「マレー語って、結局どこから手をつければいいんですか」
「本を1冊買ったんですが、3日で開かなくなりました」
マレーシアに住みはじめた日本人から、こういう話をよく聞きます。教材を買うところまでは全員たどり着くのに、そこから先で止まる人がとても多い。
理由ははっきりしています。まず、日本語で書かれた入門書が少なく、多くの学習者が英語経由の教材に流れます。次に、教科書の標準マレー語と、街で実際に飛び交う口語(現地で「bahasa pasar=市場のことば」と呼ばれます)の距離が大きく、覚えた文をそのまま言っても会話が続かない。そして最大の理由が、クアラルンプールでは英語でほとんど用が足りてしまうことです。必要に迫られない語学は、続きません。これが現実です。
この記事は、実際に「1回2時間」と決めて3か月マレー語を独学した記録を、覚えた順にひととおり並べ直したものです。挨拶・数字・時間・自己紹介・買い物・部屋の単語・動詞・文法・接続詞・助数詞・言い回し・短文読解の12テーマを、途中でつまずいたところも含めて通しで紹介します。
マレー語は本当に「世界一簡単」なのか
マレー語を勧めるとき、必ずといっていいほど「世界一簡単な言語」という言い方が出てきます。始める側としては心強い言葉ですが、正確ではありません。
米国務省の外交官養成機関FSI(Foreign Service Institute)は、英語話者が業務レベルに達するまでの所要時間で言語を区分しています。その分類では、マレー語とインドネシア語はカテゴリーII(36週・約900授業時間)。フランス語やスペイン語より上の区分で、ドイツ語やスワヒリ語と同じ段階です。
| FSIの区分 | 目安の学習時間 | 含まれる言語(例) |
|---|---|---|
| カテゴリーI | 24〜30週(600〜750時間) | スペイン語・フランス語・イタリア語など |
| カテゴリーII | 36週(約900時間) | マレー語・インドネシア語・ドイツ語・スワヒリ語 |
| カテゴリーIII・IV | 44週(約1,100時間) | ロシア語・ヒンディー語・タイ語・ベトナム語など |
| カテゴリーV | 88週(約2,200時間) | 日本語・中国語・韓国語・アラビア語 |
「世界一簡単」ではない。ただし、英語話者にとって最上位に難しい日本語の話者から見れば、話は別です。
この表は英語話者を基準にしたものです。日本語話者がマレー語に取りかかるとき、有利になる条件が3つあります。文字がアルファベットで、ほぼローマ字読みで通じること。声調がないこと。動詞が人称や時制で変化しないことです。とくに3つ目は大きく、英語の go / goes / went / gone にあたる区別を、マレー語は単語1つを足すだけで済ませます(後述します)。カタカナで発音を書き取れる言語は、日本語話者にとって最初の一歩がとにかく軽い。
先に知っておきたい、期待しすぎないほうがいい点
とはいえ、良いことばかりではありません。始める前に知っておいたほうがいいことが3つあります。
1. 教科書のマレー語と、街のマレー語は違う
文語と口語の差が大きく、教科書どおりに話すと「丁寧すぎる」と笑われることがあります。逆に街の言い回しだけ覚えると、書類や公的な場面で通じません。両方に触れる前提で進めるのが安全です。
2. クアラルンプールでは練習相手を自分で作る必要がある
都市部は英語がよく通じます。放っておくと一度も使わないまま1か月が過ぎます。屋台・市場・タクシー・修理業者など、英語が通じにくい場面をあえて選びに行くのが実質的な唯一の練習法です。
3. 日本語で書かれた教材が少ない
英語圏・中国語圏の学習者向け教材に比べると選択肢が限られます。独学だと、細かい語感の確認先がなくて止まりがちです。
逆に言えば、この3つは対処法がはっきりしている問題です。難しいのは言語そのものではなく、練習の機会を自分で設計する部分にあります。どこで学ぶかという選択肢の整理は、マレー語はどこで学べるか|費用・期間・ビザの扱いで選ぶ4つのルートにまとめました。
1日目に覚える挨拶と、人の呼び方
最初の2時間は挨拶に使いました。ここは丸暗記で構いません。
| 日本語 | 英語 | マレー語 |
|---|---|---|
| おはよう | Good morning | Selamat pagi. |
| こんにちは | Good afternoon | Selamat tengah hari. |
