
技術で選ばれてきた電子部品メーカーほど、商社に乗せたあとの景色が見えにくくなります。自社の部品が、どこに、どう提案されているのか。採用が決まったのか、他社品に負けたのか。
商社経由の売上は立っている。それでも直接の取引先が何年も増えないのは、製品力の問題ではありません。流通に乗せた時点で、「誰に当てるか」の主導権を手放しているからです。
直取引を増やすのに必要なのは、新しい商社ではなく、自社で当て先を持つことです。電子部品には、採用が決まる場所と、他社品と入れ替わるタイミングが、業界特有の形で存在します。当て先を4つに整理したうえで、いつ当てるかまでを示します。
1. なぜ商社経由だけでは直取引が増えないのか
提案の主導権が、自社の外にある
電子部品の流通は、メーカーから代理店・特約店を経て、二次商社を挟み、使う側へ届きます。この形には、在庫を持ってもらえる、与信を任せられる、少量の出荷を代わりに捌いてもらえるという明確な利点があります。否定すべきものではありません。
ただし副作用があります。商社は多くのメーカーの製品を扱っています。だから、貴社の部品をどの案件に、どの優先度で当てるかを決めているのは商社側です。引き合いが来るかどうかは、その優先順位に左右されます。
つまり、売れないのではなく売る順番を自分で決められない。これが「乗せてはもらっているのに広がらない」の正体です。
採用が決まる場所に、自社が立っていない
もうひとつ構造的な理由があります。電子部品が採用されるかどうかは、多くの場合回路図と部品表が固まる段階で決まります。ここに関わっているのは、使う側の設計・開発です。
商社が接点を持っているのは、購買・資材であることが少なくありません。購買に届く頃には、型番はもう決まっています。そこから入れるのは「同等品でもっと安いもの」という枠だけです。単価が下がる方向にしか動けません。
2. 直取引を増やす4つの当て先
当て先は大きく4つです。それぞれ求めているものも、決まるまでの時間も違います。
短期の売上と、単価を守る取引は別ルート
いま数字が欲しいなら購買・資材、単価と継続が欲しいなら設計・開発です。この二本立てで持つのが現実的です。購買だけを追うと価格競争から抜けられず、設計だけを追うと今期の数字になりません。
当てる前に、条件で言語化しておくこと
「高信頼性の電子部品です」では、相手は判断できません。相手が判断できる形にしておく必要があります。
書き出しておく項目
品種と主要スペック(定格・精度・温度範囲など)/実装形態とサイズ/対応できるロット(試作単品から量産まで)/標準納期と最短納期/取得している認証・規格対応(RoHS、REACH、車載や産業機器向けの規格など)/長期供給の方針/カスタム対応の可否と最小数量/技術資料とサンプルの提供体制
この項目が言葉になっていれば、当てるべき相手の条件も自動的に絞れます。逆にここが曖昧なままだと、どの手法を使っても「資料を送っておいてください」で終わります。
3. 勝負は、部品表が固まる前にある
電子部品の営業でいちばん大きな差がつくのは、接触する時期です。
設計が進み、回路図と部品表が確定すると、そこから型番を変えるには再評価が要ります。工数がかかるうえ、変える理由が必要になる。だから、部品表が固まったあとに入れるのは「同等品で、もっと安い」という提案だけになります。
逆に、仕様を検討している段階で入れれば、話の中身が変わります。「この条件なら、うちのこれが合います」という提案ができる。採用の理由が価格ではなくなるので、単価を守れます。
ここで問題になるのが、設計・開発への到達の難しさです。代表番号からたどり着くには手間がかかり、一度で担当者に届くことはまずありません。この「届くまでの工数」が、直取引が増えない実務上の最大の理由です。
KOKONATSの場合:担当者につながらない相手には最大6回まで架電するルールで運用しています。担当者に到達するまで平均4〜6回のすれ違いが発生するため、1回で判断すると、届いていない相手を「反応なし」に分類してしまうからです。
4. 他社品と入れ替わる4つのタイミング
すでに他社の部品が入っているのが前提の市場です。だから、いつ当てるかが結果を左右します。電子部品には、入れ替わりが起きやすい時期がはっきりあります。
① 使っている部品が生産中止になるとき
採用中の部品にEOL(生産中止)の通知が出ると、使う側は代替品を探さざるを得ません。設計変更が避けられない、数少ない機会です。このとき動けるかどうかで結果が変わります。日頃から接点があり、代替提案を出せる状態になっているかどうかの話です。
