【2026年版】英会話に文法はどこまで必要か|中学英語で足りる範囲と、埋めるべき3つの穴

「英会話をやり直したいのですが、文法は一からやり直すべきでしょうか」「分厚い総合英語を買ったのに、三日で開かなくなりました」

英語を話せるようになりたい方から、こうした相談をいただくことが増えました。

つまずく原因は、やる気でも才能でもありません。会話に必要な文法の範囲と、受験に必要な文法の範囲が違うことにあります。書店に並ぶ総合英語は、入試の出題範囲を漏れなく網羅する目的で作られています。会話のために買うと、当分は使わない章にいちばん体力を使うことになり、途中で息切れするのが現実です。

この記事では、会話に必要な文法がどこまでなのか、2021年度の教科書改訂で「中学英語」の中身がどう変わったのか、そして中学範囲だけでは埋まらない3つの穴の埋め方を紹介します。

会話に必要な文法は、受験に必要な文法より狭い

海外の英会話教室でも、日本の中学生向けの参考書を使っているところがあります。侮られがちですが、理由のある選択です。基本的なところからスタートして、会話で実際に使う文法をほぼすべてカバーしているからです。

解説も丁寧に作られています。初めから順に手を動かしていけば、間違えた原因が必ず分かるように設計されています。文法用語の暗記ではなく、なぜその形になるのかを自分で言えるようになるかどうかが、会話で使えるかどうかの分かれ目です。

  • 網羅性より使用頻度:会話で毎日使う形は、実は数十パターンしかありません。
  • 解ける より 言える:選択肢を選べても、口から出てこなければ会話では使えません。
  • 薄い本を3周:厚い本を1周するより、薄い本を3周したほうが定着します。

なお、この手の学年別問題集は教科書改訂に合わせて改訂されます。上に挙げたのは2025年の教科書改訂に対応した版です。中古で古い版を買うと改訂前の範囲のままになるため、表紙の対応年度は必ず確認してください。

2021年度の改訂で、「中学英語」の中身が変わった

ここは、以前の常識のままでいると必ず判断を誤るところです。2021年度から中学校で全面実施された学習指導要領で、それまで高校で扱っていた文法がいくつも中学校へ降りてきました。

高校から中学へ移ってきたもの

代表的なのは現在完了進行形・原形不定詞・感嘆文・仮定法(基本的なもの)の4つです。加えて、扱う語彙も大きく増えました。中学3年間で1,200語程度だったものが1,600〜1,800語になり、しかも小学校で学ぶ600〜700語が前提として上に乗る形になっています。

2025年度の改訂では、現場の負担を踏まえて読み書きまで習得させる発信語彙が最大2割ほど絞られました。ただし掲載されている総語彙数そのものは変わっていません。触れる単語の量は、以前の中学生の倍近くあると考えたほうが実態に合います。

文法項目 2020年度まで 2021年度以降 会話での出番
be動詞・一般動詞・時制 中1〜中2 中1〜中2 ◎ 毎日使う
不定詞・動名詞・比較 中2 中2 ◎ 毎日使う
受動態・現在完了 中3 中3 ○ 週に何度も
現在完了進行形 高校 中3 ○ 近況を話すとき
仮定法(基本) 高校 中3 ○ 提案・願望
原形不定詞・感嘆文 高校 中3 △ 場面による
have/get+目的語+過去分詞 高校 高校のまま ◎ 生活で頻出

中1と中2だけで十分だったのは2020年度までの話で、いまは中3の仮定法と現在完了進行形まで含めて初めて「会話に必要な文法」が揃います。

それでも中学範囲だけでは埋まらない、3つの穴

改訂で穴はかなり小さくなりました。ただし、生活の中で毎週のように出てくるのに、いまも高校範囲のままという項目が残っています。ここだけは別に手当てが必要です。

穴1 「〜してもらった」「〜されてしまった」の言い方

have または get に、目的語と過去分詞を続ける形です。I got my hair cut.(髪を切ってもらった)、I had my bag stolen.(かばんを盗まれた)のように使います。所有格の my を落として I got hair cut. と言うと通じません。美容院、修理、盗難と、生活の報告にそのまま出てくる形なので、優先して覚える価値があります。

