
改装やリニューアルの相談は来る。けれど、ゼロから空間をつくる新築の話は回ってこない。たまに来たと思えば、建てる会社はもう決まっていて、残っているのは内装を整える後工程だけ。
内装・空間デザインの事務所がこの状態になるのは、腕や実績の問題ではありません。建てると決めた会社が最初に相談するのは、デザイン事務所ではないからです。工務店か、ハウスメーカーか、ゼネコン。そこで設計の体制が決まると、あとから入れるのは「中身だけ」になります。
この記事では、新築の仕事が生まれる4つのルートを整理し、基本設計から入るために何を先に渡すか、いつ当てるかを順に見ていきます。
1. なぜ新築の話が回ってこないのか
建てると決めた会社は、まず「建てる人」に相談する
新社屋を建てる、新店舗を出す。そう決めた会社が最初に電話をかけるのは、付き合いのある工務店か、ハウスメーカーか、ゼネコンです。土地と予算と工期の話が先に来るためです。
その時点で、設計をどうするかも一緒に決まります。設計施工で一括して受ける形になれば、外部のデザイン事務所が入る枠はそこで閉じます。
建築の基本設計と、内装の基本設計は別のもの
ここは混同されやすいところです。空間デザイン事務所も、内装の基本設計図と実施設計図はつくります。つくらないのは建築本体のほうです。
問題は、建築の基本設計で決まったことが、内装でできることの上限になる点にあります。階高と天井高、柱の位置、開口の取り方、電気容量、給排水の配管ルートと排水勾配、ガス容量、換気・空調のダクト経路。これらは建築側で先に決まり、あとから内装で動かすことはできません。
物件によっては、そもそも必要な設備容量が確保できないこともあります。その状態から内装の図面だけを描いても、描けるものは最初から限られています。
だから、勝負は「建てると決まった直後」
建てると決まってから、設計の体制が固まるまでの期間は長くありません。この数週間に名前が入っているかどうかで、入れる段階が変わります。
つまり新規開拓の目的は、「いま設計の仕事をもらうこと」ではなく、「建てる話が出たときに思い出してもらえる状態をつくること」になります。
2. 新築の仕事が生まれる4つのルート
どこから手をつけるか
いちばん早く結果が出るのは工務店・ハウスメーカーです。理由は第3章のとおり、外に出す理由がいま実際に増えているためです。立場は外注側になりますが、基本設計から関わる案件を数多く経験できるのはこのルートです。
いちばん大きいのは事業会社です。建て主と直接つながれば、企画の段階から相談が来ます。ただし「いつ建てるか」は外から見えません。だから当てておいて、決まったときに思い出してもらう形にするしかありません。
3. いま、工務店とハウスメーカーが設計を外に出す理由がある
2025年4月に施行された改正で、木造建築の設計にかかる手間がはっきり増えました。
これまでの4号建築物の区分がなくなり、木造2階建て、および延べ面積200㎡を超える木造平屋は「新2号建築物」となりました。新2号は全地域で建築確認・検査が必要になり、審査省略制度の対象から外れています。
その結果、こうなりました。
- 構造関係規定と省エネ関連の図書の提出が、新たに必要になった
- 確認審査の期間が「7日以内」から「35日以内」に延長された
- 確認申請の手数料に加え、省エネ適合性判定の手数料が新たに発生する
- 図書を作るぶん、人件費が増える
つまり、いままで社内の設計担当ひとりで回せていた案件が、回らなくなっている会社があるということです。これは今年からの話で、相手はいま困っている最中です。
この相手に最初に出すのは、作品集ではありません。「設計の手が足りていませんか」という一言です。
4. 事務所は減り、店舗は増えている
国土交通省の建築着工統計(令和6年度)によると、全建築物の着工床面積は10,445万㎡で前年度比3.6%減でした。民間建築主の内訳を見ると、居住用が6,507万㎡(0.2%増)に対し、非居住用は3,474万㎡で10.5%減です。
ただし、非居住用のなかでも動きが分かれています。
| 用途 | 着工床面積(令和6年度) | 前年度比 |
|---|---|---|
| 事務所 | 464万㎡ | 18.8%減 |
| 店舗 | 378万㎡ | 4.9%増 |
