【色だけで伝えない】ゾーニング・動線の色分け図を依頼する前に決めたい5つのこと|「赤と緑」で分けた図が一部の人に伝わらない理由

「ゾーニングを色分けしたパースにしたいので、エリアごとに赤と緑で塗ってもらえますか。」
「動線を色の線で描いてほしいのですが、見やすい色はどれでしょう。」

店舗や住宅の計画を説明するパースや図解では、エリアや動線を色で分けて見せる場面があります。色分けは直感的で、説明の手間が省けるからです。

ただ、色の見え方には個人差があります。作り手が「はっきり違う色」と思って選んだ組み合わせが、見る人によっては区別しにくいことがあるのが現実です。色だけで情報を伝える図は、そこで意図が届かなくなります。

この記事では、色分けしたパースや図解を依頼する前に決めておきたい5つのことを、神奈川県の「カラーバリアフリー 色使いのガイドライン・サインマニュアル Ver.2」(平成30年6月)をもとに紹介します。なお、色の見え方には個人差があり、この記事は誰にでも同じに見えることを保証するものではありません。

① 色の見え方は人によって違う、という前提に立つ

神奈川県のガイドラインによれば、日本人男性の約5%が色覚の異なる人とされ、日本全体では300万人以上にのぼるとされています。5%はおおよそ20人に1人という割合で(これは当社の換算です)、会議の参加者が多ければ、該当する人がいても不思議ではありません。

施主、設計者、施工者、関係者が一堂に会する説明の場では、全員が同じ色の見え方をしているとは限りません。色分けを使うなら、「見分けにくい人がいるかもしれない」という前提で図を作るのが、誤解を防ぐ出発点です。

② 見分けにくい色の組み合わせを避ける

同じガイドラインは、見分けにくい色の組み合わせとして「青と紫」「赤と緑と茶色」「水色とピンクと灰色」「茶色とオレンジと緑」などを挙げています。

ゾーニング図で「赤=厨房、緑=客席」のように分けたくなる場面は多いですが、まさにここが落とし穴です。避けたい組み合わせを整理すると、次のとおりです。

組み合わせ ガイドラインの記載(原文) 当社の整理(色分け図での扱い)
赤と緑と茶色 見分けにくい組み合わせとして記載 × 色だけの色分けは避ける
青と紫 見分けにくい組み合わせとして記載 × 隣り合わせにしない
茶色とオレンジと緑 見分けにくい組み合わせとして記載 × 床と植栽の色分けなどで注意
水色とピンクと灰色 見分けにくい組み合わせとして記載 × 淡い色同士の並びは避ける

「はっきり違う色」に見える組み合わせでも、色だけでは区別できない人がいます。

③ 色だけに頼らず、文字・形・模様を併用する

ガイドラインは、形を変えたりマークを併用したりすると、色を見分けにくい人にも情報が伝わりやすくなると述べています。また、ハッチング(模様)をつけると、色の違いが見分けられない場合でも情報が伝わりやすくなるとしています。

パースや図解に置き換えると、次のような工夫が考えられます。これはガイドラインの考え方を当社で当てはめたものです。

  • エリア分けの図では、色に加えて「厨房」「客席」のように文字でも名前を入れる
  • 動線を描く線は、実線・破線・矢印の形を変え、色に頼らず区別できるようにする
  • 面積が広い部分は、色の塗り分けにハッチング(斜線・ドット)を併用する
  • 凡例は色の見本だけでなく、文字による説明を必ず添える

逆に言えば、文字や形で区別できる図は、色が見分けにくい人にも、白黒で印刷された資料でも伝わりやすくなります。

④ 明るさ(明度)と鮮やかさ(彩度)に差をつける

ガイドラインは、彩度は「高い色」同士か「高い色」と「低い色」の組み合わせに、明度は「明るい色」と「暗い色」の組み合わせにすると見分けやすくなると説明しています。

色相(赤・青といった色合い)の違いだけに頼らず、「濃い色」と「淡い色」のように明るさの違いを足すのがポイントです。たとえば(当社の例です)、ゾーニングの2つのエリアを「濃い青」と「淡い黄」に分ければ、色の見え方が違う人にも、明るさの差で区別がつきやすくなります。

文字を図に重ねる場合は、背景に対して文字が埋もれないかも確認します(これは当社の補足です)。パースの素材・色そのものの見え方については、別記事「建築パースの素材・色の決め方5つの基準」で紹介しています。

⑤ 色分けの目的と、伝えたい情報を最初に決めて依頼する

色分けが必要な図やパースを依頼するときは、「何を区別して見せたいか(エリア・動線・素材の違いなど)」と「何種類に分けるか」を最初に伝えます。種類が多すぎると、色だけで区別するのが難しくなり、文字やハッチングに頼らざるをえなくなるためです。

完成した図は、白黒に変換して区別がつくかを確認すると、色に頼りすぎていないかの目安になります。これは一般的な確認方法で、ガイドラインに記載された手順ではありません。区別がつかない部分があれば、文字・形・ハッチングの追加を相談します。

パース本来の見え方(素材や照明)を変えずに、図解として色分けを足す場合は、「どこまでを写実で見せ、どこから図解にするか」も決めておくと、依頼内容が整理されます。必要な資料のそろえ方は、別記事「建築パースに必要な資料と渡し方7項目」にまとめています。

色分けの図は、色・文字・形の3つを組み合わせて作ることで、より多くの人に伝わりやすくなります。

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