Carousellで起きたWhatsApp送金詐欺の実例と対策
シンプルなやり取りの中に巧妙な罠が仕掛けられており、誰でも巻き込まれる可能性があります。
1. Carousellでの出品中に届いたメッセージ
友人はCarousellで衣類を販売していました。ある日、見知らぬバイヤーから
「商品に興味がある。WhatsAppで話せるか?」というメッセージが届きます。
海外からの問い合わせも多いプラットフォームであることから、特に疑わずにWhatsAppでのやり取りを開始しました。
2. 詐欺の流れ
やり取りが始まって間もなく、バイヤーは
「送金できるか試してみたいので、このリンクからテスト送金をしてほしい」
と提案。送られてきたリンクを開くと、Maybankの送金ページにそっくりな画面が表示されました。
本物のように見えたため、友人は小額の送金テストを試みましたが、入力途中で不審に感じて操作を中止。
すると直後に相手から電話がかかり、「なぜ途中でやめたのか」「今すぐ完了してほしい」と強い口調で詰め寄られました。
この時点で詐欺を確信し、通話を切って連絡を遮断しました。
3. 被害の確認と銀行での対応
冷静さを取り戻した友人は、すぐにMaybankへ連絡し、ログインパスワードやPINコードを変更しました。
銀行の調査では、詐欺グループがすでに口座番号やパスワード、残高を把握し、他口座への送金を試みていたことが判明。
早期対応により被害は最小限で済みましたが、対応が遅ければ全額を失っていた可能性がありました。
4. 同様の被害が増えている
近年、マレーシアやシンガポールで同様の報告が増えています。共通する特徴は以下のとおりです。
- Carousell内ではなくWhatsAppへの移動を促す
- 銀行サイトを装った偽リンクを送る
- 「テスト送金」「少額確認」を名目に送金させる
- 中断すると電話やメッセージで強い口調の圧力をかける
いずれも、相手を信頼させ、焦らせ、判断力を奪うことを狙った典型的な流れです。
5. 手口の分析
- 信頼を装う:丁寧な言葉遣いや正規っぽいプロフィールで安心感を与える。
- 安全な取引を演出:「テスト送金」「確認のため」といった理由で正当化する。
- 焦らせる:電話や催促で心理的プレッシャーをかけ、冷静さを奪う。
- 情報を盗む:入力された口座情報やパスワードを取得し、不正送金に利用する。
6. 被害を防ぐためのポイント
- プラットフォーム外でのやり取りを避ける:Carousellのチャット内で完結させ、WhatsAppなど外部連絡は断る。
- 受け取ったリンクを開かない:銀行手続きは必ず公式サイトや公式アプリから。リンク経由のログインは避ける。
- 「テスト送金」は詐欺と判断する:名目が少額でも応じない。
- 二段階認証を設定する:銀行アプリやメールなど、可能な範囲で2FAを有効化する。
- 不審なやり取りはすぐ報告:Carousellの報告機能や銀行のフィッシング窓口に通報する。
- 証拠を保全する:チャット履歴、電話番号、URL、画面のスクリーンショットを保存する。
7. まとめ
今回のケースは、友人が途中で異変に気づいたことで最悪の事態を免れた例でした。
しかし、「少額だから大丈夫」「試すだけだから」と油断すると、深刻な被害に直結します。
Carousellを含む個人売買アプリで取引する際は、
「WhatsAppで連絡したい」「テスト送金をしてほしい」「リンクを開いて確認してほしい」
といった誘いには応じないことが重要です。便利なサービスほど狙われやすいという前提で、
常に冷静かつ慎重に行動し、自分の資産と情報を守りましょう。











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