| こんばんは | Good evening | Selamat malam. |
| お元気ですか | How are you? | Apa khabar? |
| 元気です | I’m fine. | Khabar baik. |
| ごめんなさい | I’m sorry. | Saya minta maaf. |
| 申し訳ありません | I apologize. | Saya memohon maaf. |
| ありがとう | Thank you | Terima kasih. |
謝り方は2種類あり、Saya memohon maaf. のほうが改まった言い方になります。日常の「ごめん」は Saya minta maaf. で足ります。
綴りの注意:マレーシアでは khabar、インドネシアでは kabar と綴ります。もとはアラビア語の「知らせ」で、マレー語側は kh の音を綴りに残しました。この記事ではマレーシアで使う綴りに統一しています。
続いて人称です。ここは表よりも、使い分けのほうが大事でした。
| 日本語 | 英語 | マレー語 |
|---|---|---|
| わたし | I | Saya |
| あなた | You | Encik(男性) / Cik(女性) / Kamu |
| わたしたち | We | Kita / Kami |
| 彼ら | They | Mereka |
「あなた」にあたる語は複数あります。Kamu はくだけた言い方なので、初対面の人や目上の人には Encik / Cik を使うほうが無難です。実際の会話では英語の You を混ぜる人も多く、相手の名前をそのまま呼びかけに使うのも好まれます。
そして「わたしたち」が2つある点。これはマレー語で最初に引っかかるところです。kita は聞き手を含む「私たち」、kami は聞き手を含まない「私たち」。日本語にも英語にもない区別なので、意識しないと一生 kita だけで通してしまいます。目の前の相手も含めた話なら kita、自分たちの側だけを指すなら kami です。
数字と時間 ― ここだけは飛ばせない
3か月やってみて、いちばん見返りが大きかったのが数字です。市場で吹っかけられるかどうかは、値段を聞き取れるかどうかで決まります。ここは山場ですが、避けて通れません。
■ 1から10
| 数 | マレー語 | 数 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| 1 | satu | 6 | enam |
| 2 | dua | 7 | tujuh |
| 3 | tiga | 8 | lapan |
| 4 | empat | 9 | sembilan |
| 5 | lima | 10 | sepuluh |
ここを越えると急に楽になります。11〜19は、数字の後ろに belas をつけるだけ。英語の -teen と同じ発想です。sebelas(11)、dua belas(12)、tiga belas(13)…と続き、sembilan belas(19)まで機械的に作れます。
20以上は puluh をつけるだけで、こちらは英語の -ty にあたります。dua puluh(20)、tiga puluh(30)、empat puluh(40)…sembilan puluh(90)。100は seratus です(satu ratus とも言えますが、seratus が一般的です)。
つまり1〜10の10語を覚えれば、100までは規則で作れます。この構造の良さは、数字を覚えた瞬間に値段も時間も日付も一気に射程に入ることです。
■ 時間の聞き方と答え方
「今何時ですか」は Pukul berapa sekarang? です。pukul が「〜時」、berapa が「いくつ」、sekarang が「今」。この3語だけで質問文になります。
答えるときは、時間帯を表す語を後ろに置きます。pagi(午前)、tengah hari(午後)、malam(夜)の3つです。
オーソドックスに言う
Sekarang pukul sepuluh malam.(今は夜の10時です)
Sekarang pukul dua belas tengah hari.(今は午後12時です)
「〜時半」「〜時15分」で言う
suku(4分の1)、setengah(半分)、tiga suku(4分の3)を使います。
