【台数だけでは決まらない】駐車場のある外観パースで確認したい5つのこと|「車を何台か置いておいて」が図面とずれる理由

「駐車場に車を何台か置いておいてください。」
「車いすの人が使う区画って、パースではどう描けばいいですか?」

店舗やマンション、事務所の外観パースでは、建物の手前に駐車場が写り込むことがよくあります。車は添景として軽く置かれがちですが、駐車場には法令で数値が決まっている部分があり、「なんとなく並べた」絵が図面とずれると、確認のたびに修正が発生します。

この記事では、駐車場のある外観パースを依頼する前に確認したい5つのことを、国土交通省の資料などをもとに整理します。法規への適合を判断するのは設計者・確認申請先・自治体で、この記事は法的な助言ではなく、パース依頼時の確認点をまとめたものです。

① 区画の幅は「全部同じ」ではない

国土交通省の資料では、車椅子使用者用駐車施設の幅は「350センチメートル以上」とされています(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第17条などに基づく整理)。一般の区画とは別に、広い幅の区画が必要になるということです。

パースでは、車の台数を揃えようとして全区画を同じ幅で描くと、この広い区画が表現されません。図面では広い区画が1つあるのに、絵の上では他と同じ幅に見えると、「図面と違う」という指摘につながります。どの区画が車いす使用者用か、その幅が図面上でいくつかを、依頼時に伝えておくと確実です。

項目 資料の記載(要旨) パースでの確認点
車椅子使用者用駐車施設 幅350cm以上、1以上設ける 広い区画の位置と台数
出入口までの経路 経路の長さができるだけ短くなる位置に設ける 出入口との位置関係が見えるカメラ位置
経路の幅・傾斜(特定路外駐車場) 出入口80cm以上、通路120cm以上、傾斜路は勾配1/12以下など 段差・スロープの有無と形
車路(駐車場法施行令) 一定規模以上の路外駐車場で、車路の幅員は通行方向などで区分(一方通行3.5m以上、往来できる車路5.5m以上、一部2.75m) 車路が車で詰まって見えないか

駐車場の数字は区画ごと・種別ごとに違うため、パースは設計者が確定した図面の寸法を前提に作るのが基本です。

※表は資料の要旨で、法規への適合を判断するものではありません。適用の有無は規模や用途、自治体の条例で異なります。

② 出入口との位置関係は「経路の短さ」で決まる

資料には、車椅子使用者用駐車施設は利用する居室までの経路の長さができるだけ短くなる位置に設ける、という趣旨の定めが示されています(路外駐車場の場合は、道または公園、広場などの空地までの経路)。つまり、広い区画は駐車場の奥ではなく、利用する出入口に近い側に置くという考え方です。

パースの構図で言えば、広い区画と建物の出入口が同じ画面に入るカメラ位置が、図面の意図を伝えやすくなります。台数を多く見せたいからと駐車場全体を引きで写すと、肝心の区画と出入口の距離感が読み取れなくなることがあります。カメラの考え方は、別記事「建築パースのカメラ位置と構図の決め方5つの基準」で紹介しています。

建物 出入口 経路はできるだけ短く 車いす使用者用 幅350cm以上 一般区画(幅は図面で確認) 車路(幅員は規模・通行方向などで区分)
概念図です。実際の配置や寸法は設計者が確定した図面に従います。広い区画が出入口の近くにあると、経路の短さがパースでも読み取れます。区画の幅の比率は実寸ではありません。

③ 経路の幅・段差・傾斜が「描かれているか」

駐車場そのものだけでなく、そこから建物に入るまでの経路も確認点です。さいたま市の手引きでは、特定路外駐車場(路外の一般公共用で、駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上、料金を徴収するもの)について、移動等円滑化経路の出入口は幅80cm以上、通路は幅120cm以上、傾斜路は勾配1/12以下などと整理されています。

店舗や事務所の駐車場がこの「特定路外駐車場」に当たるかは、規模・用途・料金の徴収の有無で変わるため、パース側で判断はできません。確認してほしいのは、図面にある段差やスロープが、パース上でも見える形で描かれているかどうかです。足元の段差が省略され、道路から入口まで平らに見える絵は、図面との食い違いとして後から指摘されることがあります。

④ 車路は「車を置いたら詰まらないか」を見る

駐車場法施行令には、路外駐車場のうち自動車の駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上のものについて、車路の幅員を通行のしかたで区分する定めがあります。国土交通省の資料に載っている条文では、車路の幅員は一方通行で3.5m以上(駐車料金の徴収施設に接する一部は2.75m)、往来できる車路は5.5m以上とされ、傾斜部の縦断勾配は17パーセント以下とされています。店舗や事務所の敷地内の駐車場がこの対象になるかは、規模や用途、自治体の条例で異なるため、設計者に確認してください。

これはパースの描き方に直接関わります。台数を多く見せようと車路の上にも車を置いたり、車路を細く描いたりすると、図面の寸法と違う印象になります。逆に、車を置かずに広々と描きすぎると、実際の混み具合との差が出ます。車の台数は「絵の都合」ではなく、図面上の区画数から決めるのが基本です。

⑤ 屋根・高さ・標識はパースで見えるか

国土交通省の資料には、雨天時の乗降に困難が生じないよう、乗降に必要なスペースを屋内に設けるか、屋外の駐車施設に屋根または庇を設けることが「望ましい」と示されています。また、屋内駐車場では、車椅子用リフト付き福祉車両などの車両高さ(230cm以上)に対応した有効高さを確保する考え方も示されています。

これらは「望ましい」とされる事項や、計画ごとに設計者が決める事項です。パースの依頼時は、屋根や庇の有無、梁下の高さが立面図・断面図でどうなっているかを伝え、見せたい面に入るかどうかを相談してください。資料には、車椅子使用者用駐車施設があることを示す標識を見やすい位置に設ける旨も示されています。標識の有無と位置は図面で確認しておきましょう。看板・サインまわりの確認点は、別記事「店舗の外観パースに看板・サインを入れるときの確認点5つ」にまとめています。

依頼時には、次の4点を伝えておくとスムーズです。

  • 区画数と区画ごとの寸法入りの配置図(車いす使用者用の区画の位置を明記)
  • 建物の出入口と駐車場の位置関係、段差・スロープの有無
  • 屋根・庇の有無と、屋内の場合は梁下の高さ
  • パースで特に見せたい面(出入口側か、駐車場全体か)

必要な資料の全体像は、別記事「建築パースに必要な資料と渡し方7項目」にまとめています。駐車場は添景に見えて、実は数値の決まりが多い場所です。図面の区画数と寸法を前提にすることが、手戻りを減らす近道です。

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