【依頼前チェックリスト】建築パースに必要な資料と渡し方7項目|図面が揃っていなくても発注できます
「パースをお願いしたいけれど、何を送ればいいのか分からない。」
「CADデータが手元にない。この状態で見積もりを頼んでも迷惑ではないだろうか。」
建築パースのご相談をいただくとき、こうした確認から始まることがとても多くあります。設計事務所・工務店・店舗の内装業者、いずれの方からも同じ質問をいただきます。
パース制作でスケジュールが崩れる原因は、制作側の作業スピードよりも「途中で資料が足りないと分かり、確認のやり取りに数日かかる」ことにあります。モデリングは、寸法が確定していない箇所が1つあるだけで止まります。逆に資料さえ揃っていれば、初回のラフ提出までは驚くほど早く進むというのが現実です。
この記事では、建築パースを依頼するときに揃えておきたい資料7項目、CADデータの形式の選び方、図面が揃っていない場合の進め方、そしてファイルの渡し方までを、実際の制作現場の順序に沿って紹介します。
パース制作が止まるのは「腕」ではなく「資料」で決まる
パース制作は、図面を立体に起こす作業です。図面に描かれていない部分は、制作者が推測で埋めるか、質問して確認するかのどちらかになります。前者は「イメージと違う」という手戻りを生み、後者は納期を延ばします。どちらも、資料の不足という同じ原因から出ています。
1. 高さが分からず、立ち上げられない
平面図だけをいただくケースは珍しくありません。ところが平面図には天井高・軒高・開口部の高さが載っていません。立面図か断面図が1枚あるかどうかで、着手できるかどうかが変わります。
2. 仕上げが分からず、色を置けない
「白い外壁」と言われても、マット塗装・磁器タイル・サイディングでは反射も影の出方も別物になります。仕上表がないまま進めると、初回提出後に全面のマテリアル差し替えが発生します。
3. 完成イメージの方向性が共有できていない
昼か夕景か、人物や車を入れるか、どの角度から見せるか。ここが決まっていないと、技術的には正しいのに提案資料として使えないパースができあがります。
逆に言えば、この3点さえ先に潰しておけば、パース制作でよくあるトラブルの大半は依頼前に回避できます。以下の7項目は、そのための具体的なチェックリストです。
依頼前に揃えたい資料7項目
1平面図(寸法入り)
すべての土台になる図面です。壁の芯々寸法、開口部の位置と幅、什器や家具のレイアウトが読み取れる状態が理想です。縮尺が分かるよう、寸法線か図面枠ごとお送りいただけると助かります。トリミングされた画像だけでは、実寸が確定できません。
2立面図(4面あると確実)
外観パースでは必須です。屋根の勾配、軒の出、建具の形状と高さがここで決まります。4面すべてが揃わない場合でも、少なくとも「パースに写る面」と「その隣の面」の2面はいただきたいところです。角度によっては、写らないはずだった面が視界に入ります。
3断面図・展開図
内観パースでは展開図が、外観でも吹き抜けや段差がある建物では断面図が効いてきます。特に店舗の内装では、カウンターの立ち上がり高さ・棚の段数・天井の下がり壁の位置が展開図にしか描かれていないことが多く、これが無いと「なんとなくそれっぽい店内」になってしまいます。
4仕上表・建具表
床・壁・天井の材料が分かる資料です。メーカー名と品番まで分かれば、実物の質感に寄せた再現ができます。品番が未確定の段階でも、「木目調のフローリング、色は中間のブラウン」といった言葉の指定があるだけで精度は上がります。仕上げの情報が無いまま進めた案件は、ほぼ確実に修正が発生します。
5参考イメージ(3〜5点)
言葉で伝わりにくいのは、質感と光です。「こういう雰囲気にしたい」という画像を3〜5点いただけると、方向性のずれが最初から潰せます。逆に「これは避けたい」という画像も1点添えていただけると、さらに精度が上がります。枚数は多ければよいというものではなく、10点を超えると傾向が読み取りにくくなります。
6敷地・周辺の写真
既存建物の改装や、テナントへの出店では特に重要です。隣接する建物、道路の幅、電柱や街路樹の位置は図面に描かれていないことが多く、写真があるとパースの背景が現実に近づきます。スマートフォンで撮った数枚で十分です。撮影した位置と向きが分かるよう、簡単なメモを添えてください。
7用途・カット数・納品形式・締切
資料ではありませんが、見積もりの精度を左右するのはここです。プレゼン用か、融資資料か、SNSやチラシに載せるのか。用途によって必要な解像度も、作り込むべき箇所も変わります。「A1のプレゼンボードに使う」「Instagramの正方形で使う」といった一言があるだけで、無駄な作り込みも作り足りない部分も減ります。

データ形式は「CAD+PDF」の二本立てが確実
よくいただく質問が「PDFしかないのですが大丈夫ですか」というものです。結論から言えば制作は可能ですが、モデリングにかかる時間は変わります。PDFや画像は寸法をこちらで読み取り直す必要があり、CADデータであれば線をそのまま立ち上げられるためです。
| 形式 | 主なソフト | 寸法の扱い | 制作側の評価 |
|---|---|---|---|
| DWG / DXF | AutoCAD ほか大半のCAD | そのまま実寸で読める | ◎ 最も確実 |
| JWW / JWC | Jw_cad | 読めるが変換を挟む | ○ DXF併送が安心 |
| SKP | SketchUp | 3Dのまま引き継げる | ◎ 既に3Dがある場合は最速 |