Sekarang pukul sembilan suku pagi.(今は午前9時15分です)
Sekarang pukul sembilan tiga suku malam.(今は夜9時45分です)
Sekarang pukul dua belas setengah tengah hari.(今は午後12時半です)
数字をそのまま読む
pukul tiga satu minit.(3時1分)/ pukul sembilan tiga puluh.(9時30分)
「12時半」の言い方は最初とまどいました。tengah が2回続くように見えるからです。前の tengah は「半分」を表す setengah の短縮形、後ろの tengah hari は「午後」。同じ綴りでも役割が違います。
さらに、時間の感覚を足す語が3つあります。tepat(ちょうど)、lebih kurang(だいたい)、hampir(〜ごろ)。Sekarang tepat pukul sepuluh malam. なら「ちょうど夜10時」、lebih kurang に替えれば「だいたい10時」になります。
ちなみに、待ち合わせで返ってくる時間の申告は、そのまま受け取らないほうが心の平和が保てます。「あと5分」が15分、「あと10分」が20分、「あと20分」が1時間くらいの体感です。英語の I’m on the way. にいたっては、まだ家を出ていない可能性も十分にあります。
自己紹介 ― 名前・年齢・出身・家族
挨拶の次に必ず来るのが自己紹介です。マレーシアの人はとにかくよく話しかけてくるので、ここを固めておくと会話が一気に長くなります。
Nama saya ialah ○○○.(私の名前は○○○です)。ialah は英語の is にあたり、あらたまった場では入れますが、口語では省くのが普通です。年齢は Saya berumur dua puluh lima tahun.(私は25歳です)。ber- がついた berumur で「〜歳である」、tahun が「年」です。
出身は berasal dari(〜から来た)を使います。Saya berasal dari Ampang.(アンパンから来ました)、Saya berasal dari negara Jepun.(日本から来ました)。negara は「国」です。
家族の言い方
マレーシアでは家族の話が会話の中心になることが本当に多く、ここの単語は投資効率が高い部分です。
| 日本語 | 英語 | マレー語 |
|---|---|---|
| 父親 | father | bapa / ayah |
| 母親 | mother | ibu / emak |
| 祖父 | grandfather | datuk |
| 祖母 | grandmother | nenek |
| 息子 | son | anak lelaki |
| 娘 | daughter | anak perempuan |
| 兄 | older brother | abang |
| 姉 | older sister | kakak |
| 弟 | younger brother | adik lelaki |
| 妹 | younger sister | adik perempuan |
| 夫 | husband | suami |
| 妻 | wife | isteri |
| 叔母 | aunt | makcik / saudara |
| 叔父 | uncle | pakcik / saudara |
| 親戚 | relatives | saudara mara |
例文にすると、こう言えます。
Saya tinggal bersama ibu bapa saya.(私は両親と一緒に住んでいます)/ Saya mempunyai seorang adik perempuan.(私には妹がいます)/ Saya seorang anak tunggal.(私は一人っ子です)/ Bapa saya seorang jurutera.(私の父はエンジニアです)/ Ibu saya ialah seorang suri rumah.(私の母は主婦です)。
