外観パースの外構・植栽を自然に見せる5つのポイント|木が浮いて見える原因は足元にあります

「建物はきれいに出たのに、外構と植栽を入れた途端に安っぽくなった」
「木を置いてみたけれど、どうしても貼り付けたように浮いてしまう」

外観パースで最後まで残るのが、この外構と植栽です。建物のモデリングは図面という正解があるのに対し、植栽には正解がありません。それでいて画面に占める面積は大きく、ここの出来がパース全体の印象をほぼ決めてしまいます。建物の精度を上げるより、足元と緑を整えるほうが完成度が上がる、という逆転はよく起こります。

この記事では、外観パースで外構と植栽を描き込むときに押さえるべき5つのポイントを、実務で判断が分かれやすい順に紹介します。

※ 記事冒頭の画像は解説用に用意したイメージで、実案件の制作事例ではありません。

① 3Dモデルとビルボード、どちらを使うか

樹木の表現には大きく2つの方法があります。枝と葉を立体で持つ3Dモデルと、切り抜いた写真を平面に貼るビルボード(板ポリ)です。どちらが優れているという話ではなく、カメラからの距離で使い分けるのが基本です。

手法 近景 遠景 データの重さ
3Dモデル ◎ 影と立体感が出る △ 労力に見合わない × 重い
ビルボード × 角度でバレる ◎ 十分に成立する ◎ 軽い

手前の主役の1〜2本だけ3Dモデル、背景はビルボード。これが最も費用対効果の高い配分です。

3Dモデルとビルボードは、カメラの角度で差が出る 3Dモデル ビルボード(板) アイレベル 水平に近い視線 俯瞰 見下ろす視線 立体に見える ほぼ同じに見える 上から見ても樹冠がある 厚みが無く、板だと分かる =俯瞰カットでは使いにくい 手前の主役だけ3Dモデル、背景はビルボード。アイレベルの外観カットなら遠景は板で十分に成立します。
図:同じ樹木を3Dモデルとビルボードで比較。アイレベルでは差が出にくく、俯瞰で板であることが露呈する。

ビルボードが浮いて見える原因はいくつかありますが、代表的なのは、透過(アルファ)の設定が影に反映されておらず板の輪郭がそのまま影として落ちること、厚みが無いために枝葉が互いを遮る陰影が出ないこと、そして視点が回り込んだときに奥行きが無いことが分かってしまうことです。影については、レンダラー側で不透明度を影に反映する設定を有効にすれば解消できます。俯瞰のアングルでは板であることが露呈しやすいので、視線が水平に近いカットで使うか、複数枚を交差させて厚みを持たせます。逆に言えば、アイレベルの外観カットであれば、遠景の樹木はビルボードで十分に成立します。

② 樹種と樹高を、図面と気候に合わせる

素材集から好みの樹木を選んでしまうと、完成後に「この地域にこの木は生えない」「外構図と樹種が違う」という指摘が入ります。外構図に樹種が指定されている場合はそれに従うのが原則で、指定がない場合でも、その土地の気候に合う樹種から選びます。落葉樹か常緑樹かで冬の見え方がまったく変わる点にも注意が必要です。

樹高は人と建物で検算します。ここで押さえておきたいのが、植栽図に書かれているH(樹高)は、原則として植栽する時点の規格寸法だという点です。公共工事で使われる緑化樹木の品質寸法規格も、納品時の寸法を定めたものです。つまり図面の数字は「植えたときの大きさ」であって、数年後に育った姿ではありません。

ところがパースで求められるのは、竣工直後の姿とは限りません。パンフレットや完成予想図では、緑が育った状態を想定したいという要望も出ます。どちらで描くかで画の印象はまったく変わります。引き渡し時点の規格寸法で描くのか、成長後を想定するのかは、着手前に確認しておくべき項目です。