穴2 仮定法の広がり

中学で扱うのは If I were 〜 と I wish 〜 という基本形までです。過去の事実に反する話をする仮定法過去完了や、as if を使った言い方は高校範囲に残っています。「あのとき断っていればよかった」という後悔は会話でよく出るので、ここは自分で足すことになります。

穴3 語彙の絶対量

文法より深刻なのはこちらです。中学卒業時点の目標は英検3級程度、CEFRでいうA1上位で、文部科学省も高校卒業段階でA2〜B1を掲げています。身近な話題を筋道立てて話せるB1(英検2級程度)までは、文法の穴埋めではなく単語の積み増しでしか届きません。

逆に言えば、埋めるべき穴はこの3つだけです。総合英語を最初から通読する必要はありません。必要な章だけ辞書として引くという使い方に切り替えると、分厚い本も急に扱いやすくなります。

辞書として引く総合英語を、いまどれにするか

長く定番だったのが『総合英語Forest』です。手元にあるなら十分に使えます。ただし、いま新刊として買うつもりなら状況が変わっているので注意してください。

Forestは第7版を最後に桐原書店から姿を消しました。執筆陣がほぼそのまま移り、2017年1月にいいずな書店から『総合英語Evergreen』として刊行され、事実上の後継として引き継がれています。解説も例文もほとんど変わらず、確認用のパートが加わった構成です。ほかに、啓林館の『Vision Quest総合英語 2nd Edition』のように、文法項目をイメージ図で見せる系統もあります。

中古のForestを安く手に入れるのも、目的が「引くため」なら悪くない選択です。文法の骨格はそう簡単には変わりません。一方で、2021年度以降の中学・高校の学習範囲の移動は反映されていません。学校の勉強と並走させるなら、現行版を選ぶほうが確実です。

中学レベルの問題集を3周で終わらせる回し方

中学生レベルと侮ってはいけません。実際にやると、たぶん相当間違えます。その間違いこそが、会話で言葉に詰まる場所そのものです。

1 中1と中2の1冊ずつを、まず通す

解答は書き込まず、別紙かノートに書きます。3周する前提なので、本体はきれいなまま残しておきます。

2 間違えた問題にだけ赤丸をつける

正解した問題には二度と戻りません。赤丸の数がそのまま、自分に足りない文法の一覧になります。

3 赤丸だけを2周目、3周目で解き直す

2周目は1周目の半分以下の時間で終わります。3周目で赤丸が消えれば、その範囲は仕上がりです。

4 中3は、仮定法と現在完了進行形の章だけ足す

中3の問題集を丸ごとやる必要はありません。以前は高校範囲だった2項目を拾うだけで十分です。

5 正解した英文を声に出す

書けるだけでは会話で出てきません。答え合わせが終わった英文を、5回ずつ音読して口に通しておきます。

ここまでできていれば、高校英語も、大学入学共通テストの範囲も、かなりの部分がカバーできます。当然、英会話に必要な基礎的な文法知識も揃います。

結論:文法は不要ではなく、範囲を絞るもの

「英会話に文法は不要」という言い方は、半分だけ正しいと言えます。受験用の網羅的な文法は、話すためには要りません。一方で、指導を受けずに浴びるだけで身につく人はごく少数です。第二言語習得の研究でも、明示的に文法を教えたほうが習得の効果が大きいという結果が繰り返し報告されています。

やるべきことは、文法をやるかやらないかの二択ではありません。中学3年分に絞り、3周して、残る3つの穴だけを足す。これが最短距離です。範囲を決めた人から先に話せるようになるのが定石です。

学習を続ける仕組みのつくり方は英語がペラペラな人に共通していた学習法を、教材を飽きずに回す工夫は動画で英語に慣れる方法もあわせてご覧ください。

コメント

  1. nikoniko より:

    良い情報有難う御座いました。

    2冊とも購入しました。

  2. kokonats より:

    この問題集の良いところは解説が系統だってわかりやすくなぜ間違ったかを確認できるところです。
    基礎から始めて自分の弱い文法箇所がわかるようになっています。