tinggal が「住む」、bersama が「〜と一緒に」、mempunyai が「持つ・いる」(英語の have)、anak tunggal で「一人っ子」です。所有を表すときは名詞の後ろに nya をつけます。nama(名前)+nya で「彼/彼女の名前」。Saya ada bapa. Namanya ialah 〜.(父がいます。彼の名前は〜です)のように使います。
既婚か独身かは、かなり早い段階で聞かれる
若い世代の多いマレーシアでは、この質問が驚くほど早く飛んできます。Sudah berkahwin?(結婚してる?)。答えは Sudah.(はい=済んでいる)、Belum.(まだです)、Saya bujang.(独身です)、Saya sudah cerai.(離婚しました)。
ここで出てくる sudah が重要です。これは「すでに済んだ」を表す語で、文に入れるだけで過去の意味になります。後の文法のところでもう一度出てきます。
買い物と値段交渉
実用性がいちばん高いのがこの章です。ナイトマーケットや個人商店では、マレー語で話しかけた瞬間に「外国人価格」が引っ込むことがあります。
まず基本の4文です。Berapa harga ini?(これはいくらですか)/ Boleh saya cuba ini?(試してみていいですか)/ Boleh kurangkan harga?(値引きしてくれませんか)/ Ada saiz lain?(他のサイズはありますか)。harga が「値段」、cuba が「試す」、kurangkan が「減らす」です。
色
| 日本語 | マレー語 | 日本語 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| 白 | putih | 緑 | hijau |
| 黒 | hitam | 黄 | kuning |
| 赤 | merah | 茶 | coklat |
| 青 | biru | グレー | kelabu |
値段まわりの言い方
| 日本語 | 英語 | マレー語 |
|---|---|---|
| 値引きできない価格 | fixed price | harga tetap |
| 通常の値段 | normal price | harga biasa |
| 最安値 | best price | harga paling rendah |
| サービス品 | free gift | hadiah percuma |
hadiah が「贈り物」、percuma が「無料」です。harga tetap と言われたら、そこは交渉の場ではありません。ショッピングモールのテナントはほぼこれで、粘っても関係が悪くなるだけです。交渉が成立するのは市場・ナイトマーケット・個人商店に限られます。
買い物で出てくる単語
| 日本語 | マレー語 | 日本語 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| お土産 | cenderamata | 洋服 | pakaian / baju |
| 財布 | dompet | Tシャツ | kemeja-T |
| ハンドバッグ | beg tangan | ズボン | seluar |
| お金 | wang | ドレス | gaun |
| 宝飾品 | barangan kemas | スーツ | sut |
| 宝石 | permata | ネクタイ | tali leher |
| 金 | emas | ベルト | tali pinggang |
| 銀 | perak | 靴 | kasut |
| ブレスレット | gelang | サンダル | selipar |
| ネックレス | rantai | 靴下 | stokin |
疑問詞もここでまとめて覚えました。apakah(何)、yang mana(どちら)、siapakah(誰)、kepunyaan siapakah(誰の)、di mana(どこ)、mengapa/kenapa(なぜ)、bila(いつ)、bagaimana(どのように)。-kah は疑問を表す接尾辞で、これがつくと改まった問いかけになります。
ここまでを使った、実際の買い物の流れ
客:Saya mahu beli baju.(服が欲しいです)
店員:OK. Baju apakah?(どんな服ですか)
客:Saya mahu kemeja-T.(Tシャツが欲しいです)
店員:Saya ada kemeja-T di sini. Berapa saiz?(Tシャツはここです。サイズは?)