③ 接地と影で「置いた感」を消す

樹木が浮いて見えるとき、原因の多くは樹木そのものではなく足元にあります。

  • 根元が地面に埋まっていない: 幹の底面が地面と同一平面上にあるだけだと、接地面に隙間の影が出ません。わずかに沈める、または根鉢や下草で足元を隠します。
  • 影が落ちていない: 樹木の落とす影は、建物の陰影と同じ光源から出ていなければ嘘になります。葉の隙間から漏れる木漏れ日まで出せると、一気に現実味が増します。
  • 下草と地面の境界が硬い: 芝と舗装の境目が定規で引いたように直線だと図面のままに見えます。実際には土がこぼれ、草がはみ出します。
  • 全部が同じ大きさ・同じ向き: 同一モデルを等間隔で並べるとCG臭が出ます。回転と大きさを個体ごとに散らすだけで印象が変わります。
木が浮いて見える原因は、樹木ではなく足元にある 処理前 ― 置いただけ 処理後 ― 足元を作る 影が無い / 幹の底面が地面と同一平面 下草が無い / 同じ大きさ・同じ向き 接地部に隙間の影が出ず、貼り付いて見える 建物と同じ光源の影 / わずかに沈める 根元に下草 / 大きさと向きを散らす 接地影と下草が「地面に載っている」情報になる
図:左は影も下草も無く、3本とも同寸法・等間隔。右は建物と同じ光源の落ち影、幹元の接地影、根元の下草、大きさと向きの個体差を入れた状態。樹木自体は同じでも足元の情報だけで印象が分かれる。

④ 舗装・縁石・排水まで描くと建物が締まる

外構は植栽だけではありません。アプローチの舗装の目地、縁石の段差、駐車場のライン、排水溝、そして屋外の照明。これらは地味ですが、入っているかどうかで建物の説得力が変わります。とくに地面のテクスチャが一様なグレーのままだと、建物がどれだけ精密でも模型のように見えます。

一方で、描き込みすぎると主役である建物から視線が逃げます。外構は建物を引き立てるための背景であり、情報量の勾配を意識する必要があります。手前と足元は密度を上げ、奥に向かうほど簡略化する。この配分が守れていれば、外構が主張しすぎることはありません。

描き込みは手前ほど密に、奥ほど簡略に 主役=建物 遠景:簡略化 中景:標準 手前:密度を上げる 情報量を落とす 手前は舗装の目地・縁石・排水溝・下草まで描き、奥へ向かうほど簡略化する。 全面を均一に描き込むと、主役である建物から視線が逃げます。
図:遠景は輪郭のシルエットだけ、中景は樹木と園路、手前だけ舗装の目地・縁石・排水溝・下草まで入れる。描き込む「量」ではなく手前から奥への「落とし方」で建物へ視線を集める。

⑤ 「盛りすぎ」は後で問題になる

緑を増やせば絵は良くなります。ただし外観パースは、竣工後に実物と比較される図面でもあります。実際には植えない場所に大木を立てる、外構予算に入っていない植栽帯を描く、といった演出は、完成後に「パースと違う」という話につながります。

とくに販売や入居募集に使う図であれば、実現できない緑量を描くことは避けるべきです。逆に言えば、外構図に沿った範囲でも、接地・影・密度の勾配を丁寧に扱えば絵は十分に良くなります。盛るのではなく、正しく描くほうが結果的に速く、揉めません。

依頼するときに渡してほしいもの

外構と植栽で手戻りが起きるのは、たいてい情報が足りないときです。外構図(樹種・樹高・配置が分かるもの)、舗装の仕上げ、想定している季節と時間帯、そして竣工直後か数年後かの想定。この4点が揃っていれば、修正の回数は目に見えて減ります。

図面が途中の段階でも問題ありません。決まっていない部分は仮で組み、確定してから差し替えるほうが、全部が決まるのを待つより早く仕上がります。

サービスの内容と料金は建築パース・店舗内装CG制作代行にまとめています。

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