ビルメンテナンス・清掃会社の新規開拓|既存業者にどう切り込むか
「電話をかけても、返ってくるのは決まって“今の業者さんでやってますので”。それで会話が終わってしまう」——ビルメンテナンス・清掃会社の経営者様から、最も多くいただくご相談です。
難しい理由ははっきりしています。既存の建物には、たいてい先に業者が入っているから。ゼロから需要を作るのではなく、すでに動いている契約に割って入る仕事です。だからこそ「安くします」では勝てません。この記事では、どこに・いつ・どう当てるかを整理します。
こんなお悩み、ありませんか?
- 「今の業者で間に合っています」の一言で、毎回そこから先に進めない
- 価格を下げて提案しても、結局は既存業者が同じ額まで下げて終わる
- 現場が忙しく、社長や現場責任者しか営業に出られない
- 紹介で少しずつ増やしてきたが、これ以上は増える見込みがない
1. 大前提:民間と公共では、営業の方法がまったく違う
官公庁・自治体・公立学校・公立病院の清掃は、原則として一般競争入札です。ここは電話営業で契約が動くことはありません。入り口は「資格を揃えて公告を待つ」準備のほうです。
- 競争入札参加資格:全省庁統一資格(有効期間3年)や、自治体ごとの指名願い(2年ごとの更新が多い)
- 建築物清掃業の登録:建築物衛生法に基づく都道府県知事登録(有効期間6年)。任意の制度ですが、基準を満たした証明として入札要件や信用の目安に使われます
公共は「資格を揃えて待つ」仕事、民間は「見直しの理由が生まれた瞬間に当てる」仕事。この記事で扱うのは後者です。
2. なぜ「間に合っています」で止まるのか
ビルメンテナンスの契約は、自動更新のまま5年10年と続く物件も珍しくありません。逆に言えば建物側に見直す理由が生まれた瞬間にしか動かないということ。断られたのは提案内容ではなく、タイミングだった——という場合が少なくありません。
実務で切り替えのきっかけになるのは、主に次の5つです。オーナーや管理会社の変更/大規模修繕/既存業者からの値上げ通知/クレームの発生/担当者の交代。このどれかが起きている建物を見つけられるかどうかが、成果を分けます。
加えて、業者を替えるのは面倒でリスクのある判断です。引き継ぎ、鍵の受け渡し、入居者への周知。そして何より、品質が落ちるかもしれないという不安。「少し安い」程度では、この面倒を上回りません。
3. 法定サイクルは、最も確実な「当て時」の目印
実は法律で日付が決まっている当て時があります。建築物衛生法(ビル管法)の特定建築物です。店舗・事務所・旅館などで延べ面積3,000㎡以上(学校は8,000㎡以上)の建物が該当し、次の法定サイクルが課されます。
- 掃除を日常的に行うほか、大掃除を6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に行う
- 飲料水の貯水槽の清掃を1年以内ごとに1回
- 空気環境の測定を2か月以内ごとに1回/ねずみ等の防除調査を6か月以内ごとに1回
つまり建物側に「必ず発注しなければならない月」が存在するということ。「今の業者で間に合っています」が最も崩れやすいポイントです。まずは自社の商圏で該当する建物を洗い出すところから。リストの精度がここで決まります。
4. 狙うべき6つのターゲットと、当てる時期
誰に当てるかを外すと、トークをどれだけ磨いても成果は出ません。
- ① 元請ビルメン・管理会社の協力会社枠:人手不足で自社施工しきれない元請は再委託先を常に探しています。既存業者を追い出す必要がなく最も断られにくい。単価は下がりますが稼働を安定させる土台になります
- ② ビルオーナー・管理会社(直請け):一括委託(統括管理)か分離発注かで切り込み方が違います。清掃専業が狙うのは分離発注、または清掃だけを切り出せる物件。まずは発注の形がどちらなのかを確認するところから
- ③ マンション管理組合:理事会・総会の年次サイクルがあり、当て時が読める数少ないターゲット。議案を固める総会の2〜3か月前が接点を作る時期です
- ④ 介護施設・病院:感染対策を前提とした環境整備のニーズが常にある領域。病院清掃は医療関連サービスマークの認定が選定条件になる案件もありますが、参入障壁がある=競合が少ないとも言えます
- ⑤ 店舗・商業施設の本部:1社決まれば複数拠点に展開できる効率の良いターゲット。本部の計画策定期(決算月の3〜6か月前)が勝負どころ
- ⑥ 工場・倉庫:床洗浄・ダクト清掃など日常清掃とは別枠の予算が付く領域。設備投資予算が組まれる期初前に接点を作ります
②③は契約更新の3〜4か月前が目安です。解約予告期間を3か月と定める契約が多く、更新1か月前では見積比較や引き継ぎが間に合いません。ただし更新月は物件ごとにバラバラ。だからこそ「更新月を聞いて記録する」作業が効いてきます。
5. 「安さ」で戦うか、「別の理由」で戦うか
| 観点 | 価格で勝負した場合 | 価格以外で勝負した場合 |
|---|---|---|
| 決まるまでの速さ | 速い(分かりやすい) | 時間がかかる |
| 既存業者の対抗 | 同額まで下げられて終わる | 対抗されにくい |
| 契約後の利益率 | 低いまま固定される | 適正単価を維持できる |