客:Saya mahu saiz M.(Mサイズが欲しいです)
店員:Di sini saiz M.(ここがMサイズです)
客:Saya suka kemeja-T biru ini. Boleh saya cuba ini?(この青いTシャツが気に入りました。試着できますか)
店員:Boleh. Bilik cuba pakaian di sini.(いいですよ。試着室はここです)
客:Berapa harga ini?(これはいくらですか)
店員:Kemeja-T ini RM40.(このTシャツはRM40です)
客:Mahal la. Berapa harga yang paling rendah?(高いですね。最安値はいくらですか)
店員:OK. Saya boleh beri RM25 untuk kamu saja.(あなただけにRM25で出しますよ)
最後の「untuk kamu saja(あなただけに)」は、この国の商売の定型句です。全員に言っています。それでも、この一往復ができるだけで扱いが変わるのは確かでした。文末の la は意味を持たない口語の飾りで、マレーシア英語の「〜lah」と同じものです。
部屋と家具 ― 修理を頼むための単語
生活面でいちばん効いたのがこの章でした。家を借りるとき、そして何かが壊れて業者を呼ぶときに必要になります。修理業者には英語をあまり話さない人も多く、単語を並べるだけでも話が早く進みます。
| 日本語 | マレー語 | 日本語 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| 部屋 | bilik | 家具 | perabot |
| 寝室 | bilik tidur | 椅子 | kerusi |
| 風呂 | bilik mandi | テーブル | meja |
| キッチン | dapur | 机 | meja tulis |
| 壁 | dinding | 引き出し | laci |
| 屋根 | bumbung | 食器棚 | almari |
| 天井 | siling | たんす | almari pakaian |
| 床 | lantai | ベッド | katil |
| 窓 | tingkap | シャワー | pancuran |
| ドア | pintu | シンク | sinki |
| 鍵(キー) | kunci | トイレ | tandas |
| 南京錠 | mangga | 鏡 | cermin |
| 階段 | tangga | カーテン | langsir |
| フェンス | pagar | 枕 | bantal |
マレーシアの住宅、とくに古い家にはキッチンが2つあることがあります。英語では Wet kitchen と Dry kitchen、マレー語では dapur basah(濡れるほうの台所)と dapur kering(乾いたほうの台所)。水や油を使う調理は wet 側、盛りつけや軽い作業は dry 側という分け方で、wet kitchen は半屋外になっていることも多いです。物件を探すときに間取り図でここを見分けられると、話が早くなります。
サバイバル動詞24と、拍子抜けするほど簡単な時制
ここがこの3か月でいちばん手応えのあった部分です。マレーシア人の知人に「これだけは絶対に知っておくべき動詞」を挙げてもらったところ、24語に絞られました。理屈抜きで暗記して構いません。
| 日本語 | マレー語 | 日本語 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| 来る・到着する | datang / sampai | 走る | lari |
| 一緒に行く | ikut | 取る | ambil |
| 出る | keluar | 買う | beli |
| 行く | pergi | 聞く | dengar |
| 戻る | balik / pulang | 見る | lihat / tengok |
| 始める | mula | 使う | guna / pakai |
| 降りる | turun | 置く | letak |
| 座る | duduk | 運ぶ | bawa |
| 歩く | jalan | 探す | cari |
| 入る | masuk | あげる | beri |
| 止まる | berhenti | 上る・乗る | naik |
| もらう | terima | 借りる | sewa |
この24語を覚えると、街の看板や会話の断片が急に意味を持ちはじめます。Balik kampung(田舎に帰る)は祝祭日前に必ず耳にする言葉ですし、Lori sewa(貸しトラック)は引っ越しのときに探す看板そのもの。Saya sudah sampai.(着いたよ)は配達やタクシーの運転手から毎回かかってくる電話の第一声です。
■ 時制は、単語を1つ足すだけ
マレー語には、英語のような動詞の活用がありません。「マレー語には文法がない」と冗談まじりに言う人がいるほどです。時制は、文中に語を1つ入れて示します。
1 現在・進行:sekarang(今)/sedang(〜している)
Sekarang kita belajar.(私たちは今勉強しています)
Kita sedang makan.(私たちは今食べています)