| RVT / IFC | Revit ほかBIM | 情報量が多く重い | ○ 事前に相談を |
| — | 寸法線を読んで再現 | △ 可能だが時間が増える | |
| JPG / PNG / 手描き | — | 主要寸法の口頭補足が必要 | △ 簡易パース向き |
結論は「CADデータ+確認用のPDF」を一緒に送ることです。これが最も手戻りの少ない渡し方です。
PDFを併せてお願いしているのには理由があります。CADデータは、開く環境によってレイヤーの表示・非表示や文字化けが起きることがあります。「作図者が意図した完成形」が一目で分かるPDFが1枚あると、その食い違いにすぐ気づけます。
図面が揃っていないときは、どこまで進められるか
ここまで7項目を挙げましたが、実際のご依頼で全部が揃っていることはむしろ少数です。企画段階のご相談では、手描きのラフと参考写真だけということもあります。
その場合でも制作は可能です。ただし、成果物の性格が変わることは、あらかじめ共有しておく必要があります。寸法の根拠が無い状態で作ったパースは「雰囲気を伝える絵」であって、施工の検討や申請に使える整合性は担保できません。この線引きを曖昧にしたまま進めるのが、最も危険なパターンです。
- ラフ・参考写真のみ: 方向性の確認や社内検討、SNS・チラシ向けの簡易パースに向きます。寸法の正確さは求めない前提で使います。
- 平面図のみ: 高さを仮定して立ち上げます。仮定した数値は必ず一覧でお渡しし、確定した時点で差し替える運用にします。
- 平面+立面: 外観パースとして提案・審査資料に使える精度に届きます。多くの案件がこの構成です。
- 平面+立面+展開+仕上表: ガラス越しの内装まで含めて、実物に寄せた再現ができます。
図面が無い段階での進め方については「図面なしでもOK!AIによる簡易3DCGパース作成サービス」でも紹介しています。外観パースにガラス越しの内装まで反映する場合の考え方は「店舗の外観パースは「ガラス越しの内装」で決まる」と「外観パースに内装も反映するには?対応方法と追加費用のリアルを公開」に、実際の案件をもとにまとめてあります。
ファイルの渡し方 ― メール添付でつまずかないために
意外と時間を取られるのが、ファイルの受け渡しです。図面一式は数十MBから数百MBになることがあり、メールの添付上限に引っかかります。上限は利用しているメールサービスや社内のサーバー設定によって異なり、送信側では成功したように見えて相手に届いていない、という事故が起こります。
■ ファイル転送サービスを使う
国内でよく使われるギガファイル便は、1ファイルあたり300GBまで、ファイル数と合計容量は無制限とされています。保存期間は3日・5日・7日・14日・30日・60日・100日から選べますが、既定は7日で、アップロード後に期間を変更することはできません。制作期間中に再ダウンロードが必要になる場面を考えると、最初から30日以上を選んでおくのが実務的です。
■ クラウドストレージで共有する
Google ドライブやDropboxの共有リンクも確実な方法です。追加や差し替えがあってもリンクが変わらないため、修正のやり取りが多い案件ではこちらが向きます。ただし社内ポリシーで外部共有が制限されている場合があるため、リンクを送る前に「閲覧権限が外部に開いているか」を必ず確認してください。ここを見落とすと、先方でファイルが開けず1往復を無駄にします。
■ ファイル名を整えておく
「図面1.pdf」「最新版_修正_最終.dwg」といった名前は、途中で必ず取り違えを生みます。「20260811_A邸_平面図.dwg」のように日付・物件名・図面種別の順で揃えておくと、修正が3回、4回と続いても取り違えが起きません。地味ですが、納期に効いてきます。
資料が整うと、価格と納期はここまで変わる
資料の充実度は、そのまま見積もりに跳ね返ります。図面が整っていれば必要最小限の工数で済み、追加要望にも短い納期で対応できます。実際に、外観パースを制作した案件で後から「ガラス越しに内装も反映したい」というご要望をいただいたときは、内装図面が揃っていたため追加費用1万円(税別)・通常スケジュール+1営業日程度で対応できました。
反対に、資料が不足している状態では、こちらで寸法を仮定し、確認し、差し替えるという往復が発生します。この往復は見積もりに含めにくく、結果として納期のほうに現れます。急ぎの案件ほど、資料を揃える数時間が効いてきます。価格の考え方そのものについては「建築パースの価格相場と依頼時の注意点」に、修正回数の扱いについては「修正変更の時の料金設定はどうなっているの?」にまとめています。
まずは、いま手元にあるものをそのままお送りください
KOKONATSでは、設計事務所・工務店・店舗内装業者の皆さまに向けて、建築パース・店舗内装CGを制作しています。SketchUp、Twinmotion、Photoshopを使い、構想段階のイメージ出しや背景処理にはAIを取り入れることで、価格と納期を抑えた制作を行っています。
7項目をすべて揃えてからでなくて構いません。「この資料でどこまで作れるか」を先にお伝えするほうが、お互いに早く進みます。手描きのラフ1枚の段階からご相談いただけます。
これまでの制作事例は建築パース・3DCG制作実績で、サービスの内容と料金は建築パース・店舗内装CG制作代行でご覧いただけます。



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