新社屋は減り、新店舗は増えています。新築の空間デザインを取りにいくなら、当て先として現実的なのは「社屋を建てる会社」より「店舗を出す会社」です。
そして店舗を出す会社のうち、年に何店舗も出すのは多店舗展開企業です。1社取れば終わりではなく、1社取れば続く相手になります。
5. 入りたいのは「建築の基本設計が固まる前」
やるのは建築の設計ではなく、内装側の条件を先に出すこと
新築で空間デザイン事務所が入りたい段階は、建築の基本設計そのものを担当することではありません。建築の基本設計が固まる前に、内装側の条件を建築側へ渡しておくことです。
建築の基本設計が固まる前に出しておきたい条件
電気容量(業態に必要な電力)/給排水の配管ルートと排水勾配/ガス容量と配管位置/天井高(設備の納まりに効く)/換気・空調のダクト経路と給排気のバランス/厨房まわり(グリストラップ、床防水)/客席数と動線から決まる面積配分/バックヤードの位置
これが入っているかどうかで、あとから描ける内装の幅が変わります。そして、この条件出しを引き受けられる事務所は、建築側にとっても助かる相手です。建築の設計者が店舗の業態に詳しいとはかぎらないためです。
だから、最初に渡すのは作品集ではない
作品集は強い資料です。ただし効くのは、相手が比較を始めたあとです。最初の接点で相手が知りたいのは、自分たちの手が足りない部分を埋めてもらえるかどうかです。
先に言えると強いこと(例)
企画・コンセプトの段階から入れるのか/内装の基本設計・実施設計をどこまで持てるのか/建築側に出す与条件を整理できるのか/構造と省エネの図書まで出せるのか、意匠だけか/工事監理を受けるのか/過去に手がけた用途と規模
6. いつ当てるか
新築は、相手の都合で始まります。こちらから時期をつくることはできません。できるのは、相手が動く時期を読んで、その手前に当てておくことだけです。
当てる時期の目安
・事業会社 … 年間の出店計画を固める時期。期の変わり目
・工務店・ハウスメーカー … 確認申請が立て込む前。繁忙期に外注先を探す余裕はない
・ゼネコン・建設会社 … 期初、体制を組み直す時期
・デベロッパー・土地オーナー … 用地の取得が表に出たあと。事業計画が固まる前
どの相手についても、「建てるかどうかを外から正確に知る方法はありません。」だからこそ、決まったときに思い出してもらえる状態を先につくっておくほうが現実的です。
7. 手法の比較|空間デザイン事務所の場合
表の左側が、相手と時期を自分で決められる手段かどうかです。紹介・Web・コンペは「待ち」の手段で、当てる相手と時期を自分で決められるのはテレアポとインサイドセールスだけです。おすすめは、事例で見つけてもらう入口を保ちながら、能動的に当てる線を1本持っておく二本立てです。
8. 断られた相手を、どう残すか
新築の新規開拓で、いちばん取りこぼしが多いのがここです。一次回答のほとんどは「いまは建てる予定がありません」になります。
これは「いらない」ではなく「いまではない」です。新築は数年に一度、会社によっては十数年に一度の出来事なので、当たり前の反応です。ここを一度きりの結果として捨てると、その会社が建てると決めた日に、名前が残っていません。
KOKONATSの場合:担当者につながらない相手には最大6回まで架電するルールで運用しています。また、断られた相手は追客データとして蓄積し、時期を変えて再アプローチします。原状回復の支援では、この積み上げからアポ率14.0%を記録しています。
9. 費用の考え方|相場と、KOKONATSの料金
営業代行の市場相場は、BOXILの主要34サービス調査で月額の中央値が約27万円、初期費用の中央値が約16万円、成果報酬はアポ1件あたり1万5,000〜2万円とされています。なお、料金を公開しているのは34社中9社だけです。
KOKONATSが料金を出しているのは、安さの訴求ではありません。検討はその場で決まらず、社内に持ち帰って稟議に載せるものだからです。金額がなければ、資料そのものが作れません。
| プラン | 月額(税抜) | 対象社数 |
|---|---|---|
| 100社開拓プラン | 80,000円 (キャンペーン中/定価 100,000円) |