2 未来・意志:akan(〜だろう)/mahu・hendak(〜したい)/nanti(後で)
Saya akan buat.(私はやります)
Mereka akan berjaya.(彼らは成功するでしょう)
Saya mahu makan. = Saya hendak makan.(私は食べたいです)
Nanti saya datang ke kelas itu.(後でそのクラスに行きます)
3 過去:sudah(済んだ)/semalam(昨夜)/kelmarin(昨日)/tadi(さっき)/pernah(かつて〜したことがある)
Semalam saya pergi ke kelab.(昨夜クラブに行きました)
Kelmarin saya belajar Bahasa Melayu.(昨日マレー語を勉強しました)
Tadi saya makan.(さっき食べました)
Saya sudah pergi ke kelas.(クラスに行きました)
4 否定:tidak(〜しない)/bukan(〜ではない)/belum(まだ〜ない)/jangan(〜するな)
Hotel itu tidak bagus.(あのホテルは良くありません)
Bukan ini tetapi itu.(これではなくてそれです)
Saya belum tidur.(私はまだ寝ていません)
Jangan buat.(やってはいけません)
否定が2種類ある点だけ注意が必要です。tidak は動詞・形容詞を否定し、bukan は名詞を否定します。「良くない」は tidak bagus、「これではない」は bukan ini。ここを取り違えると意味が通りません。
なお semalam は、マレーシアの東海岸では「昨日」の意味でも使われます。現地の人同士でも軽く食い違うことがある語なので、日付が重要な場面では数字で確認するのが確実です。
接続詞 ― 単語の羅列から「文」になる段階
単語だけでも用は足りますが、接続詞が入ると会話が一段まともになります。覚えるべきものは多くありません。
| 日本語 | 英語 | マレー語 |
|---|---|---|
| 〜と | and | dan |
| でも | but | tetapi |
| 〜か | or | atau |
| なぜなら | because | kerana |
| 〜しながら | while | sambil |
| 〜するように | in order that | supaya |
| それから | then | lalu |
例文で見ると使い方がつかめます。
Awak hendak ikut kami atau tidak?
(あなたは私たちと一緒に来たいですか、それとも来ませんか)
Abang melukis gambar sambil bernyanyi.
(兄は歌いながら絵を描きます)
Sungguhpun dia anak orang kaya tetapi dia tidak sombong.
(彼は裕福な家の子ですが、偉ぶりません)
Kakak menangis kerana dimarahi ibu.
(姉は母に叱られて泣いています)
Cikgu Zaid menasihati Azian supaya belajar bersungguh-sungguh.
(Zaid先生は、しっかり勉強するようにAzianに助言します)
ここで出てきた語をまとめておきます。hendak(〜したい)、ikut(ついて行く)、melukis(描く)、gambar(絵・写真)、bernyanyi(歌う)、sungguhpun(〜だけれども)、kaya(裕福な)、menangis(泣く)、dimarahi(叱られる)、cikgu(先生)、menasihati(助言する)、bersungguh-sungguh(一生懸命に)。
Awak という新しい人称も出てきました。これも「あなた」ですが、kamu より少しやわらかく、同年代の相手によく使われます。マレー語の「あなた」の多さは、慣れるまで戸惑うところです。
助数詞 ― 日本語話者だけが得をする章
マレー語には、日本語の「個」「本」「匹」「枚」にあたる助数詞があります。英語話者がここで苦戦する一方で、日本語話者にとっては説明が一切要らない概念です。この章だけは、はっきり有利になります。
使い方は日本語と少し違い、助数詞は名詞の前に置きます。「子ども2人」なら dua orang anak(2+人+子ども)。「1つ」「1人」のときは se- を頭につけて seorang のようにします。
これだけ押さえれば足りる6つ
ekor(日本語の「匹」/動物・昆虫に)
seekor harimau(トラ1匹)、seekor kucing(猫1匹)、seekor anjing(犬1匹)、seekor monyet(サル1匹)
keping(「枚」/薄くて小さいもの)
sekeping kad(カード1枚)、sekeping roti(パン1枚)、sekeping gambar(写真1枚)、sekeping biskut(ビスケット1枚)
helai(「枚」「着」/薄くて大きいもの)
sehelai kertas(紙1枚)、sehelai daun(葉1枚)、sehelai seluar(ズボン1着)、sehelai baju(服1着)
biji(「個」/丸いもの)