| 継続性 | さらに安い業者が来たら失う | 信頼で継続しやすい |
| 有効に効く場面 | 仕様過剰の物件・公共入札 | 既存業者に不満がある物件 |
価格が有効な場面も実在します。仕様が過剰でコストが膨らんでいる物件や、前述の公共入札がそれです。ただし民間の切り替えでは、価格以外の切り口のほうが再現性があります。実際に効くのは次の3つ。
- 仕様の組み替え:見積は作業項目×頻度×人工で決まります。値引きではなく、同じ金額のまま頻度配分を組み替える提案に持ち込めるかどうかが分かれ目です
- 報告の質:写真付きの日報、劣化箇所の事前指摘。担当者はオーナーへの報告材料を常に欲しがっています
- 対応の速さと範囲:夜間・休日・緊急時の対応、小修繕まで一社で完結できること
そして最初から全部を取りにいかないこと。「今は手が回っていない部分だけ」なら相手も試しやすい。まず単発で入り、実績を見せてから範囲を広げるほうが、結果的に速く大きな契約になります。
6. 清掃会社の営業が失敗する3つの理由と、自社での打ち手
① 1回かけて終わりにしてしまう
1回目で「間に合っています」と言われるのは当然で、そこで終わればその建物は事実上リストから消えます。
自社で解決するなら:「更新はいつ頃ですか」だけでも聞ければ、次に当てる月が決まる。これを積み上げたリストが翌年以降の受注の土台になります。
② 担当者にも決裁者にも届いていない
管理会社の担当者は日中ほぼ外出しており、席にいるほうが珍しいくらいです。加えて、決裁権が管理会社にあるのか、オーナー法人か、その上のアセットマネジメント会社かは物件ごとに違います。
自社で解決するなら:まず「つながらないのが当たり前」という前提で、かけ直す回数と時間帯をあらかじめ決めておくことです。そのうえで、話せた相手には決裁権のありかを確認しておく。ここが曖昧なまま提案を重ねても、話は前に進みません。
③ 提案が「うちもできます」で終わっている
できることを並べるだけでは違いが伝わりません。相手が知りたいのは「替えたら何が良くなるのか」です。
自社で解決するなら:床材の劣化は築年数ではなくワックス管理の履歴で決まります。相手の建物が今どういう状態にあるかを踏まえて話せるかどうかが、「うちもできます」との分かれ目になります。
7. 営業を、人を増やさずに回す3つの方法
必要なのは見直し時期の建物を見つけ、正しい相手に、当て続けること。問題は、その担い手が社内にいないことです。
- ① 既存顧客の掘り起こし:清掃以外にやれることはないか、同じオーナーの別物件はないか。コストゼロで確度が高く、まずここから
- ② 社内の誰かの時間を固定する:週に半日でも時間を決め、リスト作成と架電を習慣にします
- ③ 外部に委託する:時間を捻出できない場合の選択肢。業界を理解している委託先かどうかで結果が変わります
③の費用感です。営業担当を1人採用すると、年収400〜500万円に法定福利費(約15%)と中途採用コスト(平均103.3万円/リクルート『就職白書2020』)が加わり、初年度の実負担は560万〜680万円規模。戦力化には半年〜1年かかります。一方、営業代行の相場は成果報酬型でアポ1件1.5〜3万円、月額固定型で月50〜70万円、複合型なら固定費月10〜50万円+成果報酬。採用リスクを負わずに開拓を立ち上げられるのが利点です。
※営業代行の費用は2026年時点の一般的な相場です(採用コストの単価は2020年調査時点)。商材の難易度やターゲット規模によって変動します。
委託先選びで見るべきは価格ではありません。清掃の仕様や法定サイクルに踏み込んだ質問をされたとき、業界未経験のアポインターは即答できず、その瞬間に信用を失います。価格よりも「業界を理解しているか」で選んでください。
8. まとめ:清掃会社の顧客獲得は「断られた後」で決まる
清掃会社の顧客獲得は、1回の電話で決まるものではありません。相手が業者を見直す時に、思い出してもらえる状態を作れているか——勝負はそこです。今日「間に合っています」と言われた相手が、半年後に値上げ通知を受け取って業者を探し始める。断られた記録を捨てずに、いつ再提案するかまで管理する。地味ですが、これを続けられた会社だけが紹介頼みから抜け出しています。
KOKONATSの場合:単発の依頼から、年間契約まで育てた例
大阪府の清掃・修繕会社様は、社員1名ですべてを回しておりテレアポに手が回らない状態でした。KOKONATSが介護施設・病院・不動産会社への電話アポ獲得を担当し、アポ率5.3%を記録。福祉施設から84万円分のエアコン分解洗浄の契約を取得し、5か月後には市内の大型建物管理を年間1500万円で受託するに至りました。
大阪府の建築物法定点検会社様では、ホテル・老人施設・病院への開拓でアポ率4.5%、獲得したアポの3分の1が実際の受注につながっています。
※成果は商材・エリア・リスト精度によって変動します。BtoBテレアポのアポ率は一般に0.5〜3%とされており、上記は営業対象と商材を絞り込んだ結果です。
「現場の品質には自信がある。でも、営業に回す時間と人がいない」
そのビルメンテナンス会社様こそ、現場を知るKOKONATSにご相談ください。
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