製造業の新規開拓の方法|手法より先に決める4つの当て先と、当て方の違い

製造業の新規開拓の方法。工場事務所で取引先リストを前に検討する経営者

展示会、Web、テレアポ、フォーム営業。製造業の新規開拓の方法を調べれば、やり方はいくらでも出てきます。では、展示会に出てホームページも作り直したのに引き合いが増えない会社には、何が足りないのでしょうか。

足りないのは手法ではなく、手法を選ぶ前に決めておくこと、つまり「誰に当てるか」です。製造業が新規を取れる相手は4つあり、求めているものも、話が決まるまでの時間も違います。当て先が決まらないまま手法を増やすと、どの手法も薄まります。

この記事は、図面を受け取って部品をつくる受託加工の会社、他社のブランドで製品をつくるOEMの工場、営業専任のいない町工場に向けて書いています。4つの当て先を整理したうえで、それぞれにどの手法が向くのかを示します。

1. 方法を増やしても新規が増えない理由

手法は当て先とセットでしか機能しない

展示会に出ても名刺交換で終わる。ホームページを直しても問い合わせが来ない。テレアポをしても受付で切られる—このとき起きているのは、たいてい同じことです。当てている相手が、いま貴社の加工や装置を必要としていない相手なのです。

製造業の受発注は、材質・公差・ロット・工法・納期の条件がひとつでも合わなければ成立しません。逆に言えば、条件が合う相手にさえ届けば、話は早い。つまり問題は「どう伝えるか」ではなく「誰に届けるか」の側にあります。

自社の得意を、条件で言語化しているか

当て先を決めるには、まず自社の得意を条件で書き出す必要があります。「精密加工が得意です」では相手は判断できません。

書き出す項目

材質(ステンレス・アルミ・チタン・樹脂など)/サイズと重量の上限/保証できる公差/得意なロット数(単品・小ロット・量産)/設備(マシニング、複合旋盤、放電、板金、溶接など)/短納期対応の可否/取得している認証

この6〜7項目が言葉になっていれば、当てるべき相手は自動的に絞れます。逆にここが曖昧なままだと、どの手法を使っても「とりあえず一度お話を」で終わります。

2. 製造業が新規を取れる4つの相手

当て先は大きく4つです。同じ「新規開拓」でも、相手によって求められるものが違います。

TARGET
製造業が新規を取れる4つの相手
01完成品メーカーの
設計・生産技術
相手が求めているもの
図面を描く前段階での相談相手。難しい形状をどう作るか、コストをどう落とすか
注意点
到達が最も難しい。ただし採用されれば量産まで長く続く。図面が出てからでは遅い
02完成品メーカーの
購買・調達
相手が求めているもの
価格と納期、そして供給が止まらないこと。既存先の代替候補
注意点
相見積りに入れば早い。ただし価格で比較されるので、条件が合わないと消耗する
03製造装置メーカー・
FA・SIer
相手が求めているもの
装置に組み込む部品・加工。図面の話が通じる相手であること
注意点
案件は大きくなりやすいが、装置の開発サイクルに乗る必要がある
04同業からの外注
(容量オーバー分)
相手が求めているもの
受けきれない分を回せる相手。設備と品質が読めること
注意点
立ち上がりは早いが単価は上がりにくい。依存先が変わるだけにならないよう構成比で管理する
製造業の新規開拓の方法KOKONATS

設計と購買は、別の会社だと思ったほうがいい

同じ完成品メーカーでも、設計・生産技術と購買・調達では、聞きたいことがまったく違います。設計は「作れるかどうか」を聞き、購買は「いくらでいつか」を聞きます。同じ資料を同じ言い方で当てても、どちらにも刺さりません。

そして順番があります。図面が固まったあとに購買へ入っても、そこは価格勝負です。単価を守りたいなら、図面が出る前の設計・生産技術に入る必要があります。ただしこちらは代表番号からでは到達しにくく、時間もかかります。短期の売上は購買から、単価と継続は設計から——この2本立てで考えるのが現実的です。

受託加工・OEMの工場は、仕様が決まってから呼ばれる

受託加工もOEMも、仕事の中身を決めるのは発注元です。部品なら図面、OEMなら仕様書や処方が先にあり、それができあがってから見積もりの依頼が来ます。この順番のまま待っていると、比べられるのは価格と納期だけになります。

営業専任のいない町工場ほど、この「来た見積もりに答える」形に寄りやすくなります。社長が説明すれば伝わる技術があっても、説明する場に呼ばれるのが、仕様が決まったあとだからです。