② 価格改定や入手難が起きたとき
値上げや供給の逼迫は、購買・資材が動く理由になります。ふだんは「間に合っている」で終わる相手が、このときだけは話を聞きます。ただし、この時期に価格だけで入ると、次の値下がり局面で同じように外されます。
③ 新機種の開発が立ち上がるとき
モデルチェンジや新規開発の初期は、部品を選び直す唯一の機会です。製品の更新周期は業界によって差がありますが、相手の製品ラインナップと発表時期を調べておくと、当てる順番の材料になります。
④ 展示会の会期前後
電子部品・実装系の展示会は、設計や生産技術の担当者が自分の意思で足を運ぶ数少ない場です。会期の前に接触しておけば「ブースに来てください」という自然な口実になり、会期後は「先日いただいた名刺の件で」とつながります。出展料を払っているなら、その前後を使わない手はありません。
5. 既存の商社と競合しない進め方
直取引を増やす話をすると、必ず出てくる懸念があります。「既存の代理店との関係が壊れないか」です。ここは実務上、無視できません。
整理すると、やろうとしていることは商社を外すことではありません。いま誰にも提案されていない相手を、自社で見つけにいくことです。
だから、進める前に社内で決めておくべきことがあります。
- どのエリア・どの業種を自社で当てるのか。既存代理店の担当範囲と重なっていないか
- 引き合いが出たとき、直接請けるのか、既存の商社を通すのか
- 商社経由で動いている案件と重複したときの扱いをどうするか
この線引きを先に決めておけば、新規開拓は既存の販路と両立します。むしろ、自社で見つけた案件を既存商社に流す形にすれば、商社側の温度も上がります。決めないまま始めると、社内で止まります。
6. 手法の比較|電子部品の場合
当て先と時期が決まってから、はじめて手法の話になります。
つまり、商社は優先度を握られ、展示会は年に数回、WEBは件数が読めません。「この時期に、この相手に当てる」と自社で決められるのは、テレアポとインサイドセールスだけです。前章のとおり、電子部品は当てる時期が結果を左右します。時期を選べる手段を1本持っておく意味は、そこにあります。
7. 断られた相手を、どう残すか
電子部品の新規開拓で最も取りこぼしが多いのが、ここです。初回で決まる案件は、ほぼありません。いま開発中の機種がなければ「間に合っています」で終わります。それが普通です。
重要なのは、その相手を切るのか残すのかを分けることです。「いま案件がないだけの相手」と「そもそも仕様が合わない相手」は、まったく別のものです。前者は、次の新機種が立ち上がれば候補になります。EOLが出れば、その日に候補になります。
KOKONATSの場合:断られた相手も理由とともに記録し、新機種の立ち上がりや価格改定の時期に合わせて再度接触します。案件が出るまで月単位・年単位かかる商材ほど、追い続ける仕組みのほうが効きます。
8. 費用の考え方|相場と、KOKONATSの料金
市場の相場
BOXILによる主要34サービスの調査では、月額費用の中央値は約27万円(10〜50万円に分布)、初期費用の中央値は約16万円、成果報酬はアポ1件あたり1万5,000〜2万円が目安とされています。同じ調査で、料金を公開しているのは34社中9社でした。
料金が非公開であること自体が問題なのではありません。ただ、検討する側からすると社内で予算を通すための資料が作れないという不便があります。営業の外注は、その場では決まりません。持ち帰って稟議に載せる段階で、金額が要ります。
もし非公開の会社を検討するなら、確認しておきたい質問がひとつあります。「実際に架電するのは誰ですか」です。問い合わせを受けてから協力会社に見積もりを取る形も現実にあります。再委託そのものは違法ではありませんが、費用は上がり、商材の理解とリスト作成は顔の見えない相手に委ねられます。電子部品のように仕様の理解が要る商材では、ここが結果に直結します。
KOKONATSの料金(製造業)
| プラン | 月額(税抜) | アポインセンティブ | 対象社数 |
|---|---|---|---|
| 高精度マッチングプラン 機械加工・板金加工等 |
140,000円 | 15,000円/件 キャンペーン中 5,500円/件 |
200社 |
| 大型案件創出プラン 製造装置・FA企業等 |
230,000円 | 30,000円/件 | 200社 |
| 見込み客フォローアップ特化プラン 製造業界 |
80,000円 ※商材・ボリュームにより変動 |
無し(定額) | 100社(枠) |
