【逆算でわかる】建築パースの納期の内訳と5つの工程|初稿3〜5営業日の「中身」を分解します
「プレゼンが来週の火曜。今から頼んで間に合うのか、判断できない。」
「『3営業日』と書いてあるけれど、それは提出できる状態になるまでの日数なのか。」
建築パースを外注するとき、料金よりも先に効いてくるのが納期です。金額は比較サイトを見れば相場がつかめますが、納期は「何にどれだけかかっているか」が見えないため、社内やお客様に約束できる提出日を逆算できません。
パース制作の日数は、モデリング・マテリアル設定・ライティング・レンダリング・修正という工程の積み上げでできています。この内訳を知らないまま「急ぎでお願いします」と伝えると、削れない工程を削る話になり、結局は品質か締切のどちらかを落とすことになるのが現実です。
この記事では、建築パースの納期を工程ごとに分解し、日数を左右する4つの要因、KOKONATSの通常納期と特急対応の条件、そして締切から逆算して発注日を決める手順を紹介します。
納期は「初稿まで」と「最終納品まで」で別物
まず押さえるべきは、制作会社が提示する納期のほとんどが「初稿(1枚目の提出)まで」の日数だという点です。最終納品までの日数ではありません。修正のやり取りが1往復入れば、そこから2〜3営業日は動きます。この差を見落とすと、締切当日に修正版が間に合わないという事故が起きます。
KOKONATSの場合、フォトリアルパースの通常納期は3〜5営業日、簡易パースは1〜3営業日が目安です(規模が大きい案件では3日〜1週間を見込んでください)。3Dモデルをお持ちいただいてレンダリングだけを行う場合は1カットあたり通常2営業日、図面からSketchUpモデルを新規に作る場合は5営業日〜が起点になります。業界全体でも初稿は最短3営業日〜という提示が一般的で、この水準は他社とほぼ揃っています。
■ 5営業日の中で何が起きているのか
1カット5営業日の案件を工程に割ると、おおよそ次のような配分になります。金額ではなく時間の使い先として見ると、どこを短縮できてどこが削れないかがはっきりします。
| 工程 | やっていること | 目安 | 短縮できるか |
|---|---|---|---|
| 見積・条件確定 | 図面の確認、カット数とアングルの決定、見積提出 | 〜1営業日 | ◎ 資料が揃っていれば当日 |
| モデリング | 図面から壁・開口・什器を立ち上げる | 1〜3営業日 | △ 既存モデル流用時のみ |
| マテリアル設定 | 仕上材の質感・色・貼り方向の割り当て | 0.5〜1営業日 | ◎ 仕様書があれば早い |
| ライティング・構図 | 光源とカメラの調整。見栄えがここで決まる | 0.5〜1営業日 | × 削ると品質に直撃 |
| レンダリング | 計算機まかせの画像出力。夜間に回すことが多い | 数時間〜1晩 | △ 解像度次第 |
| 修正 | 初稿への指示反映と再出力 | 1往復2〜3営業日 | ◎ 指示のまとめ方で変わる |
短縮の余地があるのは前後(条件確定と修正)で、中央のモデリングとライティングは圧縮できません。
納期を伸ばしている4つの要因
同じ「1カット」でも、納期は倍近く変わります。原因はほぼ次の4つに集約されます。いずれも発注側で先に手を打てるものです。
1. 図面と仕様が固まっていない
最も大きい要因です。作業開始後に壁位置の移動・窓の追加・仕上材の変更が入ると、モデルの作り直しと再レンダリングが発生します。KOKONATSでは基本計画段階の平面図や手書きスケッチからでも先行して着手できますが、その後の設計変更は追加料金と追加日数の対象になります。
2. カット数とアングルを後から足す
3Dモデルを一度作れば別アングルの追加は比較的軽く済むため、まとめて発注したほうが1カットあたりの日数は下がります。逆に初稿を見てから「もう1カット」と足すと、その時点から新しい構図とライティングの調整が始まります。什器の多い内観や外観の俯瞰は、構図が複雑なぶん時間がかかります。
3. モデリングが新規かどうか
既存の3Dモデル(SketchUpやRevitのデータ)をお持ちいただける場合、レンダリング単体なら1カット通常2営業日です。図面からの新規モデリングが必要なら、そこに数営業日が乗ります。手元にモデルがあるかどうかで、起点が2営業日か5営業日かに分かれます。
4. 確認する人が揃っていない
初稿を社内で回覧し、上司・施主・施工側から時間差で指示が来ると、その都度1往復ずつ日数が積み上がります。修正1回あたり2〜3営業日と考えると、3回に分かれた指示は1週間分の遅れになります。
逆に言えば、この4つはすべて発注前に潰せます。図面と仕様書を揃え、必要なカットを最初に確定し、手持ちの3Dモデルの有無を伝え、確認者を先に集めておく。それだけで、同じ制作会社に同じ料金で頼んでも、初稿までの日数と往復回数は目に見えて縮みます。何を渡せばよいかは建築パースに必要な資料と渡し方7項目にまとめています。
急ぐと料金は上がる。上がり方を先に知っておく