100社 |
| 200社開拓プラン | 140,000円 (キャンペーン中/定価 160,000円) |
200社 |
| 300社開拓プラン | 190,000円 (キャンペーン中/定価 210,000円) |
300社 |
| 見込み客フォローアップ特化プラン | 80,000円 | 100社(枠) |
| 初期費用 | 0円 | 全プラン共通 |
コールリスト作成は100社あたり18,000円です。【見込み客フォローアップ特化プラン】は、問い合わせや資料請求で名前が分かっている相手を、半年から1年かけて追い続けるためのプランです。「100社」は名簿の数ではなく、同時に追い続ける枠の数を指します。確度が低いと分かった先は枠から外し、空いた枠に次の候補を入れます。外した理由は毎月のレポートで返します。なお、このプランはアポインセンティブ・コールリスト作成・契約インセンティブの対象外です。
新築のように、相手が動く日をこちらで決められない商材では、1回当てて終わりにしないことが、そのまま成果につながります。
10. まとめ
- 建てると決めた会社が最初に相談するのは、工務店・ハウスメーカー・ゼネコン。そこで設計の体制が決まる
- 当て先は4つ。事業会社/工務店・ハウスメーカー/ゼネコン・建設会社/デベロッパー・土地オーナー
- 2025年4月の改正で、木造2階建ては審査省略の対象外に。構造と省エネの図書が必要になり、審査期間は7日以内から35日以内へ。設計を外に出す理由がいま増えている
- 令和6年度の着工は事務所が18.8%減、店舗は4.9%増。狙うなら新社屋より新店舗
- 入りたいのは建築の基本設計が固まる前。渡すのは作品集ではなく、電気容量・給排水・天井高といった内装側の条件
実績|設計を売る側が、設計会社・ゼネコンに当てた例
東京都 設計会社様/営業対象:意匠設計会社・大手ゼネコン/商材:新規の意匠設計案件
アポ率12%。開始2か月で新規取引先が決定しました。
※共通しているのは「設計そのものを売る側が、設計会社・ゼネコンに直接当てた」という構造です。違うのは種類で、こちらは意匠設計です。空間デザインでの実績ではありません。
KOKONATSでは、建築・設計分野に特化した営業代行・インサイドセールスを行っています。ターゲットの選定からリスト作成、アポイント獲得、断られた相手の追客までを一貫してお引き受けします。
建てると決まった日に名前が出てくるかどうかは、その何か月も前に決まっています。
初期費用0円。料金・支援の流れはこちらから。
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よくある質問
新築をやりたいのに、改装の相談ばかり来ます。断るべきですか?
断る必要はありません。ただ、改装だけを受け続けると、相手の中での位置づけが「中を直してくれる会社」で固定されます。新築を取りにいくなら、改装の仕事とは別に、建てる側(工務店・ゼネコン・事業会社)へ当てる線を1本持つ必要があります。
構造や省エネの計算まではできません。それでも工務店に当てられますか?
当てられます。ただし最初にそこを明示してください。2025年4月の改正で工務店が困っているのは、まさに構造と省エネの図書です。意匠だけを受けるのであれば、「意匠は持てる、構造と省エネは御社か協力先で」と先に言うほうが、話が早く進みます。後から分かるほうが心証を悪くします。
図面の話ができない担当者でも架電できますか?
できますが、続きません。基本設計、実施設計、工事監理、確認申請、新2号建築物、省エネ適合性判定、ゾーニング、仕上表、展開図、什器——こうした言葉が出たときに話が止まると、その時点で相手は「分かっていない」と判断します。KOKONATSでは、図面と申請まわりの言葉を理解したうえで架電する形をとっています。
コンペやプロポーザルに出すほうが早いのでは?
上流から入れる点では有効です。ただし取れなかったときに、設計にかけた時間がそのまま消えます。コンペは「出す先を選べない」手段でもあるので、当てる相手と時期を自分で決められる線と組み合わせるのが現実的です。


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