撮影時はマスキングテープを貼る・マットスプレーを使うなどの工夫が要ります。またスキャン系モデルはポリゴン・テクスチャが非常に重くなるため、パースに使う際はリトポロジーやデシメートによる軽量化を前提にしてください。文化遺産クラスの大規模スキャンデータはOpen Heritage 3Dの記事、モデルをUnreal Engineで使う流れはSketchUp→Unreal Engineの記事もあわせてどうぞ。
まとめ
この記事は筆者が調査、体験、そしてそれを忘備録として記録したものです。修正が必要な場合はご連絡いただけますととても助けになります。また役立つ情報がありましたら是非教えてください。今後ともKOKONATSをよろしくお願いいたします!


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