| 初期費用 | 0円 | — | 全プラン共通 |
【見込み客フォローアップ特化プラン】の「100社」について
「100社」は、かけて終わりの100社ではありません。同時に追い続ける枠の数です。初月に100社すべてへ連絡して温度を仕分け、2か月目以降は温度別に頻度を変えて追い続けます。
追跡のなかで確度が低い・仕様が合わないと分かった先は枠から外し、空いた枠に次の候補を入れます。名簿が積み上がるのではなく、枠の中身が入れ替わっていきます。外した理由は毎月のレポートでお返しします。
追いたい先が100社に収まらない場合は、枠の追加も承りますので、別途ご相談ください。※この枠の考え方は見込み客フォローアップ特化プランのみに適用されます。
電子部品は、いま案件がない相手を、新機種やEOLが出るまで追い続ける商材です。展示会で集めた名刺を放置してしまっている場合も含め、見込み客フォローアップ特化プランの考え方と相性のよい分野です。
9. まとめ|商社を外すのではなく、当て先を自分で持つ
- 直取引が増えないのは製品力ではなく、当てる相手と優先度を自社で決められない構造のため
- 当て先は4つ。設計・開発/購買・資材/EMS・基板実装/装置メーカー・FA・SIer
- 短期の売上は購買から、単価と継続は設計から。二本立てで持つ
- 勝負は部品表が固まる前。固まったあとは「同等品でもっと安い」の枠しか残らない
- 入れ替わりのタイミングは4つ。EOL・価格改定や入手難・新機種の立ち上がり・展示会の前後
- 既存代理店との線引きを先に決めれば、新規開拓と販路は両立する
- 相手と時期を自社で決められるのはテレアポ・インサイドセールスだけ
- 「いま案件がないだけの相手」を残す。それが次の量産をつくる
商社に乗せることと、自分で当て先を持つことは、どちらかではありません。
初期費用0円。料金・支援の流れはこちらから。
よくある質問
Q. 既存の代理店との関係が悪くならないか心配です。
A. 先に線引きを決めておけば両立します。どのエリア・業種を自社で当てるのか、引き合いが出たとき直接請けるのか既存商社を通すのか、案件が重複したときどう扱うのか。この3点を社内で決めてから始めてください。自社で見つけた案件を既存商社に流す形にすれば、商社側の優先度もむしろ上がります。
Q. 設計・開発の担当者に、そもそもたどり着けるのですか?
A. 一度では届きません。代表番号からの到達には手間がかかり、担当者に届くまで平均4〜6回のすれ違いが発生します。KOKONATSでは担当者につながらない相手に最大6回まで架電するルールで運用しており、1回で「反応なし」と分類しないようにしています。到達までの工数を外に出せるかどうかが、直取引を増やせるかの分かれ目です。
Q. 購買と設計、どちらを狙うべきですか?
A. 両方です。役割が違います。購買・資材は相見積りに入れば結果が早く出ますが、価格で比較されます。設計・開発は到達に時間がかかる代わりに、部品表が固まる前に入れれば仕様の相談から関われるため、単価を守れます。短期の売上は購買、単価と継続は設計、という二本立てが現実的です。
Q. 展示会に出ているのに量産採用まで進みません。
A. 会期後のフォローが止まっているケースが多いです。展示会でもらった名刺は、その時点で開発案件があるとは限りません。いま案件がないだけの相手と、仕様が合わない相手を分けて、前者を追客データとして残しておくかどうかで、翌年以降の結果が変わります。会期の前に接触してブースへ誘導する使い方も有効です。
Q. 【見込み客フォローアップ特化プラン】の100社を超えたらどうなりますか?
A. この100社は、同時に追い続ける枠の数です。確度が低い・仕様が合わないと分かった先を枠から外し、空いた枠に次の候補を入れる運用のため、名簿のように積み上がることはありません。それでも追いたい先が100社に収まらない場合は、枠の追加も承りますので別途ご相談ください。なおこの枠の考え方は、見込み客フォローアップ特化プランにのみ適用されます。
Q. 社内に営業専任がいなくてもできますか?
A. できますが、当て先の設計を誰かが持つ必要があります。架電そのものは外注できても、「自社の品種とスペックに合う相手はどこか」を決められるのは自社だけです。KOKONATSでは月末に最大30分の戦略会議を行い、断られた理由や競合の状況を共有したうえで、翌月のターゲットを一緒に調整しています。



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