【手戻りを減らす】建築パースの修正指示の伝え方5つのコツ|「イメージと違う」を1往復で終わらせる

【手戻りを減らす】建築パースの修正指示の伝え方5つのコツ|「イメージと違う」を1往復で終わらせる

「初稿を見たけれど、なんとなくイメージと違う。どう言えば伝わるのか分からない。」
「修正を出すたびに別のところが変わってしまい、やり取りが3往復、4往復と続いてしまう。」

建築パースの制作が進みはじめてから、こうしたご相談をいただくことがよくあります。設計事務所の方も、工務店の方も、店舗内装の担当者の方も、つまずく場所はほとんど同じです。

パース制作でスケジュールが崩れる原因は、修正の「回数」よりも修正の「往復の数」にあります。1回の指示で直る内容が、伝わり方の問題で2回、3回に分かれてしまう。制作側は1往復ごとに再レンダリングの時間を使うため、同じ内容でも納品日が数日後ろにずれます。指示の言葉を少し変えるだけで、この往復は確実に減らせるというのが現実です。

この記事では、修正指示が伝わらなくなる典型的なパターン、伝わる指示の書き方の型、よくある言い方の言い換え例、修正を出すタイミング、そして無料修正と追加見積もりの線引きまでを、制作側の視点から紹介します。

「イメージと違う」が伝わらないのは、感想を送っているから

初稿を見たときに最初に出てくる言葉は、たいてい感想です。「暗い」「重たい」「もう少し高級感がほしい」。この感覚自体は正しく、むしろ発注者にしか分からない大事な情報です。問題は、感想のままでは制作側が触るべきパラメータが特定できないことにあります。

たとえば「暗い」という一言には、少なくとも4つの解釈があります。太陽の高度が低いのか、室内照明の光量が足りないのか、外壁材の色が想定より濃いのか、それとも空の色が沈んでいるのか。制作側はどれか1つを選んで直します。選んだものが違えば、その1往復は丸ごと無駄になります。

1. 場所が特定されていない

「窓まわりを直してほしい」という指示で、窓が12箇所ある外観パースをお預かりしたことがあります。制作側は全部を確認し、どれのことか質問を返すしかありません。この質問と返信だけで、半日から1日が消えます。

2. 現状と希望のどちらかが抜けている

「床をもっと明るく」という指示は、希望はあっても基準がありません。いまの色から何段階明るくするのかが共有されていないため、上げ幅が足りずにもう1往復、という展開になりがちです。

3. 修正が小出しに届く

社内で回覧しながら気づいた順に送っていただくと、1件ごとに再レンダリングが走ります。3件を3回に分けると、まとめて送っていただいた場合に比べて所要日数はおおむね3倍になります。内容が軽いかどうかは関係ありません。

逆に言えば、伝え方の型さえ決めてしまえば、専門用語を覚える必要はまったくありません。必要なのは、感想の手前にある「どこを見てそう感じたか」を言葉にすることだけです。

修正指示は「場所・現状・希望・理由」の4点セットで書く

伝わる修正指示は、例外なくこの4点が入っています。順番はこのとおりでなくて構いません。1行に詰め込む必要もありません。箇条書きで4つ並べるだけで、制作側の解釈のブレはほぼ消えます。

① 場所 ― どこの話か

「正面右側の掃き出し窓」「エントランス上部の庇」のように、図面上の名称か位置で指定します。いちばん確実なのは、初稿の画像に赤丸を描いて送っていただく方法です。スマートフォンの写真アプリのマークアップ機能でも十分で、この一手間だけで質問の往復が1回減ります。

② 現状 ― いまどう見えているか

「グレーがかって見える」「奥行きが分かりにくい」など、見えている状態を書きます。制作側は自分の画面で見え方を確認しているため、同じものをどう受け取ったかが分かると原因の切り分けが一気に速くなります。モニターの色設定によって見え方が違うことも珍しくありません。

③ 希望 ― どうなってほしいか

「もう少し」ではなく、比較対象を添えます。「支給した仕上表のサンプル写真と同じ明るさに」「前回いただいた内観パースの床と同じ色味に」。参考画像を1枚添えるのが最も速く、言葉を尽くすより確実です。ただし参考画像は「雰囲気の見本」なのか「この色そのもの」なのかで扱いが変わるため、そこは一言添えていただけると助かります。

④ 理由 ― 何に使うからそうしたいか

4つのうち省略されやすく、実はいちばん効くのがこれです。「施主提案で夕方の雰囲気を見せたい」「販売チラシに載せるので明るさ優先」と分かれば、指示された箇所以外に必要な調整も同時に提案できます。用途が分かっている修正は、1往復で終わる確率が明らかに上がります。

よくある指示の言い換え例

実際にいただくことの多い言い方を、そのまま使える形に直すと次のようになります。左の言い方が悪いわけではありません。右のように少しだけ足していただくと、返ってくる初稿の精度が変わります。