sebiji nanas(パイナップル1個)、sebiji bola(ボール1個)、sebiji telur(卵1個)
buah(「個」「台」「軒」/大きくて丸くないもの。いちばん汎用性が高い)
sebuah kereta(車1台)、sebuah bas(バス1台)、sebuah rumah(家1軒)、sebuah kerusi(椅子1脚)、sebuah komputer(コンピューター1台)
batang(「本」/細長いもの・硬いもの)
sebatang pensel(鉛筆1本)、sebatang sungai(川1本)、sebatang buluh(竹1本)、sebatang penyapu(ほうき1本)
会話では助数詞を省いても通じます。ただ、入れたほうが自然に聞こえるのは日本語と同じで、迷ったら汎用性の高い buah を使えば大きく外しません。最初から入れる癖をつけておくのが結局は近道です。
そのまま使える言い回し10選
ここまでの要素を組み合わせた、実際に口から出た頻度の高い10文です。
1. Bolehkah kamu membantu saya?(手伝ってもらえますか)
2. Saya kurang sihat./Saya berasa tidak sihat.(体調があまりよくありません)
3. Pukul berapa sekarang?(今何時ですか)
4. Pada pukul berapa bas akan sampai?(バスは何時に来ますか)
5. Belok kiri, dan jalan terus.(左に曲がって、まっすぐです)
6. Aminah ialah seorang perempuan cantik.(Aminahは美しい女性です)
7. Saya amat mencintai ibu bapa saya.(私は両親をとても愛しています)
8. Hobi saya ialah membaca buku.(私の趣味は読書です)
9. Bapa saya mempunyai sebuah kereta besar.(父は大きな車を持っています)
10. Bolehkah saya pesan sepinggan nasi goreng?(ナシゴレンを1皿頼めますか)
5番の方向は日常で最もよく使います。kiri(左)、kanan(右)、terus(まっすぐ)。この3語だけでタクシーの誘導ができます。9番の mempunyai は「持つ」のあらたまった形で、口語では ada で十分です。10番の sepinggan は、皿を数える助数詞 pinggan に se-(1つの)がついた形です。ここまで読んだ人には、もう分解して読めるはずです。
短い文章を読んでみる
単語と文法がひととおり入ったところで、小学校の教科書レベルの短文に挑戦しました。単語を拾うのではなく、文としてつながる感覚をつかむ段階です。
短文1:友達の母親のこと
Halim kawan baik saya. Nama ibunya Aminah. Dia seorang guru.
Ibu Halim seorang yang baik hati dan penyayang. Dia sentiasa menjaga Halim dan keluarganya dengan penuh kasih sayang.
Pada masa lapang, Halim akan mendengar cerita daripada ibunya.
Halim sentiasa belajar bersungguh-sungguh kerana dia akan menjadi orang yang pandai dan membalas jasa ibunya apabila dewasa.
訳:Halimは私の親友です。彼の母親の名前はAminahといい、先生をしています。Halimの母親は心が優しく、愛情深い人です。彼女はいつもHalimと家族を愛情をこめて世話しています。時間があるとき、Halimは母親の話を聞きます。Halimはいつも一生懸命に勉強しています。大人になったとき、賢い人になって母親への恩に報いるためです。
| 日本語 | マレー語 | 日本語 | マレー語 |
|---|---|---|---|
| 愛情深い | penyayang | 物語 | cerita |
| 世話する | menjaga | 〜になる | menjadi |
| いっぱいの | penuh | 報いる | membalas |
| 暇なとき | masa lapang | 行い・恩 | jasa |
| いつも | sentiasa | 大人 | dewasa |
短文2:ピクニックの話と、設問
Pada cuti sekolah yang lalu, Mei Lin pergi berkelah bersama keluarganya. Mei Lin berkelah di Pantai Teluk Cempedak.
Ibu Mei Lin membawa bekalan makanan.
Semasa di pantai, Mei Lin dan adiknya membina istana pasir.
Setelah penat bermain, Mei Lin dan keluarganya memakan bekalan yang dibawa.