そのため、上の4つのうち設計・生産技術(仕様を決める前の相手)への入り口を1本持っておくことが、受託の立場から単価を守る一歩になります。入り口がどこにあるかは業種で違うので、業種別に書いた記事もあわせてご覧ください。

3. 4つの営業手法|それぞれ何に向くか

当て先が決まってはじめて、手法の話になります。製造業では、建築系と違って展示会が現実的な選択肢になるのが特徴です。

手法 向く相手・メリット デメリット
展示会
(機械要素技術展など)
設計・生産技術に会える数少ない場。現物を見せられるので、条件の説明が一度で済む 出展料と人員の負担が大きく、年に1〜2回しか機会がない。会期後のフォローをしないと名刺で終わる
Web集客・
製造業ポータル

(イプロス等)
「材質+加工+公差」で自分から探している相手を拾える。相手の温度が高い 件数を自社で決められない。成果まで半年〜1年かかる。掲載料が継続的にかかる
テレアポ・
インサイドセールス
当てる相手と時期を自社で選べる唯一の手法。断られた理由が残るので、次の打ち手が作れる 現場が忙しいと止まる。外注するとノウハウが社内に残りにくい。受付突破に技術がいる
フォーム営業 短時間で広く当てられる。文章で条件を伝えられるので、加工の仕様が複雑でも説明できる 読まれずに捨てられる率が高い。送り方によっては相手の心証を悪くする

フォーム営業について、法律の整理だけしておきます

フォーム営業は「違法ではないのか」と聞かれることが多い手法です。整理すると次のようになります。

広告宣伝メールを規制する特定電子メール法は、SMTPやSMSで送る「電子メール」を対象としており、Webの問い合わせフォームからの送信は直接の対象外と解されるのが一般的です。加えて同法のオプトイン規制には例外があり、営業を営む団体・個人がインターネット上で公表しているアドレスは、事前同意なしの送信が認められています。

ただし、法令の話とは別に、次のケースはトラブルになります。

  • フォームに「営業目的の利用はご遠慮ください」と明記されているのに送る
  • 短時間に大量送信する、認証を回避して自動送信する
  • 反応がないのに繰り返し再送する

※法令解釈は個別の事情によります。実際の運用にあたっては顧問弁護士等にご確認ください。

つまりフォーム営業は、法律の問題というより相手の心証の問題です。製造業の場合、送る相手が将来の取引先候補でもあるため、数を撃つ使い方には向きません。

4. いつ当てるか|製造業には入れる時期がある

当て先と手法が決まったら、最後は時期です。製造業の新規開拓には、入りやすい瞬間があります。

① 図面が固まる前(試作・立ち上げの段階)

前述のとおり、図面が出てから購買に入ると価格勝負になります。試作や量産立ち上げの検討をしている段階で設計・生産技術に接触できていれば、作り方の相談から入れます。ここが単価を守れる唯一の入口です。

② 展示会の会期前後

展示会は当日だけのものではありません。会期の前に接触しておけば「ブースに来てください」という自然な口実になり、会期後は「先日いただいた名刺の件で」とつながります。出展料を払っているなら、その前後を使わない手はありません。

③ 期末・期初

設備投資や外注先の見直しは、予算の区切りで動きます。決算期は会社によって違うので、リストを作る段階で調べておくと当て方が変わります。これは法令ではなく商慣習の話です。絶対ではありませんが、当てる順番を決める材料にはなります。

5. 断られたあとをどう設計するか

製造業の新規開拓で、いちばん取りこぼしが多いのがここです。初回で決まる案件はほとんどありません。いま出ている案件がなければ「間に合っています」で終わる。それが普通です。

ですから重要なのは、断られた相手をどう残すかです。いま案件がないだけの相手と、そもそも条件が合わない相手は、まったく別のものです。前者は次の量産が立ち上がれば候補になります。

KOKONATSの場合:担当者につながらない相手には最大6回まで架電するルールで運用しています。担当者に到達するまで平均4〜6回のすれ違いが発生するため、1回で判断すると、届いていない相手を「反応なし」に分類してしまうからです。断られた相手も追客データとして蓄積し、時期を変えて再アプローチします。