よくある指示 制作側で起きること 言い換えの例
全体的に暗いです △ 光源・素材・空のどれを触るか判断できない 正面外壁が影に入って濃く見えるので、太陽の向きを右手前に振ってください
高級感を出してほしい × 解釈が人によって割れる 床を鏡面寄りの艶にして、ダウンライトの数を2灯増やしてください
木の色が違います △ どの木部かが特定できない リビング床のみ、仕上表のナラ材サンプル写真の色に合わせてください(建具はこのままで結構です)
アングルを変えたい × 構図変更は工程が戻り、追加費用の対象になりやすい 建物の左面も見せたいので、カメラを20度ほど左へ。費用が変わるなら先に教えてください
気になる点は以上です(3件をまとめて記載) ◎ 1回のレンダリングで全件反映できる この形が最短。社内確認を終えてから一括で送る

結論は単純で、「箇所を特定し、社内でまとめてから一度に送る」だけで往復は半分以下になります。

大きな修正ほど、早い段階で出したほうが安い

パース制作は、モデリング、マテリアル設定、ライティング、レンダリング、レタッチという順に進みます。後ろの工程ほど作業は軽く、前の工程に戻るほど重くなります。つまり、同じ「修正」でも出すタイミングで負荷がまったく違います。

建物の形状やカメラの構図に関わる指摘は、初稿のラフやアングル確認の段階で出していただくのが鉄則です。この段階なら数時間で振り直せます。一方、レンダリングとレタッチが終わった後に構図を変えると、その先の工程をもう一度やり直すことになります。業界一般でも、初稿提出は依頼から5〜10営業日、修正対応に2〜3営業日が目安とされ、短納期対応は通常料金の1.2〜1.5倍になる場合があるとされています。(出典: PERSC JOURNAL)

  • ラフ・アングル確認の段階で出すもの: 構図、視点の高さ、見せたい面、建物形状の変更、カット数の増減
  • 初稿提出の段階で出すもの: 素材の色味、光の向きと強さ、植栽や家具の配置、人物や車の有無
  • 最終確認の段階で出すもの: 明るさの微調整、小物の差し替え、文字やロゴの位置
  • 出す前に社内で決めておくこと: 誰が最終判断するか。決裁者が後から登場する案件は、ほぼ確実に往復が増えます

実務でいちばん多い失敗は、社内の一次確認を通した初稿を上長や施主に見せた段階で、構図の話が蒸し返されるケースです。構図だけは、ラフ段階で決裁者の目を通しておく。これだけで修正の総量は大きく変わります。どの資料を先に渡せば話が早いかは「建築パースに必要な資料と渡し方7項目」にまとめています。

無料の修正と、追加見積もりになる修正の線引き

修正の条件は制作会社ごとに違います。業界的には「軽微な修正は2回まで無料、3回目以降は1回あたり3,000〜10,000円程度」という設定が一般的で、構図変更や仕様変更は別料金として扱われることが多くなっています。(出典: PERSC JOURNAL) 見積書に修正の回数と範囲が書かれていない場合は、発注前に必ず確認しておくのが安全です。

KOKONATSでは、色味や明るさの調整、外壁テクスチャの軽微な差し替え、大きく構図を変えない範囲のカメラ微調整、構造に影響しない窓やドアの小さな配置修正については、回数無制限で無料対応としています。反対に、新しい図面の支給による大幅なモデル修正、建物形状の変更、全体のデザイン再構成、カット数の追加、4Kやアニメーションへの品質変更は、作業量が大きいため追加のお見積もりをお願いしています。いずれの場合も、事前にお見積もりとご了承をいただいてから進めます。条件の詳細は「修正変更の時の料金設定はどうなっているの?」に記載しています。

回数が無制限であっても、往復の回数だけは納期に直接効きます。無料だから何度でも、と考えるより、1回にまとめて的確に出したほうが結果的に早く仕上がります。価格そのものの考え方については「建築パースの価格相場と依頼時の注意点」、外観パースに内装を反映する場合の追加費用の実例は「外観パースに内装も反映するには?」で触れています。

迷ったら、画像に丸を描いて送ってください

KOKONATSでは、設計事務所・工務店・店舗内装業者の皆さまに向けて建築パース・店舗内装CGを制作しています。SketchUpとTwinmotion、Photoshopを使い、構想段階のイメージ出しにはAIも取り入れることで、価格と納期を抑えた制作を行っています。

修正のご指示は、文章として整っている必要はありません。初稿の画像に丸を描いて「ここが気になる」と送っていただければ、こちらから原因の候補をお伝えします。ガラス越しの内装の見せ方など、判断が難しい部分は「店舗の外観パースは「ガラス越しの内装」で決まる」もご覧ください。

これまでの制作事例は建築パース・3DCG制作実績で、サービスの内容は建築パース・店舗内装CG制作代行でご覧いただけます。

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