訳:先の学校休暇のあいだ、Mei Linは家族とピクニックに行きました。場所はTeluk Cempedakのビーチです。Mei Linの母親はお弁当を持って行きました。ビーチにいるあいだ、Mei Linと弟妹は砂の城を作りました。遊び疲れたあと、Mei Linと家族は持ってきたお弁当を食べました。
マレーシアの教科書らしく、この後に設問が続きます。答えは本文からそのまま抜き出せる形式です。
Q1. Bilakah Mei Lin dan keluarganya pergi berkelah?(いつピクニックに行きましたか)
Q2. Di manakah Mei Lin pergi berkelah?(どこへ行きましたか)
Q3. Apakah yang dibawa oleh ibu Mei Lin?(母親は何を持って行きましたか)
Q4. Apakah yang dibuat oleh Mei Lin di pantai?(Mei Linはビーチで何をしましたか)
Q5. Bilakah mereka makan bekalan yang dibawa?(いつお弁当を食べましたか)
解答
A1. Mei Lin dan keluarganya pergi berkelah pada cuti sekolah yang lalu.
A2. Mei Lin pergi berkelah di Pantai Teluk Cempedak.
A3. Ibu Mei Lin membawa bekalan makanan.
A4. Mei Lin membina istana pasir.
A5. Setelah penat bermain, mereka makan bekalan yang dibawa.
設問の冒頭に並ぶ Bilakah(いつ)、Di manakah(どこで)、Apakah(何を)は、買い物の章で出てきた疑問詞そのままです。疑問詞と接続詞を先に入れておくと、読解の入口が一気に広がります。
3か月やってみて分かったこと
結論から言うと、「3か月で日常会話ができるようになる」は、条件付きで正しいというのが実感でした。
正しかったのは、文の組み立てです。動詞が変化せず、時制は語を1つ足すだけ、複数形も冠詞も性もない。1〜10を覚えれば100まで作れて、11〜19は belas、20以上は puluh。覚えたルールが例外なくそのまま通用する言語で、学習の初期に感じるストレスは英語よりはるかに小さいです。
正しくなかったのは「簡単だから続く」という部分でした。難しさは文法ではなく、使う場面を自分で作れるかどうかに全部乗っています。クアラルンプールにいるかぎり、黙っていれば英語で1日が終わります。市場で値段を聞く、屋台で注文する、修理業者に症状を説明する。この記事の章立てが挨拶・数字・買い物・部屋の単語という順になっているのは、その順に「英語が通じにくい相手」と話す機会が多かったからです。
もうひとつ、途中から効いてきたのが綴りへの意識です。マレー語とインドネシア語は互いに通じ合いますが、綴りや語彙には差があります。khabar と kabar、mahu と mau、kelmarin と kemarin。教材やネットの情報がどちらを指しているのかを意識しないまま覚えると、後で混ざります。マレーシアで使うなら、最初からマレーシアの綴りに寄せておくのが結局は早道です。
そして、いちばん大きかったのは語彙です。文法が軽いぶん、マレー語は単語の勝負になります。逆に言えば、単語を1つ覚えるたびに、聞き取れる会話がそのぶんだけ増えていくのが手応えとしてはっきり分かる言語でもあります。この記事の単語表を、そのぶんの手がかりとして使ってもらえればと思います。
実際に3か月間、毎日2時間を目標に学習を進めた記録は「3か月間マレー語を本気でやってみた」の実測記録にまとめています。技能ごとの到達度(注文・聞き取り・スピーキング・ライティングなど)を具体的に書いているので、これから始める人の目安になります。
どの方法で学ぶか(独学・語学学校・大学の語学コース・オンライン)を費用と期間で比べたものは、マレー語はどこで学べるか|費用・期間・ビザの扱いで選ぶ4つのルートにまとめています。発音を音声で確認したい場合は、東京外国語大学の言語モジュール(マレーシア語)が無料で公開されており、この記事の例文と併せて使うと効率がいいはずです。



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