展示会やWEBから集まった見込み客を、案件が出るまで追い続ける「見込み客フォローアップ特化プラン」もあります。同時に追う100社を「枠」として管理し、条件が合わないと分かった先は枠から外して次の候補と入れ替えていく形です。月額80,000円(税抜)の定額で、アポインセンティブはいただきません。アポの件数で費用が動くと、案件が出るまで待つという運用と噛み合わないためです。初期費用は0円です。

実際の事例

静岡県 土木資材メーカー様(道路舗装会社への開拓/800万円以上の土木機材)

それまで問い合わせ依存だった状態から、アポ率5.3%。商談候補企業が大幅に増加しました。

滋賀県 工場設備工事業者様(大手メーカーの工場への開拓/電気・空調・配管・製缶工事)

受付を突破し、各工場のキーマンへ直接つなぐアプローチでアポ率20.7%。BtoBテレアポの平均アポ率が0.5〜3%とされる中での数字です。

※アポ率はリスト・商材・時期・架電数によって大きく変動します。成果を保証するものではありません。

6. まとめ|手法を増やす前に、当て先を決める

  • 方法が足りないのではなく、当てる相手が決まっていないことが多い
  • まず自社の得意を条件(材質・サイズ・公差・ロット・設備・納期・認証)で言語化する
  • 当て先は4つ。設計・生産技術/購買・調達/装置メーカー・FA・SIer/同業からの外注
  • 短期の売上は購買から、単価と継続は設計から。図面が出る前に入れるかどうかで単価が変わる
  • 手法は当て先とセットで選ぶ。当てる相手と時期を自社で決められるのはテレアポ・インサイドセールスだけ
  • 初回では決まらない。断られた相手をどう残すかが、翌期の案件をつくる

一社依存から抜けるのに必要なのは、新しい手法ではなく、当てる先の2本目です。

初期費用0円。料金・支援の流れはこちらから。

よくある質問

Q. 製造業の新規開拓は、まず何から始めればいいですか?

A. 自社の得意を条件で書き出すところからです。材質、サイズと重量の上限、保証できる公差、得意なロット数、設備、短納期対応の可否、取得している認証。この項目が言葉になっていないと、リストを作る段階で対象を絞れません。手法を選ぶのはそのあとです。

Q. 設計部門と購買部門、どちらを狙うべきですか?

A. 両方です。ただし役割が違います。購買・調達は相見積りに入れば結果が早く出ますが、価格で比較されます。設計・生産技術は到達に時間がかかる代わりに、図面が固まる前に入れれば作り方の相談から関われるため、単価を守りやすくなります。短期の売上は購買、単価と継続は設計、という二本立てが現実的です。

Q. 展示会に出ているのに引き合いが増えません。

A. 会期後のフォローが止まっているケースが多いです。展示会でもらった名刺は、その時点で案件があるとは限りません。いま案件がないだけの相手と、条件が合わない相手を分けて、前者を追客データとして残しておくかどうかで、翌年の結果が変わります。会期の前に接触してブースへ誘導する使い方も有効です。名刺のフォローだけを外部に任せることもできます(見込み客フォローアップ特化プラン/月額80,000円・税抜の定額、同時に追う100社を枠として管理)。

Q. フォーム営業は違法ではないのですか?

A. 特定電子メール法はSMTPやSMSで送る電子メールを対象としており、Webの問い合わせフォームからの送信は直接の対象外と解されるのが一般的です。また、営業を営む団体・個人がインターネット上で公表しているアドレスは、同法のオプトイン規制の例外とされています。ただし「営業目的の利用はご遠慮ください」と明記されたフォームへの送信、短時間の大量送信、認証を回避した自動送信はトラブルの原因になります。個別の判断は顧問弁護士等にご確認ください。

Q. 受託加工やOEMの工場でも、同じ考え方でいいですか?

A. 同じです。むしろ受託の立場ほど、当て先を先に決める意味が大きくなります。受託加工やOEMは、発注元が図面や仕様を決めてから見積もりが来るので、待っていれば価格の勝負になります。仕様が決まる前の設計・開発に、1本でも入り口を持つことが、単価を守る方法です。業種ごとの入り口は、第2章の業種別の記事にまとめています。

Q. 社内に営業担当がいなくても新規開拓はできますか?

A. できますが、当て先の設計を誰かが持つ必要があります。架電やフォーム送信そのものは外注できても、「自社の条件に合う相手はどこか」を決めるのは自社にしかできません。KOKONATSでは月末に最大30分の戦略会議を行い、断られた理由や競合の状況を共有したうえで、翌月のターゲットを一緒に調整しています。

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