マレーシアで買い物やレストランのレシートを見ていると「GST」ではなく「SST」という表記になっていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。実はマレーシアの間接税は2015年から2018年まではGST(Goods and Services Tax、消費税に近い制度)でしたが、2018年に廃止されてSST(Sales and Service Tax、売上税・サービス税)に戻った経緯があります。ちょうどGST時代の末期には、食品60品目に新たにGSTを適用する案が浮上したものの、生活コストへの影響を懸念する声が上がり、協議の末に見送られた、という一幕もありました。
GSTからSSTへ、そして2025年の大幅拡大
GST(税率6%)は2015年4月に導入されましたが、あらゆる取引段階で課税される多段階課税の仕組み上、生活必需品にも税負担が及びやすく、生活コスト上昇への不満が政権交代の一因になったとも言われています。こうした背景から2018年6月にGST自体が廃止され、SSTへ回帰しました。SSTはGSTのような多段階課税ではなく、製造・輸入段階の売上税(Sales Tax)と特定サービスに課すサービス税(Service Tax)の2本立てが基本です。
2026年時点の税率の目安
・8%:大半のサービス(2024年3月〜)
・6%:飲食・通信・駐車場・物流サービス、および2025年7月に新規追加された賃貸・リース等の一部カテゴリ
・2026年1月からは賃貸・リースサービスの税率が8%→6%に引き下げられ、あわせて中小零細企業(MSME)の免税売上高しきい値もRM100万からRM150万に引き上げられています。
売上税
生活必需品は税率据え置き、それ以外の裁量的な商品には5%または10%が適用される仕組みです。輸入食品や高級消費財など、日常の必需品ではないと判断された品目ほど高い税率区分に入りやすい傾向があります。
あわせて進む「電子インボイス(e-Invois)」義務化
SSTの拡大と並行して、内国歳入庁(LHDN)主導の電子インボイス(e-Invois/e-Invoice)義務化も段階的に進んでいます。年商RM1億円超の大企業から先行導入が始まり(2024年8月)、その後は年商規模の小さい企業へと順次対象が広がる形で、2026年1月からは年商RM100万〜500万規模の事業者にも義務化が及んでいます(2026年12月末までは猶予期間あり)。免税となる年商しきい値も2026年1月にRM50万からRM100万に引き上げられました。あわせて2026年1月からは、RM1万円を超える取引について個別のインボイス発行が必須となり、複数取引をまとめた請求書は使えなくなっています。
制度としては数年おきに範囲や税率の見直しが続いており、家賃・オフィス賃料・建設費用などREN(不動産)関連の取引にも影響する項目が増えてきています。事業でマレーシアの物件を借りる・貸す際は、契約時点でのSST適用範囲や、取引先の電子インボイス対応状況も確認しておくと安心です。特にオフィスや店舗の賃貸契約は金額が大きくなりやすいため、契約書に記載された税額の内訳を事前に確認しておくことをおすすめします。



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