締切に間に合わせる手段として、特急対応は用意されています。ただし人が動かす工程を前に詰める作業なので、追加料金が発生するのが業界の通例です。3営業日以内の短納期は通常料金の1.2〜1.5倍という水準が一般的な目安として紹介されています。
KOKONATSのフォトリアルパース(基本料金20,000円・税別/カット)の場合、条件は次のとおり公開しています。
| 納期 | 追加料金 | 料金例(税別) | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 通常納期(3〜5日) | なし | 20,000円 | ◎ 修正の往復まで含められる |
| お急ぎ(48時間以内) | +50%(1.5倍) | 30,000円 | ○ 図面が確定済みの案件 |
| 超特急(24時間以内) | +100%(2倍) | 40,000円 | △ 修正の時間はほぼ取れない |
1万円の割増を払うより、3営業日早く図面を送るほうが確実です。
なお、毎月まとまった枚数が発生する場合は月額プランのほうが納期でも有利になります。月額パッケージプランは通常4営業日/カットが基準ですが、8カットプランで3営業日、12カットプランで2営業日と、契約枚数に応じて標準の納品速度そのものが短くなります。単発の特急料金を毎回払っている状態なら、一度試算し直す価値があります。料金の全体像は建築パースの価格相場と依頼時の注意点で解説しています。
締切から逆算して発注日を決める4ステップ
「いつ頼めばいいか」は、提出日から引き算すれば機械的に出ます。フォトリアルパース1カット・修正1往復を前提にすると、次のようになります。
① 提出日を固定する
プレゼン・コンペ・施主打ち合わせの日付を先に決めます。ここを動かさない前提で全部を引き算します。印刷や資料への差し込みが必要なら、その半日〜1日も別に確保してください。
② 修正の往復に2〜3営業日を確保する
初稿がそのまま通ることは、まずありません。指示を出して反映して戻ってくるまでを2〜3営業日で置きます。指示のまとめ方で往復数は変わるため、建築パースの修正指示の伝え方5つのコツもあわせてご覧ください。
③ 初稿までの営業日を引く
フォトリアルなら3〜5営業日、簡易パースなら1〜3営業日、既存モデルのレンダリング単体なら2営業日。カット数が多い場合や新規モデリングが必要な場合は、上限側で見ておくのが安全です。
④ 見積と条件確定の1〜2営業日を足して発注日を出す
お問い合わせから担当者の返信までは1〜2営業日以内です。ここを忘れて逆算すると初日から遅れます。土日祝が挟まる場合はカレンダー上の日数と営業日数がずれるため、必ず営業日で数えてください。
逆算の例:金曜のプレゼンにフォトリアルパース2カットを間に合わせる場合
- 金曜: 提出日(木曜夕方までに最終データを受領)
- 火〜木: 修正の指示と反映(2〜3営業日)
- 前週の木〜当週の火: 初稿制作(3〜5営業日)
- 前週の火〜水: 問い合わせ・見積・条件確定(1〜2営業日)
- つまり発注は「提出日の10営業日前」。2週間前に図面を揃えれば、特急料金は一切不要です。
それでも時間がないときに削る順番
駆け込みの案件は現実に起こります。そのとき全カットを同じ精度で仕上げようとすると、全部が中途半端になります。削る順番を決めておくほうが結果は良くなります。
最初に削るのはカット数です。審査や提案で一番効く1カットに寄せ、残りは平面図や簡易パースで補う。次に解像度と仕上げの深さ。フルHDで足りる場面に4K(+30%)は不要です。人物や車などの添景も、後追いで足せる要素です。逆に、構図とライティングは削ってはいけません。ここが弱いパースは、どれだけ描き込んでも「安く見える絵」になります。
また、確定している範囲だけで先に着手し、未確定の部分は修正フェーズで詰める進め方も有効です。ただしこの場合、後から入る変更が設計変更に当たれば追加料金の対象になります。KOKONATSでは設計変更を伴わない修正は無料で対応しますが、壁位置の移動や形状変更のように再モデリングが必要なものは別扱いです。線引きは修正変更の時の料金設定に明記しています。
要点のまとめ
- 1. 提示される納期は初稿まで: 最終納品には修正の往復2〜3営業日が別に必要です。
- 2. 起点はモデルの有無で決まる: レンダリング単体2営業日/フォトリアル3〜5営業日/新規モデリング5営業日〜。
- 3. 遅れる原因は4つ: 図面未確定・カット追加・新規モデリング・確認者の不在。すべて発注前に潰せます。
- 4. 特急は1.5〜2倍: 48時間以内で+50%、24時間以内で+100%。早く図面を送るほうが安く確実です。
- 5. 逆算は提出日の10営業日前: 見積1〜2日+初稿3〜5日+修正2〜3日で引き算します。
納期は運ではなく、準備と逆算で決まります。図面が揃った時点で締切を伝えていただければ、実現可能なスケジュールをその場でお返しできます。
締切が決まっている案件は、図面と提出日をお知らせいただければ、間に合う進め方をご提案します。
サービスごとの料金と条件は建築パース・店舗内装CG制作代行、月額での発注は3DCG月額パッケージプラン、3Dモデルをお持ちの場合は3DCGモデルレンダリングサービスをご覧ください。



コメント