「外壁は白とグレー、両方で見てから決めたい」
「床の色違いを並べて、施主に選んでもらいたい」
建築パースを発注するとき、仕様を1つに決めきれないまま、複数の案を見比べたい場面は少なくありません。比較用のパースは、打ち合わせで判断を早める有効な道具です。
ただし、同じ「色違いを見たい」という依頼でも、1枚を仕上げていく途中の差し替えとして頼むのか、A案・B案をそれぞれ完成品として残すのかで、制作の扱いも費用も変わります。ここを曖昧にしたまま進めると、「修正のつもりだったのに追加料金になった」「比べたかった案が上書きされて残っていない」というすれ違いが起きやすいのが現実です。
この記事では、A案・B案の比較パースを無駄なく頼むための5つのポイントを紹介します。
※アイキャッチ画像は解説用のイメージで、実際の制作事例ではありません。
① 「修正」と「別案」は別物として考える
最初に整理しておきたいのが、「修正」と「別案」の違いです。修正は、1つの案を仕上げていく途中で色や素材を差し替えていくことで、最後に残る成果物は1枚です。別案は、A案とB案の両方を完成したパースとして手元に残すことで、成果物の枚数そのものが増えます。
見た目の作業は似ていても、別案は「カット数が増える」扱いになるのが一般的です。KOKONATSでも、A案・B案のように複数のパターンをそれぞれ成果物として残す場合は、制作途中・最終納品後を問わず別途お見積りとしています。一方、1案を仕上げる過程での形状に手を入れない軽微な差し替えは、フォトリアルパースとウォークスルー動画であれば、納品前は原則として回数制限なく無料です(作業量が当初のご依頼範囲を大きく超える場合は、事前にご相談のうえお見積りします)。
| 頼み方 | 手元に残るもの | 費用の扱い(KOKONATSの場合) | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 修正(差し替え) | 最終的な1枚 | ○ 形状に手を入れない軽微な差し替えは納品前なら原則無料(フォトリアルパース・ウォークスルー動画) | 方向性はほぼ決まっていて、細部を詰めたい |
| 別案(A案・B案) | 比較できる複数枚 | △ 別途お見積り(モデリング完了後なら通常単価より割安) | 施主や社内で案を並べて選んでもらいたい |
「最後に何枚残したいか」を最初に伝えておくと、費用のすれ違いを防ぎやすくなります。
なお、簡易パースは修正1箇所あたり500円で承っているため、上の「修正は原則無料」はフォトリアルパースとウォークスルー動画の場合です。
② 比べたい「違い」を1つに絞る
A案とB案で外壁の色も、窓の形も、植栽も違う、という比較は、見る側にとって判断が難しくなります。どの違いが印象の差を生んでいるのかが分からず、結局「両方の良いところを合わせた案」をもう1枚作ることになりがちです。
逆に言えば、「外壁の色だけ」「床材だけ」のように違いを1点に絞った比較は、判断が速く、制作の負担も小さくなります。形状が同じで色や素材だけが違う案であれば、同じ3Dモデルを使い回して描き分けられるためです。反対に、建物の形そのものが違う案は、形状の違う部分をモデルから作り直す必要があるため、同じ「別案」でも費用と日数の差が大きくなります。
■違いが複数あるときは
どうしても複数の要素を比べたい場合は、「まず外壁の色をA・Bで決め、決まった色の上で床材をA・Bで比べる」というように、一度に比べる違いを1つずつにして段階を踏むと、案の数が膨らみにくくなります。
③ 別案を頼むタイミングを決めておく
色や素材だけが違う別案は、建物のモデリングが終わった段階で頼むと効率的です。形が固まっていれば、その上で色や素材を描き分けるだけで済むため、KOKONATSでもモデリングが完了している段階での別案のご依頼は、通常単価より割安で対応しています。
一方、窓の位置や屋根の形のように形状が違う案を比べたい場合は、できるだけ早い段階、理想的には発注の時点で伝えておくのが安全です。後から形状違いの案を足すと、既存のモデルに手を入れ直す作業が発生し、納期にも響きやすくなります。「色の比較は後から、形の比較は最初に」と覚えておくと判断しやすくなります。
④ 比べる条件を揃える
比較用のパースは、比べたい部分以外の条件が揃っていないと、正しく見比べることができません。同じ外壁の色でも、昼の光と夕方の光では見え方が大きく変わり、カメラの位置が違えば面積の見え方も変わります。
揃えておきたい条件
- カメラの位置と画角:同じアングルから見た2枚を並べる。
- 時間帯と光:昼なら昼、夕景なら夕景で揃える。
- 添景・家具:人物や植栽、家具の配置を変えない。
- 見る環境:同じモニター、または同じ印刷物で見比べる。
時間帯の決め方は内観パースの時間帯と照明の決め方、アングルの考え方は建築パースのカメラ位置と構図の決め方、素材や色がモニターとサンプルで違って見える理由は建築パースの素材・色の決め方でそれぞれ解説しています。
⑤ 「誰が・いつ・どう決めるか」を先に決める
比較用のパースを用意しても、選ぶ人と決める期限が決まっていないと、案が出そろった後に「もう1案見たい」が繰り返されがちです。施主に選んでもらうのか、社内で決めるのか、打ち合わせの場で決めるのかを、別案を頼む前に決めておくと、比較の目的がはっきりします。
あわせて、選ばれなかった案をどう扱うかも決めておくと安心です。選ばれた案だけを最終的に仕上げるのか、比較資料として両方を残しておくのかで、仕上げの手間も費用も変わります。選ばれた案をさらに調整するときの伝え方は建築パースの修正指示の伝え方5つのコツにまとめています。
比較パースを頼む前のチェックリスト
- 残したい枚数:最後に1枚だけ残すのか(修正)、複数枚を残すのか(別案)。
- 比べる違い:色・素材なのか、形状なのか。できれば1点に絞る。
- タイミング:色の比較はモデリング後、形の比較は発注時に伝える。
- 揃える条件:アングル・時間帯・添景・見る環境。
- 決め方:誰が、いつまでに、どうやって選ぶか。選ばれなかった案の扱い。
比較パースは、うまく使えば打ち合わせの往復を減らし、施主の納得感も高めてくれます。頼む前に「修正か別案か」と「何を比べるか」の2点を伝えておくだけで、費用と納期の見通しはかなり立てやすくなります。修正と別途お見積りの線引きの詳細は、修正変更の時の料金設定をご覧ください。
参考にした情報源
KOKONATSの料金・修正の条件は修正変更の時の料金設定と価格表に基づいています。個別の案件では、事前にお見積りでご確認ください。



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